健康診断の結果票で、尿酸値の欄にだけ印が付いていた。書かれているのは7.2や8.4といった数字が1つだけで、その意味までは記されていません。尿酸値には7.0という広く知られた線がありますが、この線と結果票に印刷されている基準範囲は、もともと作られ方の違う別のものさしです。この記事では、いくつからが高いのかという線の話と、その線を超えたときにどこへ相談すればよいのかを学会と財団の資料から順に整理します。
7.0の線 — 高尿酸血症は血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態を指します。この線に男女の区別はありません。
線の由来 — 7.0は血液の中で尿酸が溶けきる限界から決まった値です。超えたら痛風になるという意味の線ではありません。
相談先 — 尿酸値は尿ではなく血液の検査で、内科で相談できます。健診の判定区分では7.1から7.9が軽度異常にあたります。
数字の意味をたどる前に、まず結果票のどこに尿酸値が載っているのかを確かめるところから始めます。
目次
健診の結果票で尿酸値はどこを見る?UAという略号と数字が示すもの

結果票には十数項目が並んでいて、どの行が尿酸値なのかがすぐには分からないことがあります。項目名の書かれ方と単位、そしてその数字が体の何を映しているのかを順に見ていきます。
尿酸値は結果票のUAという略号を目印に探す
結果票の項目名は、日本語で書かれている場合もあれば、アルファベットの略号で書かれている場合もあります。日本臨床検査標準協議会が公表している共用基準範囲の一覧では、尿酸の項目略号としてUAが使われています。血液検査の欄に並ぶ略号の中からUAを探すのが、いちばん短い道筋になります。
ただし、すべての結果票がUAという略号を使っているとは限りません。同じ協議会の資料は、共用基準範囲の採用をためらう施設が多いことに触れています。全国で共通して使える値が示されていても、実際にどう印刷するかは施設ごとに違うということです。
UAが見当たらないときは、「尿酸」という日本語表記の行を探してください。公益財団法人 痛風・尿酸財団も、結果票には男女別の基準値が書かれていることがあると述べており、書式には幅があります。項目名の表記が違っていても、測っている中身は同じです。
見つかったら、その行の数字と隣の基準範囲の欄をあわせて写しておくと、あとの章の話とそのまま突き合わせられます。基準範囲の欄が男女別になっているのか、1本の範囲だけなのかも、このときに見ておくとよい点です。
| 結果票での書かれ方 | 探し方 |
|---|---|
| UA | 血液検査の欄に並ぶアルファベットの略号から探す |
| 尿酸 | 日本語の項目名から探す |
| 単位の表示 | mg/dL と書かれている行を項目名とあわせて確かめる |
項目名がUAでも尿酸でも、測っている中身は同じです。一方、隣に印刷されている基準範囲の数字は施設によって変わります。その理由は次の章で扱います。
血液検査のどの数字が尿酸値にあたるか
尿酸値は、血液の中に尿酸がどれだけ含まれているかを表した数字です。単位はmg/dLで、高尿酸血症という状態も血液中の尿酸値をもとに定義されています。名前に「尿」の字が入っているため尿検査の項目と思われやすいところですが、結果票で探すのは血液検査の欄になります。
手元の結果票で行を確かめるときの手がかりは、次の3つです。
- 項目名がUAまたは尿酸である
- 単位がmg/dLと書かれている
- 尿検査の欄ではなく血液検査の欄に並んでいる
血液検査の欄には、肝機能・血中脂質・血糖といった項目も並びます。どれも同じ採血から出た数字なので、欄の位置だけでは見分けが付きません。項目名で確かめるのが確かな方法になります。なお、特定健康診査の省令で尿検査として定められているのは尿中の糖と蛋白の有無で、尿酸はそこには含まれていません。
3つがそろえば、それが尿酸値の行です。値の読み方に進む前に、まず何を映している数字なのかを押さえておきます。
尿酸値からわかること
尿酸は、体の中でDNA・RNA・ATPが分解されてできる老廃物です。DNAとRNAは遺伝情報を担う物質で、ATPは細胞がエネルギーをやりとりするときに使う物質を指します。財団の資料によると、人と一部の霊長類は尿酸を分解する酵素が遺伝的に欠損しており、そのぶん尿酸がたまりやすい体のつくりになっています。普通の方の体内では1日に約0.6gの尿酸が作られ、同じくらいの量が体の外へ出ていきます。
出ていく経路は腎臓が中心で、一部は腸管からも排泄されます。つまり結果票に並んでいる数字は、体の中で作られる量と外へ出ていく量のつり合いを、その日の血液で切り取った値ということになります。産生が増えるか排泄が落ちるかのどちらかが起きると、尿酸は体にたまっていきます。
尿酸を分解する酵素が働かないという体のつくりは、人に共通しています。尿酸がたまりやすいこと自体は、特別な体質を意味しません。そのうえで血液の中にどれだけあるかは人によって違い、その違いが結果票の数字として出てきます。
なお、尿酸が体の中で何の役に立っているのかについては、財団自身が確実なものは分かっていないと述べています。結果票から読み取れるのは、産生と排泄のつり合いとして表れた血液中の量までということになります。
尿酸値の7.0という線と結果票の基準範囲は別のものさし

いくつからが高いのかという問いには、先に短く答えておきます。高尿酸血症は、血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態です。公益財団法人 痛風・尿酸財団は、男女ともに7.0mg/dLを超えると高尿酸血症と呼ぶとしています。この線に男女の区別はありません。
ところが手元の結果票を見ると、基準範囲の欄が7.0で区切られていないことがあります。同じ尿酸値の目安に見えて、7.0という線と結果票の基準範囲は作られ方の違う別のものさしだからです。ここからは、7.0がどこから来た値なのかと、結果票の基準範囲が何を表しているのかを分けて見ていきます。
尿酸値の7.0という線は血液に溶けきる限界から決まっている
7.0という数字は、切りのよいところで区切った値ではありません。財団の資料は、通常の条件では血液の中で尿酸は7mg/dLまで溶けるが、これを超えると結晶になる傾向があると述べています。7.0は、この溶ける量の限界を線にした値ということになります。
由来がここにあるため、7.0が指しているのは病気かどうかの境目ではありません。通常の条件で尿酸が溶けきるかどうかの目安として置かれた数字です。超えた状態が続いたときに何が起こりうるのかは、この記事の後半で改めて扱います。
この線は、どこかの施設が独自に決めた数字でもありません。日本臨床検査標準協議会の資料でも、早期に介入する目安として設定された値の例として尿酸7mg/dLが名指しで挙げられています。溶解度から来た値が、そのまま介入を考える目安としても使われているという形です。
7.0という同じ数字が2つの資料に出てくるため、線の由来は1つに見えます。ただ、次に見る結果票の基準範囲は、これとはまったく違うところから作られた値です。ここを分けておかないと、範囲の外に出たことと7.0を超えたことが同じ出来事に見えてしまいます。
参考:公益財団法人 痛風・尿酸財団「血清尿酸値の正常値は?」
結果票の尿酸値の基準範囲は健康な人の分布から決まっている
一方、結果票に印刷されている基準範囲は、まったく別の考え方で作られています。日本臨床検査標準協議会の資料によると、基準範囲は健康な方の測定値の分布から求めた中央95%の区間であり、測定値を解釈するための目安にあたります。同じ資料は、基準範囲はそれ単独では診断や治療の判定の拠り所にならないとも明記しています。
結果票の欄に「基準値」と書かれていたり、調べものの途中で「正常値」という言い方に出会ったりします。どちらもたいていは、この基準範囲のことを指しています。呼び名が違っても、7.0という線とは別のものさしです。名前の印象とは違って、範囲から出たことがそのまま異常を意味する値ではありません。
中央95%という決め方も、押さえておきたいところです。健康な方を集めて測り、その分布の真ん中95%が入る幅を範囲としています。もともと、健康な方の5%は範囲の外に出る作りになっているということでもあります。健康な方から求めた幅である以上、病気の有無を切り分けるために引かれた線ではないわけです。
これに対して、特定の病態に早期に介入する目安として別に設定されている値を臨床判断値と呼びます。同じ資料は、その例として尿酸7mg/dLを名指しで挙げています。7.0という線は、こちらのものさしに属する値です。健診や特定の病態の診断で使われるのはこの臨床判断値のほうで、基準範囲とは役割が分かれています。
| 項目 | 基準範囲(基準値・正常値) | 臨床判断値 |
|---|---|---|
| 決まり方 | 健康な方の測定値の分布の中央95%の区間 | 特定の病態に早期に介入する目安として設定 |
| 尿酸での値 | 参照する資料や施設によって異なる | 尿酸7mg/dLが例として挙げられている |
| 位置づけ | 測定値を解釈する目安。それ単独では診断や治療の判定の拠り所にしない | 介入を考える目安 |
参考:日本臨床検査標準協議会「日本における主要な臨床検査項目の共用基準範囲 ―解説と利用の手引き―」
結果票の基準範囲を外れていたことと、7.0という線を超えていたことは、別々の出来事です。どちらのものさしで見ているかによって、同じ数字の呼び方は変わります。2つを重ねて読むと、範囲から出た時点で高尿酸血症と決まったように見えてしまいます。

尿酸値の基準範囲が施設や男女で分かれることがある
日本臨床検査標準協議会が定めた共用基準範囲では、尿酸(UA)の値は男女別に分かれています。
| 区分 | 共用基準範囲の尿酸(UA) |
|---|---|
| 男性 | 3.7〜7.8 mg/dL |
| 女性 | 2.6〜5.5 mg/dL |
財団も、結果票に男性3.8〜7.5mg/dLや女性2.4〜5.8mg/dLといった男女別の基準値が書かれていることがあるとしたうえで、これは参考程度のものだと述べています。
なぜ施設によって書き方が割れるのか。協議会の資料は、共用基準範囲の採用をためらう施設が多い最大の理由として、血糖値・脂質・尿酸の基準範囲の上限値が臨床判断値と異なる点を挙げています。尿酸はまさにその1つで、共用基準範囲の男性の上限7.8と、臨床判断値の7.0がずれています。協議会が挙げているのは施設が採用をためらう理由までですが、結果票の基準範囲が資料ごとに違って見える背景はここにあります。
この差は、実務のうえでも効いてきます。同じ7.5という数字が、共用基準範囲の男性の欄では範囲の内側に入り、7.0という線で見ると超えていることになります。手元の結果票が「基準範囲内」と示していても、7.0を超えていないとは限りません。どちらの数字と突き合わせたのかを、あわせて確かめておく必要があります。
ここで取り違えたくないのは、高尿酸血症と呼ぶ線そのものは男女とも7.0で変わらないという点です。分かれているのは基準範囲のほうであって、相談を考える線が男女で違うわけではありません。ただし平均的な値からの余白には差があり、財団は平均的な男性は1.5mg/dLの上昇で7.0に届くが、女性は3.0mg/dL上がらないと届かないとしています。同じ線でも、そこまでの距離が違うということです。
参考:公益財団法人 痛風・尿酸財団「痛風はなぜ男性に多いのか?」
健診で尿酸値が低いと言われたときに確かめること

尿酸値で印が付くのは高い側だけではありません。健診の判定区分には低い側の帯も用意されていて、そこには高い側とは別の考え方が置かれています。数字が小さいことを余裕があることだと読んでしまわないよう、低い側で何が示されているのかを先に整理しておきます。
尿酸値2.0以下は健診でどう判定されるか
日本人間ドック・予防医療学会の判定区分では、尿酸値2.0以下はC 要再検査・生活改善にあたります。同じC区分には8.0から8.9という高い側の帯も入っており、低い側と高い側が同じ区分の中に並んでいる形です。基準範囲より小さいというだけで判定が付かない、ということにはなりません。
同じ区分に入っているという事実は、低い側にも確かめる段階が用意されていることを示しています。付いている名前は要再検査・生活改善で、8.0から8.9の方と同じ言葉です。もっとも、低い側と高い側で確かめる中身まで同じというわけではありません。何を手がかりにするかは、このあとの見出しで扱います。
ただし、これは日本人間ドック・予防医療学会が示している区分です。そもそも尿酸値が測られない健診もあり、その事情は後の章で扱います。
尿酸値が低いのは腎臓からの排泄が増えていることが多い
公益財団法人 痛風・尿酸財団は、2mg/dL以下を低尿酸血症と呼ぶのが一般的だとしています。そのうえで、そのほとんどは腎臓の尿酸排泄機能が亢進していることによると述べています。原因の中心は、体の中で尿酸が作られなくなったことではなく、出ていく側が強く働いていることにあるという書き方です。
前の章で見たとおり、尿酸値は作られる量と出ていく量のつり合いを映した数字でした。低い側は、そのつり合いが排泄のほうに傾いている状態として説明されています。ここで「ほとんどは」という限定が付いている点は、そのまま受け取っておきたいところです。低い値がすべて同じ理由で説明できると述べた資料ではありません。
なお、今回参照した資料が低い側について触れているのは原因の中心までで、生活習慣との関係については記述がありません。低い側は、高い側と比べて資料の厚みそのものが違います。食事やお酒に心当たりを探しても、答え合わせをする材料が手元に用意されていないということになります。
低い側で手元の結果票から確かめられるのは、次の2点です。
- その値が2.0以下なのか、基準範囲を少し下回っているだけなのか
- 前の年までの健診でも同じくらいの値だったのか

尿酸値が2.0以下のときにすすめられている相談
財団は、血液の尿酸値が2mg/dL以下の方には一度、尿酸を専門とする医療機関の受診を勧めるとしています。すすめているのは公益財団法人 痛風・尿酸財団であり、健診の判定区分とは別に示されている案内です。
理由として挙げられているのが、腎臓から尿酸が多く出ていく腎性低尿酸血症という状態です。財団はこの状態の方の一部には、運動後の腎障害や尿路結石が起こることがあるとしています。ここで書けるのは「一部には」という限定の付いた範囲までで、尿酸値が低い方すべてに当てはまる話ではありません。
低い側にも学会の診療指針があります。日本痛風・尿酸核酸学会は、腎性低尿酸血症診療ガイドライン第1版を2017年に公表しました。同じ学会は高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版も公表しており、高い側と低い側の両方に学会の指針が用意されているという形です。
一方で、低尿酸血症がどれくらいの割合で見られるのかについては、今回参照した資料に記述がありません。数の見当ではなく、2.0以下という線と受診を勧めるという案内の2つが、手元で使える手がかりになります。
尿酸値が高い状態が続く原因は生活習慣だけではない

高いと言われると、まず食事やお酒に心当たりを探すことになります。ただ、尿酸値を動かす要因として資料に挙げられているのは食習慣だけではありません。この章では、数字が高いまま続く背景を、体の中の収支・習慣・薬・体型という4つの角度から整理します。
尿酸値は体内で作られる量と出ていく量のバランスで決まる
尿酸値が高い状態のまま続くとき、体の中では作られる量の増加と外へ出ていく量の減少のうち、少なくとも一方が起きています。財団は、産生が増えるか腎臓からの排泄が低下すると尿酸が蓄積すると説明しています。前の章で見たつり合いが、高い側へ傾いている状態です。
同じ7.5という数字でも、そこへたどり着いた道筋は同じとは限りません。作る側が増えているのか、出す側が落ちているのかは、結果票の数字そのものからは読み取れません。1回の採血で分かるのは、その日の血液に尿酸がどれだけあったかまでです。
章の見出しに生活習慣だけではないと置いたのは、この収支の形が背景にあるためです。尿酸値を左右するのが食事だけなら、原因は生活習慣に絞れます。実際には出ていく側の事情も同じ数字に影響するため、心当たりが見つからない高い数値も起こりえます。
出ていく側の中心にあるのが腎臓です。ただし腎臓の働きそのものを測る項目は尿酸値とは別に用意されており、その読み方はクレアチニンが高い女性の基準値の記事にまとめてあります。ここでは、尿酸が腎臓から出ていくという収支の話までにとどめます。

食べすぎや飲みすぎで尿酸値は上がるとされている
財団が尿酸値を変化させる環境要因の筆頭に置いているのが食生活です。食事内容は尿酸値に影響するというのが資料の書き方で、食品群ごとに何がどう変わるとされているかは記事の後半でまとめて扱います。アルコールについては、飲むと尿酸値は一時的に上がるとされています。
尿酸のもとになるのがプリン体です。財団が公開している食品中のプリン体含有量の一覧表では、ブタレバーや牛レバーが高いほうに並び、カツオやサンマといった魚も高めの値になっています。ビールについては、プリン体そのものよりも先に、アルコールを飲むと尿酸値が一時的に上がるという記述が置かれています。
アルコールについては、酒の種類ではなく飲むこと自体が要因として挙げられています。財団が日常で注意する点にも、一気飲みをしないことと休肝日をつくることが並んでいます。量と飲み方の話であって、銘柄を選び直すという話にはなっていません。
財団が日常で注意する点として最初に挙げているのは、肥満の解消と総カロリーの制限です。食べる中身だけでなく全体の量も並べて示されている形になります。ただしここにあるのは方向であって、何をどれだけ減らせば数字がいくつ動くという話ではありません。
習慣として続いていることと、採血の直前に何をしたかは、資料の中でも別々に扱われています。この見出しで扱っているのは、続いているほうの要因です。採血の前の短い時間で効いてくる要因のほうは、次の章でまとめます。
尿酸値は薬の影響で上がることもある
血圧や喘息のために続けている薬が、尿酸値の側に影響していることがあります。財団は、尿酸値を上昇させる薬剤と低下させる薬剤の両方を名前を挙げて示しています。
| 尿酸値への影響 | 財団が名前を挙げている薬剤 |
|---|---|
| 上昇させる | サイアザイド系降圧利尿薬・ループ利尿薬・喘息治療薬のテオフィリン・結核治療薬のピラジナマイド・少量のアスピリン |
| 低下させる | 高脂血症治療薬(特にフェノフィブラート)・高血圧治療薬(特にロサルタンやイルベサルタン) |
表の下の段にあるのは、ほかの病気の治療のために使われていて、結果として尿酸値を下げる方向に働くとされている薬です。尿酸値のために処方されているとは限りません。上の段も同じで、血圧や喘息や結核といったそれぞれの目的で使われています。
注意したいのは、名前が挙がっているからといって、その薬をやめる理由にはならないという点です。もともとの病気を抑えるために使われている薬であり、続けるかどうかは処方した医師が判断します。手元でできるのは、今飲んでいる薬を書き出して診察のときに伝えることまでになります。
参考:公益財団法人 痛風・尿酸財団「尿酸値を変化させる要因」
尿酸値が高いのは太っている人だけとは限らない
財団は、痛風の患者の60%に肥満が見られるとしています。裏を返せば、痛風の患者であっても全員に肥満が見られるわけではないということになります。
原因の並び順にも注意が要ります。財団の資料は、どの要因がどれくらいの割合を占めるのかという頻度の順番を示していません。食生活・飲酒・運動・脱水・ストレス・ほかの病気・薬剤という要因が並べて挙げられているだけで、上から順に多いという書き方はされていません。
この60%は、あくまで痛風の患者についての数字です。尿酸値が高い方全体の体型の分布は、この数字からは分かりません。それでも、体型だけで手元の数字の説明を付けようとすると行き止まりになることは、ここから読み取れます。
痩せていて、お酒も飲まないのに数字が高いという状況は起こりえます。そのときに手がかりになるのは、心当たりを1つに絞り込むことよりも、前の年までの数値と並べて動きを見ることです。次の章では、その並べ方を扱います。
採血のたびに尿酸値は動く?前回の結果との比べ方

尿酸値は、採血のたびにまったく同じ数字が出る項目ではありません。前の年と比べて上がった下がったという動きを、どこまで意味のあるものとして読めばよいのか。ここでは一時的に振れる要因と、前回の結果との並べ方を分けて整理します。
尿酸値が一時的に上がることがある場面
財団が挙げている環境要因のうち、採血の前の短い時間の中で効いてくるものがいくつかあります。
- アルコールを飲むと尿酸値は一時的に上がる
- 短時間の激しい運動(無酸素運動)は尿酸値を一時的に上昇させる
- 発汗や下痢で脱水状態になったときも上昇する
- ストレスや過剰な脳活動も上昇させると考えられている
前の章で扱ったのは、日ごろの食生活や飲酒の習慣でした。ここで並べているのは、採血の前の条件でその日の数字が振れる場面です。同じアルコールでも、習慣として飲み続けていることと、採血の前に飲んだことは別のものとして扱われています。
なお、健診の前日や当日をどう過ごすかは健康診断の前日の食事と飲酒は何時間前までの記事で扱っており、ここでは数字が振れる要因があるというところまでにとどめます。
前回の健診の尿酸値と並べて見るとわかること
1回の数字だけを見ていると、7.0を超えたかどうかだけが目に入ります。ただ、その日の条件で振れる要因がある以上、1回の値だけで決めつけないというのが資料から言える範囲になります。
前の年までの結果票が残っていれば、今回の分と一緒に持っていってください。同じくらいの値が続いているのか、少しずつ上がってきているのか。それとも今年だけ飛び出しているのか。並べたまま伝えられます。
並べたときに見えてくるのは、位置ではなく動きです。今年の1枚だけを見ていると、7.0という線との距離しか分かりません。3年分を並べれば、線に近づいてきたのか今年だけ跳ねたのか、それともずっと同じところにいるのかが分かれます。同じ7.2でも、去年が5.5だった方と7.1だった方では、見えている動きが違います。
一方で、ここには書けないこともあります。前回と比べて何mg/dL動いたら異常なのかという閾値は、今回参照した資料にありません。動いた幅を自分で採点することはできないので、並べた結果票をそのまま持っていくほうが実際的です。
検査値が採血のたびに動くこと自体は、尿酸値に限った話ではありません。ほかの項目での考え方は白血球が多い・少ないと言われたの記事でも扱っています。
尿酸値が動く要因は、採血の前の条件だけにとどまりません。財団は環境要因としてほかの病気や薬剤も並べており、生活習慣の心当たりだけで説明が付くとは限らないという書き方になっています。
毎年少しずつ上がった尿酸値が7.0を超えると健診の判定が変わる
毎年の健診で少しずつ上がってきて、ある年に7.0を超える。この動き方をしたときに変わるのは、結果票に付く判定の区分です。日本人間ドック・予防医療学会の判定区分では、2.1から7.0がA 異常なし、7.1から7.9がB 軽度異常にあたります。7.0と7.1のあいだで、区分の名前が変わります。
数字としての差は0.1です。それでも線をまたいだかどうかで印の付き方が変わるため、去年まで何も言われなかった方が今年になって初めて指摘される、ということが起こります。印が付いた年に、体の側で何かが急に変わったとは限りません。去年は7.0のすぐ手前にいて、今年0.1だけ動いたという並びもあります。
毎年ぎりぎりで引っかかる、という受け止め方をされることもあります。ただ区分の側から見ると、A 異常なしとB 軽度異常のあいだに幅はなく、7.0と7.1で名前が切り替わるだけです。ぎりぎりという言い方は、区分の表には出てきません。表にあるのは帯の境目だけで、そこにどれくらい近いのかは、並べた数字の側から読み取ることになります。
区分そのものの中身と、区分ごとに何を求められているのかは、受診の目安の章でまとめて扱います。この見出しで確かめておきたいのは、判定が変わった年と、数字が大きく動いた年は同じとは限らないという点です。判定の変化は線をまたいだかどうかで決まり、数字の変化はそれとは別に起きています。手元にある数字の並びを見れば、今年何が起きたのかを自分の側で確かめられます。
尿酸値が高い状態が続くとどうなる?

ここまでで、7.0という線がどこから来た値なのかは押さえました。この章で扱うのは、その線を超えた状態が続いたときに何が起こりうるかです。線の引き方の話ではなく、線の向こう側について資料が何を報告しているのかを見ていきます。
尿酸値が7.0を超えると尿酸が結晶になりやすくなる
通常の条件では血液の中で尿酸は7mg/dLまで溶け、これを超えると結晶になる傾向がある。財団の記述はこうなっていました。ここで結晶になるのは尿酸そのものであって、尿酸値という数字が結晶になるわけではありません。7.0を超えた数字が示しているのは、溶けきる量を上回る尿酸が血液の中にあるという状態です。
次の見出しで扱う病気の話が「高い状態が続く人」を主語にしているのは、この溶けきらない状態が背景にあるためです。1回の採血で7.1だったことと、高い状態が続いていることは、同じ意味ではありません。
なお、財団の記述には「通常の条件では」という前置きが付いています。体の状態によって溶けやすさが変わりうることを含んだ書き方であり、7.0がどんなときでも動かない境目として置かれているわけではありません。7.0を1つの合図として扱いつつ、そこに幅があることも同時に書かれているという読み方になります。
前の章で見たとおり、尿酸値は採血のたびに振れる項目でもあります。1回の数字が7.0のどちら側にあったかよりも、高い状態が続いているのかどうかのほうが、この先の話につながります。
尿酸値が高い状態が続く人に多いと報告されている尿路結石などの病気
財団は、高尿酸血症や痛風に多い併存として次のものを挙げています。
| 尿酸とのつながり | 財団が挙げているもの |
|---|---|
| 尿酸の結晶が原因とされている | 尿路結石 |
| 併存として挙げられているが尿酸との関係は分かっていない | 心血管障害・脳血管障害・肥満・高血圧・高脂血症 |
このうち尿路結石は、尿酸の結晶が原因だとされています。前の見出しで見た結晶が、尿の通り道でできる形です。
下の段に並んでいるものについては、書き方が変わります。財団は、尿酸と直接の関係があるのか間接的な関係なのかは分かっていないと明記しています。同じ方に一緒に見られることが報告されていても、尿酸値が高いことがそれらを引き起こすと述べているわけではありません。
主語にも気をつけておきたいところです。ここで挙げられているのは高尿酸血症や痛風に多い併存であって、一時的に7.0を超えただけの方まで含めた話ではありません。
並んでいるものの中には、肥満や高血圧のように生活習慣病として別に語られるものも含まれています。尿酸値の高さだけで、この並び全体を説明できるわけではありません。財団が関係の中身に但し書きを付けているのも、そうした事情によるものと読めます。
参考:公益財団法人 痛風・尿酸財団「痛風にはどんな合併症がありますか?」
尿酸値が高いだけで病気と決まるわけではない
前の見出しで並べたものは、いずれも多いと報告されている併存であって、尿酸値が高い方に起こると決まっているものではありません。財団自身が、直接の関係か間接的な関係かは分かっていないと書いています。数字が高いことと、病気があることは同じではありません。
同時に、これを「だから様子を見ていてよい」と読むこともできません。分かっていないのは関係の中身であって、関係が無いという意味ではないためです。仕組みが解き明かされていなくても、高い状態が続いているかどうかは確かめておく話になります。
ただし、尿路結石だけは尿酸の結晶が原因だとはっきり示されています。並んでいるものをひとまとめに受け取ると、この差が見えなくなります。
では、どこからが相談したほうがよい数字なのか。その目安は健診の判定区分という形で示されています。区分ごとの線と相談先は、このあとの受診の目安の章でまとめて扱います。
健診の種類によっては尿酸値が測られない

ここまでは、手元の結果票に尿酸値の数字があることを前提に読み進めてきました。ただ、今回は載っていたとしても、健診の種類によっては尿酸値が測られません。来年も同じように数字が並ぶとは限らないため、どの健診に尿酸値が入っているのかをここで確かめておきます。
特定健診や事業者健診の項目に尿酸値は入っていない
40歳から74歳の方が受ける特定健康診査の項目は、省令で定められています。第一条に並んでいるのは、既往歴の調査・症状の検査・身長と体重と腹囲・BMI・血圧・肝機能検査・血中脂質検査・血糖検査・尿中の糖と蛋白の検査です。医師が必要と認めるときに行う項目もありますが、この条文に「尿酸」という語は1回も出てきません。
会社で受ける定期健康診断も同じです。労働安全衛生規則第44条に基づく項目として厚生労働省が示している一覧には、貧血検査・肝機能検査・血中脂質検査・血糖検査・尿検査・心電図検査までが並んでいます。尿酸はここにも入っていません。
| 健診 | 法定の項目に並んでいる血液の検査 |
|---|---|
| 特定健康診査(省令 第一条) | 肝機能検査・血中脂質検査・血糖検査 |
| 定期健康診断(労働安全衛生規則第44条) | 貧血検査・肝機能検査・血中脂質検査・血糖検査 |
省令には、ほかの法令に基づく健診を特定健康診査に代えられる場合の読み替え項目も定められています。そこにも尿酸は出てきません。血清クレアチニンのように条文の側で名前が挙がっている検査項目もあるなかで、尿酸はどちらの並びにも入っていないことになります。
つまり結果票に尿酸値が載っていたのなら、それは法律で決められた項目としてではなく、受けた健診が独自に加えていた項目ということになります。
参考:厚生労働省「特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準」/厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断の項目」/e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第44条

人間ドックの判定区分には尿酸値が入っている
一方で、日本人間ドック・予防医療学会が示している判定区分の表には、尿酸の行があります。単位はmg/dLで、A 異常なしからD 要精密検査・治療までの区分が数値の帯とともに並んでいます。
ここは読み方に注意が要ります。判定区分に行があるということは、その学会が尿酸値に判定の線を用意しているという意味であって、人間ドックであればどこでも測られると述べているわけではありません。実際に測ったかどうかは、受けたコースと手元の結果票が示しています。
もう1つ目を引くのが、尿酸の行に男女別の欄が無いことです。同じ表のBMIや腹囲には男女別の欄が用意されているのに、尿酸は男女共通の1行になっています。共用基準範囲が男女で分かれていたのとは対照的な作りです。
去年は指摘されなかったのに今年になって言われた、という場合があります。このとき、去年の数字が線の内側だったのか、そもそも去年は測っていなかったのかで意味が変わります。過去の結果票に尿酸値の欄そのものがあるかどうかから確かめてください。
結果票に尿酸値が無いときに確かめる健診の種類
法律で決められた項目に入っていない以上、尿酸値が測られるかどうかは、受けた健診の種類とそこに加えられた項目で決まります。手元の結果票に欄が見当たらないときは、次の順で確かめてください。
- 受けたのが特定健診・事業者健診・人間ドックのどれだったか
- 血液検査の欄にUAまたは尿酸の行があるか
- 前の年までの結果票には欄があったか
- 項目を追加できるコースだったか
| 受けた健診 | 尿酸値の欄 | 次に確かめること |
|---|---|---|
| 特定健康診査 | 法定の項目には無い | 追加項目として実施されていたか |
| 定期健康診断(事業者健診) | 法定の項目には無い | 会社が独自に加えていたか |
| 人間ドック | 学会の判定区分に行がある | 受けたコースに含まれていたか |
国が示している標準的な健診・保健指導プログラムのフィードバック文例集を見ても、尿酸値だけを取り上げた項目は置かれていません。全45ページのうち「尿酸」という語が出てくるのは2ページだけで、いずれもほかの項目の説明の中で並べて挙げられているにとどまります。少なくともこの文例集では、尿酸値に独立した項目が置かれていません。
測られていなかったことは、体に問題が無かったことを意味しません。項目に入っていなかったというだけです。気になる場合は、次の健診で追加できるかどうかを含めて相談することになります。過去に一度でも尿酸値の数字が残っていれば、それを起点に動きを見ることもできます。
参考:厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」フィードバック文例集
尿酸値が高いと言われたら何科に相談する?受診の目安

数字の意味と背景をたどってきました。残っているのは、いつ・どこに相談するかです。健診の判定区分には数値ごとの帯が用意されていて、それぞれに何を求められているのかが書かれています。まず区分を全体で見てから、相談先に進みます。
尿酸値7.1から7.9は健診で軽度異常と判定される
日本人間ドック・予防医療学会の判定区分では、尿酸値7.1から7.9はB 軽度異常にあたります。尿酸の行の全体は次のとおりです。
| 判定区分 | 尿酸値(mg/dL) |
|---|---|
| A 異常なし | 2.1〜7.0 |
| B 軽度異常 | 7.1〜7.9 |
| C 要再検査・生活改善 | 2.0以下・8.0〜8.9 |
| D 要精密検査・治療 | 9.0以上 |
この表で最初に確かめておきたいのは、これが日本人間ドック・予防医療学会の区分であるという点です。前の章で見たとおり、特定健診や事業者健診の法定の項目に尿酸値は入っていません。どの健診を受けても同じ判定が出るという意味ではないということになります。
7.1から7.9のB 軽度異常は、名前のとおり軽度の異常という位置づけです。ただし軽度という言葉から、確かめなくてよいという意味を読み取ることはできません。Aの上限が7.0でBの下限が7.1という並びは、高尿酸血症を分ける7.0という線を、そのまま区分の境目に使ったものです。
表を見るときは、自分の数字がどの帯に入るかだけでなく、境目までの近さも見ておくと分かりやすくなります。Bは7.1から7.9、Cの高い側は8.0から8.9です。境目では0.1の違いで区分の名前が変わります。
参考:日本人間ドック・予防医療学会「判定区分(2026年4月1日改定)」
出典 — この区分は日本人間ドック・予防医療学会が示しているもので、すべての健診に一律に当てはまるものではありません。
境目 — 帯は0.1刻みで区切られています。7.0と7.1のあいだ、7.9と8.0のあいだで区分の名前が変わります。
低い側 — 2.0以下も、高い側の8.0から8.9と同じCに入ります。
尿酸値8.0から8.9と9.0以上で分かれる健診の判定
同じ表の中で、8.0から8.9と9.0以上は別の区分に分かれています。日本人間ドック・予防医療学会の判定区分では、8.0から8.9がC 要再検査・生活改善で、9.0以上がD 要精密検査・治療です。
境目の読み方を確かめておきます。Cの帯は「8.0を超えた」ではなく「8.0から」です。8.0ちょうどはCに含まれます。Dも同じく9.0以上なので、9.0ちょうどが入ります。0.1の違いで区分の名前が変わる場所なので、手元の数字を表と突き合わせるときはここを見てください。
区分の名前が示しているのは、次にどの段階へ進むかという振り分けです。Cには再検査と生活改善、Dには精密検査と治療という言葉が付いています。ただしこの区分は、何をいつ始めるかまでを決めているものではありません。そこから先は診察の中で決まるもので、判定区分が示しているのは入口までです。
区分の名前は、次にどの対応を考えるかの手がかりになります。ただし区分が付くときに見ているのは数字だけで、そこにほかの検査の結果や体の状態は入っていません。区分は入口の振り分けであって、診断ではありません。受診の時期も、ほかの検査の結果や体の状態を含めて判断されます。
数値の線引きと受診の目安をどう考えるかは、ほかの検査項目でも同じ形の問題になります。血圧での考え方は血圧の下が高いのはいくつからの記事にまとめてあります。

尿酸値は尿ではなく血液の検査であり内科で相談できる
区分の意味が分かったところで、相談先の話に進みます。
尿酸値が高いと言われたとき、何科へ行けばよいのか。尿酸値という名前には「尿」の字が入っているため、泌尿器科だと考える方がいます。ただ、尿酸値は尿ではなく血液を調べて出す数字です。高尿酸血症という状態も、血液中の尿酸値をもとに定義されています。結果票でも、尿酸値は血液検査の欄に並んでいます。
なお、前の章で挙げた尿路結石は泌尿器科でも扱われる病気です。字の印象から連想する診療科が、いつも的外れになるわけではありません。ここで押さえておきたいのは、尿酸値そのものは血液検査の項目であり、内科で相談できるということです。
相談の前に確かめておくとよいのは、次の3点です。
- 相談先 — 高尿酸血症は生活習慣病の1つとして内科で扱われる
- 手元の材料 — 今回の結果票と、残っていれば前の年までの結果票
- 数値の位置 — 判定区分のどの帯に入っているか
健診で指摘されたのが尿酸値だけであっても、相談の入口は変わりません。数値の意味と次の段階は、判定区分と過去の結果を突き合わせながら決まっていきます。そろえておくものは、記事の後半で改めて整理します。
尿酸値が高くても自覚症状が出ないことがある
尿酸値が高いときに症状は出るのか。答えは、出ないことがあるです。
生活習慣病は自覚症状が少ないまま進むことがあり、糖尿病・高血圧・脂質異常症とともに、高尿酸血症もその代表として並べられています。自覚症状がないことは、体の中で何も起きていないことの証明にはなりません。
公益財団法人 痛風・尿酸財団も、痛風が起きる前に血液の尿酸値が高い状態が長く続くと述べています。発作より前に、高い状態だけが続く段階があるという書き方です。
体感だけでは確かめにくいぶん、記録された数字が大事な手がかりになります。何も感じないまま1年が過ぎて、次に数字を見るのが翌年の健診になると、そのあいだにどう動いていたのかは分からないままになります。
高い状態が続いたときに何が報告されているのかは、すでに前の章で扱いました。ここで確かめたいのは1点だけです。自覚症状がないことは、相談しなくてよい理由にはなりません。数字で分かることを、体感で置き換えることはできないためです。
尿酸値を下げる食べ物や運動でわかっていること

尿酸値を下げる食べ物や運動を探し始めると、出てくる情報の幅が広く、どこまでが資料に書かれていることなのかが分かりにくくなります。この章では財団の資料に書かれている範囲だけを扱います。並び順としては、まず上げる側から整理して、そのあとで下げる側と水分・運動に進みます。
肉や魚介類は尿酸値に影響し痛風を増やすとされている
財団は、食事内容は尿酸値に影響しますと述べたうえで、食品群ごとの方向を示しています。上げる側として挙げられているのが肉と海産物で、肉食は痛風を増やし、海産物も痛風を少し増やすとされています。
ここで気をつけたいのが、この記述の目的語です。増える・減ると書かれているのは痛風のほうであって、尿酸値そのものを測った結果ではありません。食事内容が尿酸値に影響するというところまでと、痛風の増減という結論は、別々の文で示されています。この記事でも、その2つを混ぜずにそのまま書きます。
もう1つ、控えたら数字が下がるという逆向きの話は、ここには書かれていません。増やす方向が示されていることと、減らせば下がることは別の主張になるためです。
程度の差にも目を向けておきたいところです。肉については増やすと書かれ、海産物については少し増やすと書かれています。同じ上げる側でも、示されている強さはそろっていません。
前の章で挙げたのはビールやレバーといった個別の食品の名前でした。ここで扱っているのは食品群としての方向で、同じ話を細かくしたものではありません。
野菜や乳製品は尿酸値に影響し痛風を減らすと考えられている
対になる下げる側として、財団は野菜と乳製品を挙げています。野菜は痛風を減らし、乳製品も減らすと考えられているという書き方です。
| 食品群 | 財団の記述 |
|---|---|
| 肉 | 痛風を増やす |
| 海産物 | 痛風を少し増やす |
| 野菜 | 痛風を減らすと考えられている |
| 乳製品 | 痛風を減らすと考えられている |
表にすると分かりやすいのが、確度の書き方の違いです。減らす側には「考えられている」という言い方が付いていて、増やす側の書き方とは強さがそろっていません。どちらか一方だけを強めて読むと、資料が示している以上のことを受け取ることになります。
また、ここに並んでいるのは食品群であって、順位ではありません。どれをどれだけ変えると効くのかという並べ方は、財団の側から示されていません。
食事について書かれているのは方向までです。何をどれだけ食べれば尿酸値がいくつ動くのかという数値は、今回参照した資料には示されていません。数字の動きを確かめる手段は、次の採血で測ることになります。

尿酸値が高い人にすすめられている水分のとり方
公益財団法人 痛風・尿酸財団は、日常で注意する点として5つを挙げています。水分の摂取はその1つで、少なくとも毎日2リットル以上という数字が付いています。
- 肥満を解消する(総カロリーの制限・偏食を避ける)
- アルコール飲料を控える(一気飲みをしない・休肝日をつくる)
- 積極的に水分を摂取する(少なくとも毎日2リットル以上)
- 軽い運動を行う
- 精神的なストレスを緩和する
すすめているのがどこなのかは、押さえておく価値があります。この5項目は公益財団法人 痛風・尿酸財団が示しているもので、健診の判定区分とは別の資料です。判定区分が数値の振り分けを示すのに対して、こちらは日常で気をつける点をまとめたものになります。
そのうえで確かめておきたいのは、2リットル以上という数字が摂取する側の量であって、尿酸値の側の数字ではないという点です。下がる幅を約束した記述としては置かれていません。
5項目のうち、この記事で別に扱っているのは肥満の解消と軽い運動です。アルコールについては原因の章で、ストレスは採血のたびに数字が振れる要因のところで触れました。財団の並びは、日常の側から見た注意点をひとまとめにしたものになっています。
なお、ほかの病気の治療で水分量の指示を受けている方は、その指示が優先されます。ここに挙げた5項目は日常の一般的な注意点であり、個別の指示に置き換わるものではありません。
有酸素運動は尿酸値を上げにくいとされている
運動については、種類によって書かれていることが変わります。
| 運動の種類 | 財団の記述 |
|---|---|
| 短時間の激しい運動(無酸素運動) | 尿酸値を一時的に上昇させる |
| 長時間の有酸素運動 | 上昇が比較的軽い |
| 軽い運動(ウォーキングなどの有酸素運動) | 尿酸値を上げず、高血圧などの合併症にも有効とされている |
同じ運動でも、短時間に強く体を使う無酸素運動は一時的な上昇の要因として挙がり、ウォーキングのような有酸素運動は尿酸値を上げないものとして挙がっています。財団が日常で注意する点に入れているのは、有酸素運動のほうです。
運動については、いつ体を動かしたかも関わってきます。短時間の激しい運動が一時的な上昇の要因として挙げられている以上、採血の直前に強く体を使っていれば、その日の数字はふだんと違っている可能性があります。運動の習慣と、採血の直前の運動は別のものとして並べられています。
ここでも読み方に線を引いておきます。書かれているのは上げないであって、下げるではありません。有酸素運動で尿酸値が下がるという記述は、今回参照した資料には見当たりません。なぜ上げにくいのかという仕組みについても、資料は説明していません。書ける範囲は、無酸素運動との対比までになります。
参考:公益財団法人 痛風・尿酸財団「日常注意するポイントは?」
尿酸値の再検査や相談ができる池袋かめさん内科

ここまでは、学会と財団の資料に書かれていることを整理してきました。最後に、結果票を持って相談する先として、当院で対応している範囲をご案内します。
当院が受け入れている尿酸値の異常の再検査と二次検査
池袋かめさん内科では、血液検査や健康診断の再検査・二次検査をお受けしています。内科のページに挙げている受け入れ項目の中に、尿酸値の異常(高尿酸血症・痛風)が含まれています。健康診断で血糖値やコレステロール値の異常を指摘された方と同じく、健診結果で再検査を指示された方もご相談ください。
結果票に書かれる言葉は健診の実施機関によって違い、再検査となることも二次検査となることもあります。当院はこの2つを1つの枠としてご案内しています。どちらの言葉で指示されていても、まずはご相談ください。
内科のページに並べている受け入れ項目は、血糖値の異常・中性脂肪やコレステロール値の異常・尿酸値の異常・肝機能の異常・腎機能の異常・高血圧・肥満です。結果票で複数の項目に印が付いていた場合も、まとめてご相談いただけます。
生活習慣病の治療は保険診療で行えます。糖尿病・高血圧・脂質異常症とともに、高尿酸血症(痛風)も対象に含まれます。
尿酸値の載った結果票を持参すると改めての検査が不要になることもある
当院の受診の流れでは、必要に応じて血液検査・尿検査・心電図・レントゲンなどの検査を行います。そのうえで、健康診断の結果や他院での検査結果をお持ちいただいている場合は、改めての検査が不要になることもありますとご案内しています。
ここは「こともあります」という書き方のとおりです。持参すれば検査が省けると決まっているわけではなく、何を追加で調べるかは診察の中で決まります。それでも、手元の数値が分かっている状態から話を始められるという点は変わりません。
相談の前にそろえておくとよいものを挙げておきます。
- 今回の健診の結果票
- 前の年までの結果票
- 今飲んでいる薬が分かるもの
- 尿酸値が測られたのがどの健診だったか
前の章で見たとおり、尿酸値は健診の種類によっては測られない項目です。どの健診で測ったのかが分かると、次に受ける健診で同じ項目が並ぶかどうかも見当が付きます。
薬については、続けているものがそのまま手がかりになります。お薬手帳のように名前が分かるものをお持ちいただけると、診察のときに確かめられる範囲が広がります。
当院で尿酸値を相談できる診療時間と休診日
当院は雑司が谷駅から2分、目白駅から10分の場所にあります。診療時間と休診日は次のとおりです。
| 曜日 | 診療時間 |
|---|---|
| 火・水・木・金 | 9:00〜12:30 と 14:00〜18:00 |
| 土 | 9:00〜12:30 の午前のみ |
| 月・日祝 | 終日休診 |
月曜と日祝は終日休診で、土曜は午前のみの診療となります。受診の方法は内科診療のページでご確認のうえ、結果票をお持ちください。
健診で尿酸値を指摘された方へ
池袋かめさん内科の内科診療では、血液検査や健康診断の再検査・二次検査をお受けしています。受け入れている項目には尿酸値の異常(高尿酸血症・痛風)が含まれており、健診結果で再検査を指示された方もご相談いただけます。結果票をお持ちいただければ、その数値を見ながら次に必要な検査をご説明いたします。
尿酸値が高いときによくある質問

ここでは、尿酸値について寄せられやすい質問を8つまとめます。
尿酸値は水をたくさん飲むと下がる?
今回参照した資料では、下がるとは答えられません。公益財団法人 痛風・尿酸財団は積極的な水分摂取をすすめていますが、数値を下げる方法として示した記述ではないためです。すすめている量は記事の中ほどで扱いました。飲む量を増やしたことと次の採血の結果を結び付けて確かめる材料も、手元にはありません。
コーヒーは尿酸値を下げる?
日本の学会や財団の資料に、コーヒーを尿酸値の対策としてすすめる記載は見当たりません。財団が公開している食品中のプリン体含有量の一覧表にコーヒーの行は無く、日常で注意する点として挙げられている5項目にもコーヒーは出てきません。すすめられていないことと、飲んではいけないことは別の話です。ここで言えるのは、尿酸値のためにコーヒーを増やす根拠として使える記述が、今回参照した範囲には無いということになります。
なお、財団の一覧表に載っているのは食品中のプリン体の量で、飲みものが尿酸値に与える影響をまとめた表ではありません。コーヒーの行が無いことが、影響が無いことを示しているわけでもありません。確かめられるのは、記載が見当たらないというところまでです。
尿酸値が高い人は納豆を食べてはいけない?
食べてよいかどうかを判断した記述は、今回参照した資料にありません。分かっているのはプリン体の量のほうです。財団の一覧表では、100gあたりの含有量が次のようになっています。
| 食品 | プリン体含有量(mg/100g) |
|---|---|
| 鶏卵 | 0.0 |
| 牛乳 | 0.16 |
| 豆腐(冷奴) | 31.1 |
| 納豆 | 56.6〜113.9 |
| 乾燥大豆 | 172.5 |
| 牛レバー | 219.8 |
| ブタレバー | 284.8 |
納豆の値はレバーより低く、鶏卵や牛乳より高い位置にあります。同じ大豆から作られたものでも、冷奴と乾燥大豆では並ぶ位置が違います。この数字から食べてよい量まで決めることはできません。量と頻度をどうするかは、手元の数値を見ながら相談する話になります。
参考:公益財団法人 痛風・尿酸財団「食品中のプリン体含有量 一覧表」
尿酸値は痩せると下がる?
痩せると何mg/dL下がるという数字は、財団の資料に示されていません。分かっているのは、日常で注意する点の筆頭に肥満の解消が置かれていることと、痛風の患者の60%に肥満が見られるとされていることです。減量がすすめられている方向であることは示されていますが、数値の変化として約束されているわけではありません。この60%も、裏を返せば痛風の患者の全員に肥満が見られるわけではないという数字です。体重だけを手がかりにすると、見落とす部分が出てきます。
尿酸値の再検査では何をする?
尿酸値は血液を調べて出す数字なので、測り直すときも採血になります。ほかにどの項目を一緒に調べるかは、健診で指摘された内容と診察の結果によって変わります。手元に結果票があれば、そこに書かれた数値と基準範囲を見ながら話を進められます。いつ受けるかについても、資料の側に一律の日数は示されていません。何をどこまで行うかは、結果票を持参して受診先で確かめてください。
尿酸値が7.0を超えたらすぐ痛風になる?
7.0という線は、そういう意味の線ではありません。7.0は血液の中で尿酸が溶けきる限界から決まった値で、超えた状態を高尿酸血症と呼ぶための線です。財団は、痛風が起きる前に血液の尿酸値が高い状態が長く続くと述べており、線を超えた時点と発作が同じタイミングで起きるという書き方はしていません。一方で、超えた状態が続いていること自体は確かめておきたい状態にあたります。線を超えたことと、すぐに何かが起きることは、分けて考えてください。

尿酸値だけが高いときはどう考える?
ほかの項目が基準範囲の中で、尿酸値だけに印が付くことはあります。このとき見ておきたいのは2つです。1つは、その数字が結果票の基準範囲を外れたのか、それとも7.0という線を超えたのかという区別です。基準範囲と臨床判断値は別のものさしで、施設によって基準範囲の数字も変わります。もう1つは、日本人間ドック・予防医療学会の判定区分でどの帯に入るかです。7.1から7.9はB 軽度異常、8.0から8.9はC、9.0以上はDにあたります。1項目だけの印であっても、区分は同じように付きます。ほかの項目に印が無いことは、尿酸値の印を打ち消す材料にはなりません。区分は項目ごとに分かれて付けられているためです。

尿酸値は年齢によって変わる?
年齢とともに上がると一般化できる記述は見当たりません。財団が示しているのは、女性ホルモンに腎臓からの尿酸の排泄を促す働きがあり、閉経後にその分泌が減ると尿酸値は少し上昇するということです。そのうえで、50歳を越えると男女の尿酸値の差は小さくなるとされています。ここに書かれているのはホルモンの分泌の変化に伴う動きであって、年齢そのものが数値を押し上げるという説明ではありません。手元の数値がどう動いているかは、前の年までの結果票と並べて確かめるほうが確かです。
健診の結果票で尿酸値に印が付いたとき、確かめる順番は3つに整理できます。どのものさしで見た印なのか、どの帯に入るのか、そして測ったのがどの健診だったのかです。
1つ目のものさしについては、7.0という線と結果票の基準範囲が別物であることが出発点になります。基準範囲は健康な方の測定値の分布から求めた区間で、それ単独では診断や治療の判定の拠り所にならないと明記されています。共用基準範囲の男性の上限は7.8で、7.0とはずれています。同じ7.5という数字が、見ている表によって範囲の内側にも高尿酸血症にもなります。
2つ目の帯については、日本人間ドック・予防医療学会の判定区分が目安になります。低い側にも区分があり、2.0以下の方には尿酸を専門とする医療機関の受診が勧められています。自覚症状が出ないことがあるため、体感で置き換えることはできません。
3つ目については、特定健診と事業者健診の法定の項目に尿酸値が入っていないという事情があります。去年印が付かなかったことが、去年の数字が低かったことを意味するとは限りません。測っていなかった可能性もあります。過去の結果票に尿酸値の欄そのものがあるかどうかから確かめると、この区別が付きます。
下げる側について書けることの範囲も、あわせて押さえておきたいところです。財団が示しているのは食品群ごとの方向と、日常で注意する5つの点までで、何をどれだけ変えれば数字がいくつ動くという記述はありません。水分は積極的に摂ることがすすめられ、軽い運動は尿酸値を上げないものとして挙げられています。上げないと下げるは別の言葉です。手元の結果票をそろえて並べれば、ここまでの3つはその場で確かめられます。
答えは、男女とも7.0mg/dLを超えたところからです。ただしこの7.0は血液の中で尿酸が溶けきる限界から決まった線であって、超えたら痛風になるという意味の線ではありません。
結果票の基準範囲はこれとは別に作られたものさしで、施設によって数字が変わります。相談の目安として使えるのは、日本人間ドック・予防医療学会の判定区分のほうです。尿酸値は尿ではなく血液の検査なので、相談先は内科になります。
健診の結果票を持って、一度内科でご相談ください。池袋かめさん内科の内科診療では、血液検査や健康診断の再検査・二次検査をお受けしており、受け入れている項目には尿酸値の異常(高尿酸血症・痛風)が含まれています。結果票をお持ちいただければ、その数値を見ながら次に必要な検査と今後の進め方をご説明いたします。
診療時間は9:00-12:30と14:00-18:00で、月曜と日祝は休診、土曜は午前のみです。雑司が谷駅から2分、目白駅から10分の場所にあります。

