気になる症状

吐き気が続くのに吐かないのはなぜ?何科に相談するか

ずっと気持ち悪い状態が抜けない。それでいて、吐いてしまうわけではない。こうした日が何日も重なると、いま自分の体に何が起きているのかが分からないまま時間だけが過ぎていきます。吐いていないぶん人には伝えにくく、医療機関にかかるほどのことなのかどうかの線も引きにくいものです。この記事は、吐き気が続く状態について学会や公的機関の資料がどこまで述べているのかを整理し、どこへ相談すればよいのかまでをまとめたものです。

先に押さえておきたいこと

吐き気が続いていて吐かない、という状態を独立した病気の区分として定義した日本の資料は、今回調べた範囲では確認できませんでした。吐くかどうかで状態の軽い重いを判断できるとした記載も同様にありません
資料が述べているのは、吐き気と嘔吐が別の症状として扱われるということと、吐き気を起こす刺激の入り口が体のあちこちにあるということです。入り口が分かれているぶん、続いている理由を手元の情報だけで絞り込むことは難しくなります。
だからこそ、迷った時点で相談してよいというのがこの記事の結論です。相談先の考え方は記事の中ほどで整理しています。

まず確かめたいのは、いま続いている状態を医学の資料がどう扱っているのか、という点です。

目次

吐き気が続くのに吐かないとはどんな状態か

吐き気が続くのに吐かないとはどんな状態か

「吐き気が続くのに吐かない」という言い方そのものは、医学の資料には出てきません。ただ、その状態を説明する材料がないわけではありません。この章では、吐き気と嘔吐が資料の上でどう区別されているのか、そして吐き気がどういう仕組みで起こるとされているのかを順に確かめます。

吐き気(悪心)と嘔吐の違い

日常語の「吐き気」は、医学用語では「悪心(おしん)」と呼ばれます。日本緩和医療学会のガイドラインは、これを消化管の内容物を口から吐き出したいという切迫した不快な感覚と定義しています。「気持ち悪い」「ムカムカする」と言い表される感覚に近いものですが、定義の側では、ただ不快というより切迫した感覚として書かれています。

一方の「嘔吐(おうと)」は、同じガイドラインで消化管の内容物が口から強制的に排出されることと定義されています。感覚を指す言葉と、実際に起こる動作を指す言葉が、それぞれ別に置かれている形です。

用語 ガイドラインでの定義
吐き気(悪心) 消化管の内容物を口から吐き出したいという切迫した不快な感覚
嘔吐 消化管の内容物が口から強制的に排出されること

ここで押さえておきたいのは、資料から分かるのは2つが別の言葉として扱われているところまでだという点です。別の病気だとも、別の状態の区分だとも書かれてはいません。「吐き気はあるのに吐かない」という状態を独立に定義した記載も確認できませんでした。読者が体感として使っている言い方と、資料が扱っている言葉は、そもそも粒度が違います。

そのためこの記事では、以降も日常語のまま「吐き気」と書きます。

参考:日本緩和医療学会「がん患者の消化器症状の緩和に関するガイドライン2017年版(第2版)」

吐き気の重さは吐くかどうかでは判断できない

同じガイドラインは、医療の現場での扱いについても書いています。吐き気と嘔吐は別の症状として、それぞれ評価されるという記述です。さらに、吐き気は本人にしか分からない主観的な感覚であるため、他人から見た評価よりも本人の訴えを優先するとも書かれています。ただしこの記述はがんの患者さんの緩和ケアを対象にした章にあるもので、症状の重さの順位を示したものではありません。

仕組みの側についても、言い切られていない部分が残されています。同じガイドラインでは、吐き気は嘔吐と同じような刺激によって起こり、嘔吐の動作にまで至らないものと考えられているとされています。一方で、吐き気を伴わない嘔吐もあり、両者の関係には分かっていない点も多いとも書き添えられています。どちらも限定を含んだままの記述です。

つまり「吐いていないから軽い」という読み方も、「吐かないほうが重い」という読み方も、資料の側に裏づけが見当たりません。吐くかどうかは、続いている状態の重さを測る目盛りにはならないということです。日数と同じように、それ自体では判断の材料になりにくいものだと考えておくほうが、実際に近くなります。

吐いていない状態も診察で伝えてよい

本人の訴えを優先するという考え方は、裏返せば、吐いていない状態も伝える価値があるということでもあります。吐いていないと大げさに思われそうで言い出しにくい、という感じ方は起こりやすいところですが、言い出しにくさのほうを基準にする必要はありません。何をどう伝えるかは、記事の後半で整理しています。

参考:日本緩和医療学会「がん患者の消化器症状の緩和に関するガイドライン2017年版(第2版)」

吐いている場合と吐いていない場合を同じ大きさのカードにして左右の皿に載せた天秤が水平のままであることを示した図

吐き気はなぜ起こるのか

吐き気や嘔吐は、脳にある嘔吐中枢が刺激されて起こると説明されています。そしてこの嘔吐中枢への刺激の入り口は、1つではありません。日本緩和医療学会のガイドラインは、大きく4つの経路を挙げています。

刺激の入り口 ガイドラインが挙げている内容
大脳皮質 不安や恐怖などの心理的な要因・頭蓋内圧の亢進・中枢神経系の異常
化学受容器引金帯 血液中の薬物・代謝物・細菌の毒素など
前庭器 体の回転や前庭の病変
末梢 咽頭・心臓・肝臓・消化管・腹膜・腹部や骨盤の臓器からの刺激

この表が示しているのは、吐き気の入り口が消化管だけに限られていないということです。おなかの症状として感じられるものであっても、刺激そのものは頭の側から入っていることも、血液を通じて入っていることもあります。「気持ち悪いのだから胃の問題だろう」と当たりを付けにくいのは、この構造によります。

同じガイドラインは、がんの患者さんにおける原因の整理として、原因が1つとは限らず、複数が同時に存在することも多いとも述べています。この記述の対象はがんの患者さんですが、入り口が4つに分かれているという仕組みの話と合わせて読むと、原因を1つに決めきれない場面があること自体は理解しやすくなります。

なお、入り口の1つに「不安や恐怖などの心理的な要因」が挙がっています。ただしこれは刺激が入ってくる経路の列挙であって、吐き気の原因が心理的なものだと述べた記載ではありません。この点は後の章で改めて扱います。

参考:日本緩和医療学会「がん患者の消化器症状の緩和に関するガイドライン2017年版(第2版)」

吐き気が続くときに考えられる原因

吐き気が続くときに考えられる原因

前の章で見たとおり、吐き気の入り口は4つの系統に分かれています。ここからは、その系統ごとに、資料が実際に述べている内容を見ていきます。並べる順序に意味はありません。どの系統が多いかを順位づけできるだけのデータが、今回調べた資料にはなかったためです。上から順に疑うための一覧ではない、という前提で読んでください。

胃や腸など消化管から起こる吐き気

末梢からの入力には、消化管からの刺激が含まれています。この系統で資料の記述がはっきりしているのが、感染性胃腸炎です。

国立健康危機管理研究機構(JIHS)の資料は、感染性胃腸炎の症状として、原因となる病原体や感染の様式などによって異なるとしたうえで、発熱・下痢・吐き気・嘔吐・腹痛などがみられると書いています。はじめに発熱が先行し、嘔吐や下痢などおなかの症状が遅れて出現することもあるとも記されています。症状が出そろってから始まるとは限らない、という書き方です。

ただしこの資料には、読むときの前提があります。感染性胃腸炎は感染症法の5類感染症で、届出は全国約3,000カ所の小児科定点医療機関から行われます。同じ資料も、報告数から考えると罹患年齢は幼児および学童期が中心となっていると書いています。大人の吐き気がどのくらいの割合で感染性胃腸炎によるものかを示した数字ではありません

参考:国立健康危機管理研究機構(JIHS)「感染性胃腸炎(詳細版)」

同じ機構のノロウイルス感染症の資料は、経過について書いています。ノロウイルスは嘔吐や下痢などの急性胃腸炎の症状を起こしますが、その多くは数日の経過で自然に回復するとされ、潜伏期は1〜2日と考えられています。流行の時期についても、12月から3月をピークにして全国的に流行していることが示されています。

資料が述べている内容 書かれていること
感染性胃腸炎の症状 発熱・下痢・吐き気・嘔吐・腹痛など。発熱が先行することもある
ノロウイルス感染症の経過 多くは数日の経過で自然に回復する。潜伏期は1〜2日
流行の時期 12月から3月をピークに全国的に流行している
注意が必要とされる方 乳幼児や高齢者、体力の弱っている方の脱水や窒息

気をつけたいのは、この「多くは数日で自然に回復する」という記述の読み方です。続いているから感染性胃腸炎ではない、という意味にはなりません。資料はそこまで述べておらず、回復までの経過に幅があることも書かれています。逆向きに読み替えないほうが原文に沿います。

なお、吐き気と一緒に便がゆるい状態が続いている場合、確かめる筋道は下痢の側からも組み立てられます。その考え方は元気なのに下痢が続く大人はどこまで様子を見てよいかにまとめています。

参考:国立健康危機管理研究機構(JIHS)「ノロウイルス感染症(詳細版)」

吐き気の入り口は一つではないことを示す帯

片頭痛やホルモンの変化など消化管以外から起こる吐き気

消化管以外の入り口からも、吐き気は起こります。資料の記述が取れるものを3つ挙げます。

1つめは片頭痛です。頭痛の診療ガイドライン2021は、片頭痛の発作に伴って起こる吐き気や嘔吐は、三叉神経の神経核から脳幹内のさまざまな神経核へ信号が伝わることで生じる自律神経症状であると説明しています。頭が痛いから気持ち悪くなる、という順序の話ではなく、同じ発作の中で並んで起こる症状として書かれています。

同じガイドラインには、国際頭痛分類第3版の「前兆のない片頭痛」の診断基準も載っています。頭痛の発作中に「悪心または嘔吐(あるいはその両方)」または「光過敏および音過敏」の少なくとも1つを満たすことが、要件の1つとされています。

ただし、この基準が載っているのは小児・思春期を扱う章です。同じガイドラインには、前兆のない片頭痛の診断基準は国際頭痛分類の初版(ICHD-1)以来、同じ基準を踏襲しているとも記されています。この要件は診断基準の一部にすぎず、ほかの項目も併せて満たす必要があります。吐き気を伴う頭痛が片頭痛だと決まるわけではないため、頭痛そのものの見分け方はこの記事では扱いません。

参考:日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会監修「頭痛の診療ガイドライン2021」

2つめはホルモンの変化です。厚生労働省の母性健康管理に関する用語辞典は、妊娠初期には食欲不振・吐き気・嘔吐などのつわりの症状が起こることがあり、一般に妊娠5〜6週の頃から出現し、妊娠12週頃には消失していく場合が多いとしています。妊娠の可能性が考えられる場合の相談先は産婦人科になります。妊娠中の吐き気への対応そのものは、この記事では扱いません。

参考:厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト「母性健康管理に関する用語辞典 つわり」

3つめは前庭器からの入力です。刺激の入り口として体の回転や前庭の病変が挙げられているとおり、めまいと吐き気が一緒に出ることもあります。どちらが先に出ているかによって、話の組み立て方は変わります。めまいのほうが前に出ている場合の相談先については、受診先を扱う章で改めて触れます。

消化管以外の入り口 資料に書かれていること
片頭痛 発作に伴う吐き気や嘔吐は自律神経症状として起こる
妊娠初期 つわりの症状として吐き気が起こることがある。一般に妊娠5〜6週頃から出現し、12週頃には消失していく場合が多い
前庭器 体の回転や前庭の病変が刺激の入り口として挙げられている

吐き気をストレスや自律神経のせいと決めつけないほうがよい理由

嘔吐中枢への入り口の1つとして、大脳皮質からの入力に「不安や恐怖などの心理的な要因」が挙げられていました。この一行があるために、続く吐き気をストレスや自律神経の問題として片づけたくなる場面が出てきます。

ただし、この記述は刺激が入ってくる経路を並べたものであって、吐き気の原因が心理的なものだと述べたわけではありません。同じ資料の同じ表には、薬物や代謝物、消化管や腹部の臓器からの刺激も並んでいます。心理的な要因は、そのうちの1つとして置かれている項目です。

同じガイドラインは、がんの患者さんにおける原因の整理として、原因が1つに定まらず、複数が同時に存在することも多いと述べています。対象は限られていますが、原因を1つに決めてから確かめ始めるやり方が向かない場面があることは、この記述からも読み取れます。
「ストレス」は説明として収まりやすい言葉です。ただ、いったん原因と決めると、ほかの入り口を確かめにくくなります。原因かどうかは、確かめたあとに判断すれば足ります。

思い当たることがある場合も、それだけで決めない

生活の中に思い当たることがあるかどうかは、確かに診察で伝える価値のある情報です。ただしそれは、他の入り口を確かめなくてよい理由にはなりません。思い当たることがあるという事実と、それが吐き気を起こしているという判断は別のものです。伝える材料として持っていき、判断のほうは診察に預けるという分け方になります。

刺激が入ってくる経路として薬や代謝物・体の回転・心理的な要因・おなかの臓器の4つを並べ、心理的な要因がそのうちの一つであることを示した図

すぐに受診を考えたほうがよい症状

すぐに受診を考えたほうがよい症状

この章では、受診を考える材料になる症状を扱います。ただし時間の感覚が異なる2つの話が混ざりやすいので、先に分けておきます。1つは、みぞおち周辺の症状が続いているときに、医療機関が体の側の病気を疑う手がかりとして確かめている徴候です。当てはまるものがあれば、早めに受診を考えることになります。もう1つは、そうした徴候が特にないまま吐き気だけが続いていて、受診してよいのかどうかを決めかねている場合です。こちらについては資料の側に期間や程度の線引きがなく、迷っていること自体が相談してよい理由になります。なお、どこからが救急にあたるのかをこの記事で線引きすることはしません。

みぞおちなど上腹部の症状が続くときの警告徴候(アラームサイン)

日本消化器病学会の機能性消化管疾患診療ガイドライン2021は、みぞおち周辺の症状が慢性的に続く場合に、医師が器質的な病気を疑う手がかりとして確かめる項目を挙げています。器質的な病気とは、内視鏡や画像で形の変化として確かめられる病気を指します。挙げられているのは次の8つです。

  • 高齢での新たな症状の出現
  • 体重減少
  • 繰り返す嘔吐
  • 出血
  • 飲み込みにくさ・飲み込むときの痛み
  • 腹部のしこり
  • 発熱
  • 食道がんや胃がんの家族歴

同じガイドラインは、これらがある場合には内視鏡検査などの精密検査を積極的に行うとしています。ここで確かめておきたいのは、この一覧の対象が「みぞおちを中心とする上腹部の症状が続いている成人」であって、吐き気そのものではないという点です。3番目に繰り返す嘔吐が入っていることからも分かるとおり、吐き気が続いていて吐かない状態に合わせて作られた一覧ではありません。

そして同じガイドラインは、この8項目の使い方に限界があることも書いています。機能性ディスペプシアの患者にも、これらの徴候はしばしばみられるためです。器質的な病気を持つ患者との出現率に差がないという報告もあり、あくまでも器質的疾患を考慮する場合の目安と考えるべきであるとされています。

限定はもう一方の向きにも付いています。同じガイドラインは、これらの徴候がない場合でも器質的な病気の存在を念頭に置き、初期の治療に反応が悪い場合などには改めて精密検査を進めることが大切だとも述べています。

8項目の使い方

この一覧は、当てはまるかどうかで受診の可否を決めるチェックリストではありません。当てはまるものがあれば、その内容をそのまま診察で伝えるという使い方になります。
当てはまるものがないときも、確かめなくてよいという証明にはなりません。限界の書かれ方が両方向であることが、そのまま使い方を決めています。

参考:日本消化器病学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―機能性ディスペプシア(FD)(改訂第2版)」

食事のつかえや体重減少など吐き気以外の症状にも注意する

吐き気そのものではなく、一緒に出ている別の症状のほうが受診の材料になることもあります。国立がん研究センターのがん情報サービスは、胃がんについて食事がつかえる・体重が減るといった症状がある場合は、進行した胃がんの可能性もあるとしたうえで、検診を待たずに、内科や消化器内科などの身近な医療機関を受診するよう案内しています。

案内の対象になっている症状 資料が示している行動
食事がつかえる 検診を待たずに内科や消化器内科などの身近な医療機関を受診する
体重が減る 同上

読み方として外せないのは、この案内の対象が「食事がつかえる」「体重が減る」であって、吐き気ではないということです。吐き気が続くことだけに、この案内を当てはめることはできません。一方、つかえや体重の変化がないことも、確かめなくてよい根拠にはなりません。前の項目の8項目にも体重減少が入っており、確かめる材料としては重なっています。

食べたものがつかえる感じや、意図していない体重の変化に心当たりがある場合は、その事実をそのまま診察で伝えてください。どの症状が主でどれが従かを自分で並べ替える必要はありません。

参考:国立がん研究センター がん情報サービス「胃がん」

受診すべきか迷う吐き気は自分で判断せず早めに相談する

前の2項目に当てはまるものが見当たらないまま、吐き気だけが続いている。この状態が、判断のいちばん止まりやすいところです。強い症状があるわけではないので急ぐ理由が見つからず、かといって治まる気配もないため、様子を見る時間だけが伸びていきます。

ここまで見てきたとおり、続いている状態を自分で切り分けるための基準は、資料の側にそろっていません。吐き気そのものを対象にした受診の目安も、何日続いたら受診という期間の線も、今回調べた資料には置かれていませんでした。手元にある材料で結論を出そうとすると、答えの出ない問いに時間を使うことになります。

この状態でよく起こるのが、条件を足しながら先延ばしにしていく形です。もう少し様子を見て変わらなければ、来週になっても続いていたら、仕事が落ち着いたら。1つずつは無理のない条件でも、次の条件を足すたびに受診は先へ延びます。基準がないまま基準を探し続けると、判断そのものが先へ動かなくなります。

判断そのものを相談してよい

受診してよい状態かどうかを見極めてから受診する、という順番にする必要はありません。その見極めこそが診察で行われることだからです。迷っている段階で相談してよいという形にしておくと、判断のために様子を見る時間が伸びずに済みます。では、どこへ相談すればよいのか。次の章で整理します。

吐き気が続くときは何科を受診するか

吐き気が続くときは何科を受診するか

相談してよいと決まったところで、次に迷うのが窓口です。診療科の名前は体の部位や領域で分かれているのに対し、吐き気は部位の名前を持たない症状です。そのため、症状の名前から受診先を引き当てる手がかりが乏しくなります。この章では窓口の考え方だけを扱います。

続く吐き気はまず内科で相談できる

「吐き気が続いたら何科へ」という問いに正面から答えている学会や行政の資料は、今回調べた範囲では確認できませんでした。そのうえで手がかりになるのは、吐き気を受け付ける窓口として実際に示されているかどうかです。前の章で見た胃がんの案内でも、身近な医療機関として内科と消化器内科が挙げられていました。

池袋かめさん内科の内科診療でも、相談を受け付ける症状として腹痛・下痢・便秘・吐き気が挙げられています。吐き気だけが続いている状態も、そのまま内科でご相談いただけます。

窓口を選びにくい症状であるという点については、当院の体制も関係します。院長の亀山大介は救急科専門医の資格を持ち、救命救急センターで幅広い症例に対応してきた経験があります。内科・外科といった診療科の枠にとらわれず、全身を総合的に診ることができる点が救急科専門医の特長です。「どの診療科を受診すればよいかわからない」「複数の症状をまとめて相談したい」といった場合にも、まずはご相談ください。診察の結果に応じて検査を検討し、より専門的な診療が必要と判断された場合は、高次の医療機関へご紹介いたします。

吐き気の入り口が消化管に限られていないことは、記事の前半で確かめたとおりです。窓口の側でも、はじめから領域を絞り込まずに相談できるほうが、確かめる範囲を狭めずに済みます。

続く吐き気をまず内科で相談し、そのあと検査の検討や必要に応じた紹介へ分かれていく流れを示した図

吐き気よりもほかの症状が中心のときは受診先が変わることがある

一方で、吐き気よりも別の症状のほうが前に出ている場合は、相談先が変わることがあります。当てはまりやすいのは次の2つです。

中心にある症状 相談先の考え方
妊娠の可能性がある 産婦人科へご相談ください
めまいのほうが中心にある 確かめる順番が変わるため、めまいを主とした相談になる

妊娠の可能性がある場合は、内科で吐き気の相談を進める前に産婦人科へご相談ください。妊娠しているかどうかの判断も、妊娠中の吐き気への対応も、この記事では扱いません。

めまいのほうが中心にある場合は、確かめる順番そのものが変わります。この場合の考え方はめまいは何科?救急車を呼ぶかの判断と緊急度の4区分にまとめているので、そちらをご覧ください。

なお、どちらにも当てはまらない場合は、受診先を細かく決めてから動く必要はありません。吐き気が続いていることを主として相談し、そこから先は診察の結果に応じて広げていく形になります。

吐き気が続いているものの、受診するほどのことなのか判断がつかないという状態でも、そのまま内科でご相談いただけます。池袋かめさん内科の内科診療は予約なしでも当日ご受診いただけます。ただし発熱のある方や解熱剤を服用した方、新型コロナウイルスの自己検査で陽性となった方は、事前に発熱外来のご予約が必要です。ご予約やご相談は電話(03-3986-4466)・WEB・LINEで受け付けております。雑司が谷駅2番出口から徒歩2分、目白駅から徒歩10分の場所にあります。

医療機関で行われる診察と検査

医療機関で行われる診察と検査

相談先が決まったところで、次に気になるのは受診したあとに何をするのかという点です。ここでは、吐き気が続いているときの診察と検査について、資料に書かれている範囲で整理します。

問診で吐き気について聞かれること

吐き気は、外から測りにくい症状です。日本緩和医療学会のガイドラインが本人の訴えを優先するとしているのも、そのためでした。そのぶん問診では、感じている内容を自分の言葉で聞き取る時間が中心になります。うまく説明できなくても構いません。整理されていない話し方のまま伝えても、材料としては成り立ちます。

聞かれる範囲は、おなかのことだけにとどまりません。前半で見たとおり、吐き気の刺激の入り口は消化管以外にも分かれているためです。

  • いつごろから続いているか
  • 1日の中で変わるところがあるか
  • 吐き気のほかに気になっていることはあるか
  • 飲んでいる薬やサプリメントはあるか

こうした点も併せて伝えていただいて構いません。症状を1つに絞って伝える必要はありません。

吐き気の強さについても、他人と比べて答える必要はありません。同じ強さかどうかを外から比べる方法がないからこそ、本人の訴えを優先するという扱いになっています。「これくらいで受診してよいのか」という前置きも要りません。

池袋かめさん内科でも、「どの診療科を受診すればよいかわからない」「複数の症状をまとめて相談したい」といった場合の相談を受け付けています。伝える内容をどうまとめておくとよいかは、記事の終わりのほうで改めて整理します。

問診で聞かれることの例として、いつごろから・1日の中の変化・ほかの症状・薬とサプリの4つを付箋で示した図

吐き気が続くときに行われることがある検査

検査については、機能性消化管疾患診療ガイドライン2021が範囲を示しています。前に見た8項目の徴候がある場合には、内視鏡検査などの精密検査を積極的に行うとされています。一方で、徴候が確認できない場合について検査を行わないとする書き方にはなっておらず、その後の経過をみながら判断する形が示されています。

診察で確かめられた状況 資料が述べている進め方
8項目の徴候が当てはまる 内視鏡検査などの精密検査を積極的に行う
徴候は見当たらない 器質的な病気を念頭に置いたうえで経過をみる
初期の治療に反応が悪い 改めて精密検査を進めることが大切とされる

ここから分かるのは、検査を行うかどうかが、症状の名前ではなく診察で確かめられた内容によって決まるということです。吐き気が続いているという事実だけを理由に、特定の検査を受けるべきだとした記載は、今回調べた資料には含まれていませんでした。反対に、いま徴候がないからといって検査の道が閉じるわけでもありません。

そのため、検査の要否を受診前に自分で見立てておく必要はありません。何を確かめるかを決める作業そのものが、診察の中身にあたります。

参考:日本消化器病学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―機能性ディスペプシア(FD)(改訂第2版)」

検査で異常なしと言われたときにどう考えるか

検査で異常なしと言われたときにどう考えるか

検査を受けて「異常なし」と言われたのに、吐き気だけが続いている。この状態は、行き止まりのように感じられます。確かめたはずなのに何も出てこず、次にどう動けばよいのかも示されないためです。症状のほうは変わっていないので、気のせいだと片づけることもできません。ここではその「異常なし」という結果を、吐き気という症状全体の側からどう読めばよいのかを整理します。胃を調べた結果に話を限らず、受けた検査が何であっても共通する読み方を先に置きます。

「異常なし」は吐き気の原因がないという意味ではない

まず押さえておきたいのは、検査が答えているのは「その検査で分かる範囲に変化があったかどうか」だけだということです。吐き気そのものは、緩和ケアのガイドラインでも本人にしか分からない主観的な感覚として扱われていました。したがって「異常なし」は、症状がなかったという意味にはなりません。

検査には、それぞれ見えている範囲があります。内視鏡で見えるのは粘膜の状態で、血液検査で分かるのは採った時点の数値です。どの検査も、その検査が対象にしている範囲の外までは答えていません。吐き気の刺激の入り口が4つの系統に分かれていることを思い出すと、1回の検査で確かめられるのはそのうちの一部にとどまります。

資料の側にも、近い考え方が書かれています。機能性消化管疾患診療ガイドライン2021が述べているのは、みぞおち周辺の症状が続く成人について、警告徴候が見当たらない場合でも器質的な病気の存在を念頭に置く、という点です。確かめた範囲の外がなくなるわけではない、という前提が置かれている形になります。

「異常なし」が意味すること 意味しないこと
その検査で分かる範囲に変化が見つからなかった 吐き気に理由がない
その範囲の病気を今回は確かめ終えた ほかの入り口も確かめ終えた
経過をみながら次を考える段階に入った 確かめる作業がここで終わる

同じガイドラインでは、機能性ディスペプシアという病気も扱われています。ただしこの病気では吐き気や嘔吐、特に嘔吐を伴うことはまれだとされており、吐かないことだけでこの病名に結びつけることはできません。この病気そのものの説明は機能性ディスペプシアで胃もたれが続く原因と受診の目安にまとめています。なお同じガイドラインは、感染性胃腸炎にかかったあとにこの病気の発症がみられることがあるとも述べています。

前半で見たとおり、吐き気と嘔吐の関係については分かっていない点も多いと資料自身が書いています。仕組みの側にまだ空きがある領域では、検査の結果だけで説明が閉じないことも起こります。
説明がつかないまま残っている、という状態は、確かめ方が足りないという意味でも、確かめる必要がないという意味でもありません。次に何を確かめるかを決めるための、途中の結果として扱えば足ります。

参考:日本消化器病学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―機能性ディスペプシア(FD)(改訂第2版)」

吐き気が続くなら様子見で終わりにせず再受診してよい

「異常なし」と言われたあと、もう一度受診してよいのかどうかで迷う方は少なくありません。同じことを繰り返すだけになりそうに思えるためです。

ここでも手がかりになるのは、ガイドラインが初期の治療に反応が悪い場合などには改めて精密検査を進めることが大切だと書いていることです。これは医療機関の側の進め方を述べた記述ですが、裏返せば、結果が出たあとの経過も判断の材料に含まれているということでもあります。1回の検査で終わる想定にはなっていません。

再受診で伝える内容は前回と同じでなくてよい

前回の受診から変わったところがあれば、それがそのまま新しい材料になります。次のような変化です。

  • 強さの出方が変わった
  • 出る時間帯が変わった
  • 別の症状が加わった

変わっていないという事実も、同じように材料になります。前回の説明のあとも同じ状態が続いているという情報は、経過を見ている側にとって意味を持ちます。

同じ話を繰り返すことになるのではないか、という心配は要りません。1回目の受診で分かるのはその時点までの経過だけで、そのあとどうなったかは受診しなければ伝わらないためです。なお、何日たったら再受診するという期間の目安も、今回調べた資料には置かれていませんでした。日数で区切らず、状態が続いていることを理由に相談する形になります。

受診する・結果を聞く・経過を見るという輪から、もう一度相談するへ抜ける流れを示した図

「異常なし」のあとは薬など消化管以外から吐き気の原因を考え直す

確かめる範囲を広げるとき、戻ってくる先が前半で見た4つの入り口です。ここで注意したいのは、胃や腸を確かめたことは、末梢からの入力を確かめ終えたことにはならないという点です。表に挙げられている末梢には、咽頭・心臓・肝臓・腹膜・腹部や骨盤の臓器からの刺激も並んでいました。

確かめ終えた範囲 残っている入り口
胃や腸を内視鏡などで確かめた 末梢のうち消化管以外・大脳皮質・化学受容器引金帯・前庭器からの入力
血液検査の数値に変化がなかった 検査で数値に表れない範囲の刺激

残った入り口のうち、読者の側が手元で書き出せる部分は限られています。血液を通じて入る刺激の一部として挙げられているのが、薬物や代謝物です。前庭器からの入力にあたるめまいについては、相談先を前の章で触れたとおりです。手元でたどれるのは薬とサプリメントのところまでで、そこをどうたどるかを次の章でまとめます。

薬の影響で吐き気が続くことがある

薬の影響で吐き気が続くことがある

嘔吐中枢への入り口の1つに、血液を通じて届く刺激として薬物が挙げられていました。飲んでいるものと吐き気が結びついているかどうかは、自分の手元でもある程度たどれる部分です。この章では、そのたどり方と、たどったあとの扱い方を分けて整理します。

薬やサプリメントを始めた時期と吐き気が始まった時期を照らし合わせる

手がかりになるのは、何を飲んでいるかよりも、飲み方が変わった時期です。始めた時期、量や回数が変わった時期、飲むのをやめた時期。この3つと、吐き気が始まった時期や強くなった時期を並べてみると、重なりの有無が見えてきます。

書き出しておく項目
飲んでいるもの 処方された薬・市販薬・サプリメント
変わった時期 始めた時期・量や回数が変わった時期・やめた時期
吐き気の側の時期 始まった時期・強くなった時期・変わらない時期

気をつけたいのは、この照らし合わせが当たりを付けるための作業であって、結論を出すための作業ではないという点です。時期が近くても、関係があるとは限りません。反対に、時期が離れているだけで無関係と判断できる資料も確認できていません。以前から続けているものも、同じように書き出しておいてください。

どの薬で吐き気が起こりやすいかという一覧については、この記事では扱いません。薬の名前や種類から自分で当てはめる作業は、確かめる範囲をかえって狭めます。書き出すところまでを手元で行い、突き合わせのほうは診察に持ち込む形になります。

吐き気が薬の影響かどうかは自己判断せず医師に確認する

書き出してみて思い当たるものがあったとしても、自分の判断で薬をやめるのは避けてください。その薬が必要とされている理由は吐き気とは別にあり、中断そのものが新しい問題を生むことがあります。

伝える相手は、その薬を処方した医師でも、いま吐き気を相談している医師でも構いません。どちらの場合も、飲んでいるものを漏れなく伝えられる形にしておくと話が早くなります。処方された薬だけでなく、市販薬やサプリメントも伝える対象に入ります

持っていくものの整理の仕方は、記事の終わりのほうでまとめています。

吐き気が続くときに自分でできること・できないこと

吐き気が続くときに自分でできること・できないこと

吐き気が続いていると、まず知りたくなるのは家でできることです。ただ、ここは資料の側が薄い領域でもあります。この章では、できることとできないことを分けたうえで、できないほうをそのまま書きます。手元で吐き気を止める方法を示すことは、この記事ではしません

家でできる吐き気への対処は限られている

生活の中の工夫について記述があるのは、国立がん研究センターのがん情報サービスです。ただしこれはがんの治療を受けている方に向けて書かれたもので、原因の分からない吐き気が続く方に向けたものではありません。その前提のうえで、挙げられているのは次のような内容です。

  • においの強いものを周りに置かず換気する
  • 一度にたくさん食べずに少しずつ数回に分けて食べる
  • 消化のよいものを選ぶ
  • 温かいものは粗熱をとって室温程度に冷ます
  • 体を締めつけない服装にする
  • うがいをして口の中を清潔に保つ

いずれも、吐き気を治すためのものではなく、吐き気があるあいだの過ごし方を少しでも楽にするための工夫として書かれています。効果の大きさや、どのくらいで変化するかについては書かれていません。一般の成人に向けて同じ工夫を勧めた資料は、今回調べた範囲にはありませんでした。そのためここでは、資料に書かれている内容の紹介にとどめます。

そのうえで手元に残るのは、食事や水分がとれているかどうかという、状態そのものを表す情報です。工夫が効いたかどうかとは別に、記録しておく価値のある項目になります。

参考:国立がん研究センター がん情報サービス「吐き気・嘔吐」

市販の吐き気止めを使う前に知っておきたいこと

市販薬については、使ってよいとも使わないほうがよいとも書きません。どちらの向きにも、根拠として引ける資料が確認できなかったためです。書けるのは、承認されている効能・効果としてどう定められているか、という事実だけになります。

厚生労働省の承認基準では、乗り物酔い薬の効能・効果が乗物酔いによるめまい・吐き気・頭痛の予防及び緩和と定められています。乗り物酔いという場面に紐づけて書かれている点が、そのまま基準の内容です。

参考:厚生労働省「鎮暈薬製造(輸入)承認基準について(昭和59年6月1日 薬発第381号)」

市販の吐き気止めは乗り物酔い薬だけではない

胃腸薬の承認基準にも、効能・効果としてはきけ(むかつき、胃のむかつき、二日酔・悪酔のむかつき、嘔気、悪心)、嘔吐が定められています。市販薬の側にも吐き気を対象にした効能が実際に置かれている、という書かれ方です。

参考:厚生労働省「胃腸薬製造販売承認基準の一部改正について(令和元年5月30日 薬生発0530第7号)」

承認基準が定めているのは、その薬に認められている効能・効果の範囲です。理由の分からない吐き気が続いている状態で使ってよいかどうかを述べたものではありません
使うかどうかを迷う場面では、薬剤師や登録販売者、あるいは受診している医療機関に、いまの状態を伝えたうえで相談してください。市販薬を試したことがある場合は、その事実も診察で伝える材料になります。

市販薬について書けることとして、乗り物酔い薬・胃腸薬・相談してからの3点を並べた図

吐き気の原因は自分では特定できないため診察で確かめる

ここまで見てきたとおり、家でできることには限りがあります。工夫はあくまで過ごし方の側の話で、続いている理由に届くものではありません。

理由のほうに届かない事情は、記事の前半で確かめたとおりです。手元にある情報が触れているのは、刺激の入り口のうちごく一部にすぎません。生活の中で気づける範囲と、確かめるべき範囲の広さが釣り合っていない、ということになります。

調べて当てはまりそうな病名を見つけた場合も、そこから先へは進みにくくなります。症状の名前が同じでも、確かめる手順は診察と検査の側にあるためです。調べたこと自体は無駄になりません。気になっている病名があれば、それも診察で伝えて構いません

そのため、できることとできないことの線は、次のようになります。手元でできるのは、状態を記録して材料をそろえるところまでです。そろえた材料から何が言えるかを確かめる作業は、診察の側にあります。次の章では、その材料をどうそろえておくかを整理します。

受診前に整理しておくとよいこと

受診前に整理しておくとよいこと

吐き気は形に残らない症状なので、診察の場で思い出そうとすると抜けが出やすくなります。ここでは、受診の前に手元でそろえておくと診察が進めやすくなるものを3つに分けて挙げます。そろえられなかったからといって受診を先送りする必要はありません。

吐き気がいつから続くかをメモしておく

日付が正確でなくても構いません。「先月の半ばくらいから」「連休のあとから」といった書き方でも、経過をたどる材料になります。書き出しておくと役立つのは次のような点です。

  • いつごろから続いているか
  • 1日の中で強くなる時間帯や場面があるか
  • 食事との前後で変わるところがあるか
  • 途中で治まった日があったか

このメモは、受診するかどうかを自分で判定するために作るものではありません。日数から受診の要否を決められる基準は、資料の側にありません。あくまで診察で伝えるための下書きとして持っていくものです。「ずっと」「毎日」といった感覚のままの言い方でも、そのまま伝わります。日付をさかのぼって正確に決めようとすると、そこで手が止まってしまいます。

書き方の形式もそろっている必要はありません。手帳の端でも、スマートフォンのメモでも、思い出した順に並んだままでも構いません。書けた範囲をそのまま持参していただければ足ります

お薬手帳や健診結果を吐き気の診察に持参する

持ち物としてそろえておくと話が早くなるのは、飲んでいるものと、これまでに受けた検査の結果です。

持っていくもの あると役立つ理由
お薬手帳 処方されている薬と、その内容が変わった時期をまとめて伝えられる
市販薬やサプリメントの記録 お薬手帳に載らないものを補える
健康診断や人間ドックの結果 直近の数値の並びを確かめられる
これまでに受けた検査の結果 同じ確認を繰り返さずに次を考えられる

「異常なし」と言われた検査の結果も、持っていく対象に入ります。確かめ終えた範囲が分かること自体が、次に何を確かめるかを決める材料になるためです。手元に紙が残っていない場合は、どこでいつごろ受けたかを伝えるだけでも役に立ちます。

吐き気のほかに気になる症状も伝える

吐き気以外に気になっていることがあれば、それも併せてお伝えください。関係がなさそうに思えるものでも、伝えるかどうかを自分で選別する必要はありません。入り口が複数の系統に分かれている症状では、関係の有無を先に決められないためです。

とくに、記事の前半で挙げた受診の材料になる症状に心当たりがある場合は、その内容をそのまま伝えてください。ここで改めて並べ直すことはしませんが、当てはまるものがあるかどうかを診察の前に思い返しておくと、伝え漏れが減ります。あわせて、めまいや頭痛のように吐き気と一緒に語られやすい症状も、心当たりがあれば挙げておいてください。

なお、症状の数が多いことは伝えにくさの理由になりません。まとめて相談したいという形のままで構いません。話す順番や優先順位は、診察の場で一緒に整理できます。整うのを待たずにご相談ください。

吐き気が続くときによくある質問

吐き気が続くときによくある質問

最後に、吐き気が続く状態について寄せられやすい質問を4つまとめました。

吐き気は何日続いたら病院を受診すべきですか?

何日続いたら受診という基準や、吐き気の急性と慢性を期間で分ける定めは、今回調べた資料では確認できませんでした。そのため、特定の日数だけで受診か様子見かを決めることはできません。判断の材料が期間の側にない以上、迷った時点でご相談いただいて差し支えありません。

一方で、いつから続いているかという情報そのものは、診察で経過をたどるときに役立ちます。日数は判定の基準ではなく、伝える材料として記録しておいてください。

軽い吐き気が毎日続きますが受診してよいですか?

受診していただいて差し支えありません。症状が軽いことは、確かめなくてよい理由にはならないためです。記事の前半で見たとおり、吐くかどうかも、症状の強さも、続いている状態の重さを測る目盛りとしては使えません。むしろ、軽い状態が毎日続いているという経過そのものが、診察で伝える価値のある情報になります。強くなったときだけ相談するという形にすると、続いていること自体が伝わりにくくなります。日常生活を送れているかどうかも、受診してよいかどうかとは別の話です。

吐き気が続くのは胃がんの初期症状ですか?

国立がん研究センターのがん情報サービスは、胃がんについて、早期の段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行しても症状がない場合もあるとしています。代表的な症状として胃の痛み・不快感・違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振が挙げられていますが、これらは胃がんだけではなく胃炎や胃潰瘍でも起こる症状であるとも書かれています。つまり症状の側から胃がんかどうかを見分けることはできません。同じ資料は、食事がつかえる・体重が減るといった症状がある場合には、検診を待たずに内科や消化器内科などの身近な医療機関を受診するよう案内しています。心当たりがある場合は、その内容を診察でお伝えください。

迷ったら相談できることを示す帯

妊娠していないのに吐き気が続くことはありますか?

あります。吐き気は妊娠以外の場面でも起こります。記事の前半で見たとおり、吐き気を起こす刺激の入り口は4つの系統に分かれています。妊娠していないことが、吐き気が続く理由の説明になるわけではありません。妊娠の可能性がある場合は、内科で吐き気の相談を進める前に産婦人科へご相談ください。妊娠しているかどうかの判断は、この記事では扱いません。妊娠の可能性が思い当たらない場合も、吐き気が続いていること自体を理由に内科でご相談いただけます。

「吐き気が続くのに吐かないのはなぜか」という問いに対して、資料から返ってくる答えは、吐かないこと自体には説明が付いていないというものでした。吐き気があるのに吐かない状態を独立に定義した記載は見当たらず、吐くかどうかで軽い重いを測れるとした記載もありません。そのぶん、吐かないことを手がかりに理由を絞り込むことはできない形になります。

代わりに資料が示していたのは、吐き気を起こす刺激の入り口が4つの系統に分かれているということでした。消化管だけでなく、頭の側からも、血液を通じても、前庭器からも入ります。がんの患者さんを対象にした整理では、原因が1つとは限らず複数が同時に存在することも多いとも書かれていました。手元の情報で理由を詰めきれないのは、この構造によるものです。

受診の材料についても、吐き気そのものを対象にした一覧は確認できませんでした。使えるのはみぞおち周辺の症状が続くときの8項目と、食事のつかえや体重減少の案内で、いずれも主語が吐き気ではありません。8項目のほうには、当てはまっても当てはまらなくても結論にならないという限定まで書かれています。

そして「何科に相談するか」については、吐き気を受け付ける窓口として内科が示されていました。どこへ行くかを細かく決めてから動く必要はなく、迷っている段階のまま相談できます。

吐き気が続くのに吐かないときの考え方〜まとめ〜

吐かないことを判断の目盛りに使える資料はありませんでした。吐いていない状態も、そのまま診察で伝えて差し支えありません。

受診の材料になるのは、みぞおち周辺の症状が続くときの8項目と、食事のつかえや体重減少です。ただしどちらも主語が吐き気ではないため、当てはまらないことが様子見の根拠にはなりません。

検査で「異常なし」と言われた場合も、確かめた範囲の外がなくなるわけではありません。続いているなら、経過を持ってもう一度相談していただけます。相談先は内科から始めて差し支えありません。

吐き気が続いている状態が長くなっている方は、いつごろから続いているかと、これまでに受けた検査の結果を持って一度ご相談ください。池袋かめさん内科の内科診療では、吐き気を含む体調のご相談を受け付けています。院長は救急科専門医として全身を総合的に診てきた経験があり、受診先を決めかねている状態のままご相談いただけます。診察の結果に応じて検査を検討し、より専門的な診療が必要と判断された場合は、国立国際医療センター・帝京大学病院などへご紹介いたします。女性医師(副院長)も診察を行っております。
診療時間は9:00〜12:30と14:00〜18:00で、月曜と日祝は休診、土曜は午前のみです。雑司が谷駅2番出口から徒歩2分、目白駅から徒歩10分、鬼子母神前駅から徒歩5分、池袋駅東口(南)から徒歩13分の場所にあります。ご希望の日時で予約が取れないときでも、お電話でお取りできる場合もございますので、お問い合わせください。

03-3986-4466

受付時間:9:00-12:30/14:00-18:00

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