気になる症状

みぞおちが痛い原因は?受診の目安と検査でわかることまで

みぞおちが痛いときに調べると、出てくるのは胃の話ばかりです。ただ、みぞおちの奥にあるのは胃だけではありません。みぞおちの痛みは胃や十二指腸などの消化管のほかに、胆のうや膵臓、そして心臓の病気でも起こることがあります。日本消化器内視鏡学会も、みぞおち(心窩部)には胃のほかにも多くの臓器があると説明しています。自分では胃の痛みだと思っていても、実は胆道や膵臓など他の臓器に由来する症状であることが少なくない、という書き方です。稀ではあるものの、心筋梗塞や大動脈瘤といった循環器の病気で症状が出ることもあるとされています。

この記事で扱うこと

みぞおちがどこを指し、奥にどの臓器があるのかを1章で扱います。
原因として何が考えられるのかは3章から5章で、痛みの出方や痛む場所からどこまで言えてどこから先は言えないのかまで含めて整理します。
受診の目安は2章に、何科へ相談するかは10章に、検査でどこまでわかるのかは11章にまとめています。

この記事は、学会の診療ガイドラインと公的機関の資料、医学マニュアルに書かれている範囲で整理しています。個別の痛みが何によるものかは、診察と検査を経なければ決められません。資料で確かめられないことは、確かめられないままの形で書きます。

参考:日本消化器内視鏡学会「胃痛(胃もたれ)の原因は、内視鏡でわかりますか?」(2024年12月5日更新)

目次

みぞおちはどこ?位置と奥にある臓器

みぞおちはどこ?位置と奥にある臓器

痛みの話に入る前に、みぞおちがどのあたりを指す言葉なのかを押さえておきます。この章では、資料上の呼び名と、その奥にあるとされる臓器を確かめます。そのうえで、位置から原因をどこまで考えられるのかを見ていきます。位置の話は、あとの章で出てくる「痛む場所だけでは決められない」という結論の前提になります。

みぞおち(心窩部・しんかぶ)は上腹部のまん中あたり

医学の資料では、みぞおちを心窩部(しんかぶ)と呼びます。日本消化器病学会の患者向けガイドも、この2つを「みぞおちの痛み(心窩部痛)」という形で並べて書いています。学会の資料そのものが両方を使っているので、この記事でも以降は「みぞおち」で通します。

同学会の診療ガイドラインは、この部位のことを「心窩部を中心とする腹部症状」という言い方で表しています。中心という語が示すとおり、点ではなく範囲を指す言葉です。

一方で、みぞおちがどこからどこまでなのかを数値で示した記述は、今回参照した資料の中にはありませんでした。何センチ四方といった線引きは資料の側にないため、この記事でも境界は引きません。かわりに参考になるのが、痛む高さで分ける見方です。MSDマニュアル家庭版は、腹痛を上腹部と中腹部に分けて原因になる臓器を挙げています。

どのあたりの痛みか 原因として挙げられている臓器
上腹部(みぞおちを含む) 胃・十二指腸・肝臓・膵臓など
中腹部(へその近くのあたり) 小腸・結腸の上部・虫垂など

みぞおちは上腹部のまん中あたりにあたり、この表の上の段に含まれます。位置がわかっても臓器が一つに決まるわけではなく、候補が上の段に寄る、という程度の手がかりです

みぞおちが上腹部のまん中あたりを指す言葉で、どこからどこまでという線引きがないことを示した図

みぞおちの奥にある胃・膵臓などの臓器

みぞおちの奥にあるものについて、資料はそれぞれ違う角度から書いています。3つ並べます。

資料 みぞおちのあたりについて書かれていること
日本消化器内視鏡学会 みぞおち(心窩部)には胃の他にも多くの臓器がある。胆道や膵臓など他の臓器に由来することも少なくない。稀に心筋梗塞や大動脈瘤など循環器の病気で症状が出ることもある
国立がん研究センター 胃はみぞおちのあたりにある袋状の臓器。食道からつながる入り口を噴門、十二指腸へつながる出口を幽門という
MSDマニュアル家庭版 上腹部の痛みは胃・十二指腸・肝臓・膵臓などの臓器の病気が原因で生じる

この3つに共通しているのは、みぞおちを胃だけの場所として扱っていないことです。胃はたしかにみぞおちのあたりにありますが、資料が並べている臓器には十二指腸や肝臓、膵臓、そして胆道が入ります。循環器の病気が症状を出すこともあると、日本消化器内視鏡学会は書き添えています。

ここで注意したいのは、どの臓器が多いかという順番までは、これらの資料に書かれていないという点です。並んでいるのは候補であって、起こりやすさの順位ではありません。それぞれの臓器でどんな痛み方が挙げられているかは、原因の章で個別に扱います。

みぞおちの痛みが胃の痛みとは限らない理由

みぞおちの痛みを胃の痛みだと受け取るのは自然なことですが、資料の側にはそう決められない理由が2つ書かれています。

理由1 内臓の痛みは発生源をたどりにくい

MSDマニュアル家庭版は、内臓に由来する痛みについて「痛みの発生源を特定することが困難な場合があります」と書いています。位置と臓器が1対1で対応するわけではない、ということです。

理由2 発生源から離れた場所に痛みが出ることがある

もう一つが関連痛です。同じ資料は関連痛を「発生源から離れた場所で感じる痛み」と説明しています。挙げられている例は2つで、胆嚢の病気がある人が肩甲骨に痛みを感じること、心臓発作による痛みが腕にあるように感じられることです。ここからみぞおちの話を引き出すことはしませんが、痛む場所と原因のある場所がずれることはある、という点は押さえておきたいところです。

この2つを合わせると、痛む場所は原因を絞る手がかりの一つではあっても、それだけで臓器を決められるものではないということになります。心臓の病気については別の根拠があるので、原因の章で改めて扱います。

参考:国立がん研究センター がん情報サービス「胃がん について」(2026年1月13日更新)MSDマニュアル家庭版「急性腹痛」日本緩和医療学会「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2020年版)」第2章 背景知識

みぞおちの痛みはいつ受診する?

みぞおちの痛みはいつ受診する?

急性膵炎診療ガイドライン2021は、腹痛で来院した患者全体でみると急性膵炎の占める割合は2.9%に過ぎないと書いています。急性に発症した腹痛の患者では50歳以下で1.6%、50歳以上で7.3%です。一方で同じガイドラインは、急性膵炎と診断された人の初発症状として心窩部痛が71.2%を占めたという全国調査も紹介しています。

この2つは向きの違う数字です。みぞおちが痛む人の多くが膵炎だという意味ではなく、膵炎を起こした人の多くはみぞおちが痛んだ、という意味になります。片方だけを見ると、心配しすぎにも安心しすぎにも振れます。

参考:急性膵炎診療ガイドライン2021改訂出版委員会「急性膵炎診療ガイドライン2021 第5版」

この章が扱うのは、いつ受診するかという行動の時期です。黒い便や体重の減少といった見逃したくない症状と、治療を始めたあとの経過のほうは「みぞおちの痛みで見逃したくない症状や経過」の章にまとめました。まず、資料が受診の時期についてどう書いているかを段階別に並べます。

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段階 みぞおちの痛みに伴う症状の例 資料に書かれている受診の時期 出典
今すぐ 突然の不快感に息切れ・発汗・心拍数の増加が伴う 直ちに医師の診察を受ける必要がある MSD家庭版「消化不良」
今すぐ 重度の痛み・ショックの徴候・腹膜炎の徴候・腹部の膨れのいずれかがある 警戒すべき徴候がみられる人は直ちに受診する必要がある MSD家庭版「急性腹痛」
今すぐ 突然の激しい持続する痛みが腹部全体へ広がり動けない 急性腹症として受診する状態と記載されている MSDプロ版「消化性潰瘍」
その日のうち 痛みに発熱や悪寒が伴う 時期の記載はないが急性胆嚢炎でよくみられる症状。高齢者では発熱がないことも MSD家庭版「胆嚢炎」
数日以内 体を動かすと現れ休むと消える状態が続いている 狭心症の可能性があるとして数日中に受診する必要がある MSD家庭版「消化不良」
それ以外 上のいずれにも当てはまらない 警戒すべき徴候がない人は翌日には医師の診察を受けるべき MSD家庭版「急性腹痛」

参考:MSDマニュアル家庭版「急性腹痛」MSDマニュアル家庭版「消化不良(ディスペプシア)」MSDマニュアル家庭版「胆嚢炎」MSDマニュアル プロフェッショナル版「消化性潰瘍」急性腹症診療ガイドライン作成委員会「急性腹症診療ガイドライン2015」第10章 急性腹症の初期治療(Minds掲載)急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン改訂出版委員会「急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018」第3版(Minds掲載)

この段階分けは、資料に書かれている受診の時期を記事の側で並べ直したものです。もとになった記述は急性腹痛・消化不良・消化性潰瘍・胆嚢炎と対象が異なり、はじめから一本の階段として書かれているわけではありません。最後の段にも「翌日には医師の診察を受けるべき」という時期が書かれている点は、見落としやすいところです。ここからは、それぞれの段階で何が起きているのかを順に見ていきます。

今すぐ救急車を呼んだほうがよいみぞおちの痛み

みぞおちの痛みのなかには、時間をおかずに医療機関へ向かったほうがよいものがあります。表の「今すぐ」に並べた3つがそれにあたるので、まず用語の中身を補っておきます。

表の用語の中身

ショックの徴候とは、心拍数の増加・低血圧・発汗・錯乱といった状態を指します。
腹膜炎の徴候とは、持続的な痛みのために体を前かがみにしている、軽く触れたり体を動かしたりベッドにぶつかったりすると痛みが悪化する、といった状態です。
どちらもMSDマニュアル家庭版が警戒すべき徴候として挙げているもので、あれば直ちに医療機関を受診する必要があるとされています

突然という言葉が当てはまる状況がもう一つあります。胃や十二指腸の潰瘍が壁を貫いて穴があく穿孔です。MSDマニュアル プロフェッショナル版は、このときの症状を激しい持続性の心窩部痛が突然発生し、急速に腹部全体に広がると説明しています。深呼吸でさえ痛みを悪化させるため、通常は横になって動かないとされています。

ここで落とせないのが、同じ資料が添えている但し書きです。高齢の方や免疫抑制薬を服用している方では、症状があまり著明とならないことがあるとされています。激しい痛みがないから穿孔ではない、という読み方はできません。

救急車を呼ぶかどうかで迷う場面もあります。ただ、ここに挙げた状況はどれも自力での移動が難しい状態を含んでいます。動けない・意識がはっきりしない・冷や汗が出ているといった状態が重なっているときは、移動手段を探すより先に救急要請を含めて考えてかまいません

その日のうちに受診したいみぞおちの痛み

直ちにという段階には当てはまらないものの、その日のうちに診てもらったほうがよい場面もあります。手がかりになるのは、痛みに何が加わっているかです。

たとえば発熱です。MSDマニュアル家庭版は急性胆嚢炎について、発熱がよくみられ悪寒を伴うこともあると書いています。痛みは右上腹部に生じることが多く、深く呼吸すると強くなることがあるとされています。ただし同じ資料は、高齢の方では最初の症状や唯一の症状があいまいで、発熱がなかったりすることにも触れています。発熱がないから胆嚢炎ではない、という切り分けはできません

もう一つは、強い痛みが引かないまま時間が経っている場合です。翌日まで待つのが不安だと感じていること自体が、その日のうちに相談してよい理由になります。

みぞおちが痛むときにその日のうちに相談できる窓口

池袋かめさん内科の内科診療は、予約なしでも受診できます。体調が悪いけれどどこに行けばいいかわからない、今日中に診てもらいたい、という場合も当日そのままご来院いただけます。院長と副院長はいずれも日本救急医学会の救急科専門医で、内科・外科といった診療科の枠にとらわれず全身を総合的に診ることができる点が救急科専門医の特長です。必要に応じて適切な検査を実施し、専門医をご紹介します。

なお、発熱がある方や解熱剤を服用した方、新型コロナウイルスの自己検査で陽性となった方は、院内感染対策のため事前に発熱外来をご予約のうえご来院ください。痛みに発熱が加わっているときは、受診の前に電話で当日のご案内をご確認ください。

みぞおちの痛みは何日続いたら病院?日数だけでは決められません

何日続いたら病院へ行くべきかという問いには数字で答えたいところですが、今回参照した資料のなかに、痛みが続いた日数で受診の要否を分けた記述はありませんでした。病気ごとの時間経過は書かれていても、それを横断して線を引いた基準は見当たりません。

かわりに資料が示しているのは、徴候の有無で分ける見方です。MSDマニュアル家庭版は、警戒すべき徴候がみられる人は直ちに、みられない人は翌日には医師の診察を受けるべきだと書いています。押さえておきたいのは徴候がない場合の書き方で、そのまま経過を見てよいとは書かれていません。

時間の使い方が違う例もあります。同じマニュアルは、体を動かすと現れて休むと消える慢性のディスペプシアについて、狭心症の可能性があるとして数日中に受診する必要があるとしています。痛みが出たり消えたりしているあいだも、状況のほうは動いていることになります。

日数のかわりに見るもの
  • 痛みの強さが前より増しているか
  • 出方が変わったか(急に始まった・波が出てきた・別の場所へ広がった)
  • 食事や睡眠、仕事といった生活のどこが削られているか
  • 新しい症状が加わったか(発熱・嘔吐・便の色の変化など)

この4つは日数のかわりに診察で伝えるための材料です。何日目かという情報より、この間に何がどう変わったかのほうが手がかりになります。

妊娠中のみぞおちの痛みは自己判断せず産婦人科へ

妊娠中にみぞおちが痛むときは、ここまでとは別の考え方をします。産婦人科診療ガイドライン産科編2020年版が、上腹部の症状を疑うべきサインとして名指ししているからです。

該当するのは同ガイドラインのCQ312で、対象として書かれているのは妊娠第3三分期の妊婦と褥婦(出産後の女性)です。上腹部痛・心窩部痛・上腹部違和感といった上腹部症状に、悪心や嘔吐、極度の倦怠感を伴って訴えた場合には、HELLP症候群と臨床的急性妊娠脂肪肝を疑うとされています。

同じガイドラインの表1「妊娠高血圧症候群の名称・定義・分類」にも、妊娠高血圧腎症の定義のなかに治療に反応せず他の診断がつかない重度の持続する右季肋部もしくは心窩部痛が含まれています。心窩部痛が病気の定義そのものに組み込まれている、という形です。

この2つはいずれも医師が診断のために使う記述です。当てはまるかどうかを妊娠中の方が自分で判定するためのものではなく、検査や管理の中身は診察の場で決まります。根拠にしたのは2020年版で、資料が直接扱っている対象は第3三分期の妊婦と褥婦です。妊娠の早い時期については、今回参照した資料のなかに該当する記述が見つからず、この記事から受診の時期を示すことはできません。示せないからこそ、妊娠中にみぞおちが痛むときは自己判断をせず、かかりつけの産婦人科へ連絡するのが先になります

参考:日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―産科編2020」(Minds掲載)

みぞおちが痛い主な原因

みぞおちが痛い主な原因

ここからは、みぞおちの痛みを起こすものとして資料に挙がっている病気を臓器ごとに見ていきます。扱うのは、それぞれについてどんな痛み方が書かれているかまでです。どれに当てはまるのかを決めるのは診察と検査の役割で、痛み方の説明はその手前にある材料にすぎません。

病気そのもの以外に、飲んでいる薬が関わることもあります。日本消化器病学会のガイドラインは、機能性ディスペプシアと紛らわしく鑑別すべき疾患のひとつとしてNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)や低用量アスピリンの内服による薬剤起因性疾患を挙げています。痛み止めを続けて飲んでいる方は、自分で中止や減量を決めずに、その内服も含めて診察で伝えるのが先になります。

胃や十二指腸の病気で起こるみぞおちの痛み

胃と十二指腸の潰瘍について、MSDマニュアル プロフェッショナル版は痛みの出方をこう書いています。

資料に書かれている痛み方 添えられている限定
しばしば心窩部に限局し、食物または制酸薬の摂取で軽減する 特徴的な症状パターンを示す患者は約半数に過ぎない
灼熱感やさしこむような痛み、ときに空腹感として訴えられる 経過は通常、慢性および再発性
胃潰瘍では食事が痛みを軽くすることも強くすることもある 一貫したパターンをとらない

右の列に並んでいるのが、この項で押さえておきたい部分です。典型的とされる出方をする人は約半数にとどまり、残る約半数はそこから外れると資料自身が書いています。さらに同じ資料は、患者の多く、とくに高齢の患者ではほとんど症状がないか無症状であるとも述べています。

つまり、みぞおちの痛みが胃や十二指腸から来ているかどうかは、痛み方の照合では確かめきれません。当てはまっても当てはまらなくても、その先は検査の領域になります。潰瘍そのものの詳しい話や、自分で見分けるための手順は、この記事では扱いません。

参考:MSDマニュアル プロフェッショナル版「消化性潰瘍」日本消化器病学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン2021—機能性ディスペプシア(FD)」改訂第2版(2021)日本消化器病学会「消化性潰瘍診療ガイドライン2020」改訂第3版

逆流性食道炎で起こるみぞおちの上の焼けるような痛み

胃酸が食道へ逆流して起こる症状について、日本消化器病学会の患者向けガイドは胸やけをみぞおちの上の焼けるようなジリジリする感じ、しみる感じなどと説明しています。酸っぱい液体が上がってくる感じ、つまり呑酸も並べて挙げられています。

時間の手がかりも書かれています。胃酸の逆流は食後2〜3時間までに起こることが多いため、食後にこうした症状を感じたときは逆流が起きている可能性を考える必要がある、というのが同ガイドの説明です。焼けるような感じが食後に出るかどうかは、診察で伝える価値のある情報になります。

用語の区分もひとつ確かめておきます。同学会の診療ガイドラインは、胸やけや呑酸といった逆流の症状を食道の症状と考え、ディスペプシアの症状には含めないという整理をしています。みぞおちの痛みと胸やけを別々に伝えたほうがよいのは、この区分があるからです。

逆流の症状が胸のつかえや背中の痛みを伴う場合の考え方は、食道裂孔ヘルニアの記事で逆流の側から扱っています。何をどう使うかは、診断がついたうえで医師と決めることになります。

参考:日本消化器病学会「患者さんとご家族のための胃食道逆流症(GERD)ガイド2023」(2023年12月25日発行)

みぞおちの痛み方だけでは原因が決まらないことを示した帯

胆のうや膵臓の病気でみぞおちが痛むとき

急性膵炎そのものは、腹痛で受診した人全体でみれば2.9%です。それでも膵炎と診断された人の71.2%が初発症状として心窩部痛を訴えたという全国調査があり、みぞおちの痛みを考えるときに膵臓を外せない理由はここにあります。数字の向きが違う2つを、いつも一緒に見ておく必要があります。

病気 資料に書かれている痛み方
胆石発作(胆石仙痛) 上腹部、通常は右側の肋骨の下に感じられる。15分から1時間の間に強くなり、その後6時間以内、長くて12時間、一定して続く
急性胆嚢炎 右上腹部に生じ、15〜60分でピークに達して6時間またはそれ以上続く。右肩甲骨の下部や背中へ広がることが多い
急性膵炎 ほぼ全員で上腹部に重度の腹痛が生じ、約50%の人で背中まで突き抜ける。胆石によるものは突然始まり数分で最大の強さに達する

胆石については、広まっている見方を資料がはっきり否定しています。ボリュームのある食事は、含まれる脂肪分の量にかかわらず胆石仙痛を誘発することがあるという書き方で、脂っこいものだけが引き金になるわけではありません。また、痛みの場所を正確に特定できないこともあり、糖尿病のある方や高齢の方ではとくに難しいとされています。

胆石ができた人の約80%では長年にわたって何の症状も起こらない、という数字も同じ資料にあります。ここでも、痛み方だけでは切り分けが終わりません。

参考:MSDマニュアル家庭版「胆石」MSDマニュアル家庭版「急性膵炎」日本消化器病学会「胆石症診療ガイドライン2021」改訂第3版厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 急性膵炎(薬剤性膵炎)」(令和3年4月改定)

心臓の病気でみぞおちが痛むこともあります

日本循環器学会の急性冠症候群ガイドラインは、症状の出る場所についてこう書いています。顎・頸部・肩・心窩部・背部・腕への放散があり、ときに胸部症状を伴わずこれらの部位にだけ症状が限局することもあるため注意が必要である、という記述です。胸の痛みがないからという理由だけで心臓を候補から外せないのは、この一文が根拠になります。

ガイドラインに書かれていること 書き方
症状の出る場所 心窩部を含む部位にだけ症状が限局することもある
非典型的な症状が多い人 とくに高齢者・糖尿病・女性の患者でしばしばみられる
高齢者で唯一の症状になりうるもの 息切れ・全身倦怠感・食欲不振・失神や意識レベルの低下
症状からの除外 非定型的な症状や軽微な症状が重篤な急性冠症候群の症状であることもまれではなく、症状の性状のみで除外してはならない

MSDマニュアル家庭版にも近い記述があります。心臓発作では、まれに腹部へ痛みが出ることがあるというものです。げっぷをすると痛みが部分的または一時的に軽減する場合があるため、消化不良と誤解される可能性があるとも書かれています。同じ資料によると、心臓発作を起こす人の約3分の1では胸痛がみられません。

読み違えないようにしたいのは、この項が確率の話をしていない点です。書かれているのは、症状の出方だけで心臓を候補から外すことはできないという方向の注意で、みぞおちが痛いことが心臓の病気を示しているわけではありません。女性についても同じで、非典型的な症状が多いという記述があるだけです。

参考:日本循環器学会・日本心血管インターベンション治療学会「急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)」

みぞおちの痛みの出方でわかること・わからないこと

みぞおちの痛みの出方でわかること・わからないこと

痛みがいつ出るか、どんなふうに出るかは、診察でも決まって聞かれる項目です。この章では出方ごとに、考えられることと、出方だけでは決められないことを対にして書いていきます。何時間続いたらこの病気、という時間の物差しは資料の側にないので、この記事でも使いません。

急に始まるみぞおちの痛みと波がある痛み

痛みの立ち上がり方は、医師が問診で確かめる項目のひとつです。MSDマニュアル家庭版は、突然の痛みを「ライトのスイッチを入れたように」という言い方で説明しています。はっきりした始まり方だったのか徐々に強くなったのかは、伝えるだけの値打ちがある情報です。

もうひとつが波のある痛みです。同じ資料は、「息ができなくなる」鋭い痛みが波のように繰り返し襲うという出方を、胆道の痛みを含む項目として挙げています。胆石発作の場合は15分から1時間で強くなり、6時間以内、長くて12時間ほど一定して続くという時間経過も別の資料に書かれています。波があるという訴えは、この経過と重なる部分があります。

ここから先が、出方だけでは決められない側の話です。同じ資料は、突然ではない痛みについて「他の原因の大半」とだけ書いています。突然でなかったから緊急ではない、という読み替えはできません。立ち上がり方は候補を狭める手がかりであって、病気の名前まで届く情報ではありません

一度おさまった痛みも同じです。体を動かすと現れて休むと消える状態については、前の章で触れたとおり数日中の受診が必要とされています。治まったこと自体は、確かめなくてよい理由にはなりません

急に始まった・夜中に目が覚めた・背中まで届いたという痛みの出方が、次に何を確かめるかを決める材料になることを示した図

みぞおちが食後に痛むときと空腹時・夜中に痛むとき

食事との関係は、自分で気づきやすい手がかりです。ただし、それをどこまで根拠にできるかについての資料の書き方は慎重です。

食後に痛むとき

胆道の病気について、MSDマニュアル プロフェッショナル版は右上腹部または心窩部の不快感が食後に繰り返し生じると書いています。ただし労作後には生じない、という但し書きが付いています。これは狭心症との違いを述べたものであって、動いても痛くならないから胆石だ、という向きには読み替えられません。

空腹時や夜中に痛むとき

十二指腸潰瘍について、同じ資料は起床時には痛みがなく午前中に出現し、食事により軽減するものの食後2〜3時間で再発するという経過を挙げています。そのうえで、中途覚醒に至る夜間の疼痛がよくみられ、これは十二指腸潰瘍を強く示唆すると書かれています。

決められない側も同じ資料にあります。胃潰瘍の症状はしばしば一貫したパターンをとらず、食事で痛みが軽くなる場合も強くなる場合もあるとされています。食後か空腹時かで胃潰瘍と十二指腸潰瘍を振り分ける図式は、資料の側が否定していることになります。

みぞおちから背中に抜ける痛み

みぞおちの痛みが背中まで届くという訴えについて、MSDマニュアル家庭版は問診の表のなかで、痛みが背中へ移動する場合に考えるものとして大動脈瘤破裂・膵炎・ときに穿孔性潰瘍を並べています。3つが並列で挙がっているという形です。

膵炎については別の記述もあります。急性膵炎ではほぼ全員に上腹部の重度の腹痛が生じ、約50%の人でこの痛みは背中まで突き抜けるとされています。潰瘍の側では、十二指腸潰瘍が後壁を貫いて膵臓に達した場合に痛みが通常は背部へ放散し、体位によって変化することがあると書かれています。

決められない側は2つあります。ひとつは、背中に抜けたからこの3つのどれかだという限定ができないことで、問診の表はあくまで例示として書かれています。もうひとつは逆向きで、約50%という数字は、背中に抜けない膵炎も同じくらいあることを意味します。抜けないから膵臓ではない、という読み方もできません。

ここまでの出方を1つの表にまとめます。左から順に、出方・そこから考えられること・それだけでは決められないことを並べました。

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痛みの出方 資料から考えられること 出方だけでは決められないこと 出典
急に始まる 「ライトのスイッチを入れたように」と表現される出方として挙げられている 突然ではない痛みは「他の原因の大半」とされ、緊急かどうかの区別にならない MSD家庭版「急性腹痛」
波がある 鋭い痛みが波のように繰り返す出方として胆道の痛みが挙げられている 同じ出方は他の部位の痛みでも挙げられている MSD家庭版「急性腹痛」
食後に痛む 胆道の病気は食後に繰り返し生じるとされる 胃潰瘍は食事で軽くなることも強くなることもある MSDプロ版「胸痛」「消化性潰瘍」
空腹時・夜中に痛む 中途覚醒に至る夜間の疼痛は十二指腸潰瘍を強く示唆するとされる 特徴的な症状パターンを示す患者は約半数に過ぎない MSDプロ版「消化性潰瘍」
背中に抜ける 大動脈瘤破裂・膵炎・ときに穿孔性潰瘍が並列で挙げられている 表は例示であり、背中に抜けない膵炎も約半数ある MSD家庭版「急性腹痛」「急性膵炎」
体位で変わる 膵炎はしばしば臥位で増悪し前傾姿勢で軽減するとされる 潰瘍の穿通も体位で変化することがあり区別はつかない MSDプロ版「胸痛」「消化性潰瘍」

痛みの出方だけではみぞおちの痛みの原因を絞り込めない理由

表の右側の列が埋まる理由は、資料の側にはっきり書かれています。消化性潰瘍について、MSDマニュアル プロフェッショナル版は特徴的な症状パターンを示す患者は約半数に過ぎないとしています。典型例として説明される出方に当てはまらない人が同じくらいいる以上、当てはまるかどうかだけで原因を決めることはできません。

時間についても同じことが言えます。個々の病気ごとの時間経過は資料に書かれていますが、それらを横断して「何分続いたらこれ」という形で切り分ける基準は、今回参照した範囲では見当たりませんでした。続いた時間の長さから原因を割り当てられる、とは書けません。

では出方を伝える意味がないのかというと、そうではありません。出方は原因を決めるためではなく、次に何を確かめるかを決めるために使われます。急に始まったのか、夜中に目が覚めたのか、背中まで届いたのか。この3つは、次に何を確かめるかを考えるときの情報になります。

参考:MSDマニュアル家庭版「急性腹痛」MSDマニュアル プロフェッショナル版「胸痛」急性腹症診療ガイドライン作成委員会「急性腹症診療ガイドライン2015」第6章 急性腹症の病歴聴取(Minds掲載)日本循環器学会「慢性冠動脈疾患診断ガイドライン(2018年改訂版)」

みぞおちの痛む場所で原因は分けられる?

みぞおちの痛む場所で原因は分けられる?

みぞおちのなかでも上のほう、右寄り、左寄りと、痛む場所をもう少し細かく言える方は少なくありません。その細かさが原因の切り分けに使えるのかを、この章で確かめます。結論から書くと、場所だけで原因を分けることはできません。それでも資料に書かれている範囲はあるので、言える部分と言えない部分を順に並べます。

みぞおちの左側や下側など痛む場所だけでは原因を決められない理由

先に断っておきたいことがあります。このあと上と右について書きますが、そこで並ぶのはどれも「考えられる」止まりの話で、場所から病気を言い当てられるという意味ではありません。左と下だけ答えがないように見えるとしたら、それは左と下が安全だからでも危険だからでもなく、資料に部位別の記述があるかないかの違いにすぎません。実際、今回参照した資料のなかに、みぞおちの左側や下側に限った原因の記述は見当たりませんでした。

場所が当てにならない理由は、資料の側に3つ書かれています。

  • 内臓に由来する痛みは、痛みの発生源を特定することが困難な場合がある
  • 関連痛といって、発生源から離れた場所で痛みを感じることがある
  • 胆石発作では、痛みの場所を正確に特定できないこともある。糖尿病のある方や高齢の方ではとくに難しい

3つ目は、場所の情報そのものが人によってぶれることを示しています。年齢や性別による違いについても、部位別に原因が変わると書いた資料は見当たりませんでした。性別や年齢は診察で伝える背景のひとつであって、場所と組み合わせて病名を導くための条件ではありません

みぞおちの上が痛いときに考えられる原因

みぞおちの少し上のあたりが痛む、焼けるように感じるという訴えについては、資料に該当する記述があります。日本消化器病学会の患者向けガイドは胸やけをみぞおちの上の焼けるようなジリジリする感じ、しみる感じなどと説明しており、これは胃酸が食道へ逆流することで起こる症状として書かれています。

手がかりになるのは時間です。上のほうの焼けるような感じが食事のあとに出るかどうかは、逆流が起きている時間帯と重なるため、そのまま診察で伝えられる情報になります。

ただし、この記述で説明できるのはみぞおちの上に焼けるような感じがある場合までです。焼ける感じがあるから逆流だ、逆流だから上が痛む、という双方向の言い換えは成り立ちません。ストレスとの関係は、この記事の最後の質問のところで別に扱います。

みぞおちの右側が痛いときに考えられる原因

右寄りの痛みについては、胆のうに関する記述が資料にあります。位置の書かれ方を2つ並べます。

病気 資料に書かれている痛む場所
胆石発作(胆石仙痛) 上腹部、通常は右側の肋骨の下に感じられる
急性胆嚢炎 通常は右上腹部に生じ、多くの場合、右肩甲骨の下部や背中へ広がる

どちらも右上腹部という書き方で、みぞおちから右へずれた範囲を含みます。ここで注意したいのは、この記述が「右が痛ければ胆のう」という意味にはならないことです。前の項で見たとおり、胆石発作では痛みの場所を正確に特定できないこともあるとされています。場所が右にずれていることも、ずれていないことも、それだけでは判断の決め手になりません。

痛む場所について ここまでで言えること

資料に部位別の記述があるのは、みぞおちの上(焼けるような感じ)と右上腹部(胆のう)の2つだけです。どちらも「考えられる」止まりの記述です。
左側・下側については、今回参照した資料のなかに部位を限った記述が見当たりませんでした。記述がないことと、心配が要らないことは別です。
痛む場所は診察で伝える情報のひとつであって、原因を決める材料としてはここまでしか使えません

みぞおちを押すと痛いとき

みぞおちを押すと痛いとき

自分でみぞおちを押して確かめたことがある方は多く、押すと痛いのは普通なのかという問いもよく聞かれます。この章では、押したときの痛みをどう受け取ればよいのかを扱います。

みぞおちの中央には胸骨の下端にあたる骨の出っぱりがあり、触れるとしこりのように感じて心配になる方もいます。まれにこの部分のあたりが痛みに関わることもありますが、押して確かめ続けるより、気になる状態が続くなら診察で見てもらうほうが早く片づきます。

みぞおちを押したときの痛みだけでは正常か異常かを分けられません

押したときの痛みについて資料に書かれていることを探すと、出てくるのはすべて医師が診察で触れる場面の記述です。MSDマニュアル家庭版が挙げている3つを並べます。

診察で確かめられる所見 どういう状態か
筋性防御 医師が腹部に触れたときに腹筋が不随意収縮を起こす
筋硬直 医師が腹部に触れていなくても、腹筋が固く収縮したままになる
反跳痛 医師が手をさっと離したときに痛みを覚える

この3つは腹膜炎の徴候とされています。主語がいずれも医師であることに注目してください。急性膵炎の診断基準でも、上腹部の急性腹痛発作と圧痛は3つある項目のうちのひとつにすぎず、残りの2つは血液や尿の検査と画像検査で、2項目以上を満たし他の病気を除外して診断すると定められています

つまり、押したときに痛いかどうかは、それだけで取り出しても意味を持ちません。押して痛いから異常だとも、痛みがないから正常だとも決められないというのが、資料から言える範囲です。

押して確かめることについて
押したときの痛みを判断材料にするには、医師が触れて確かめる所見や検査の結果と組み合わせる必要があります。
気になる状態が続いているなら、押す回数を増やすより診察の場に持っていくほうが早く進みます

参考:MSDマニュアル家庭版「急性腹痛」急性膵炎診療ガイドライン2021改訂出版委員会「急性膵炎診療ガイドライン2021 第5版」

みぞおちの痛みの続き方や伴う症状は医師が診察で確かめます

押したときの痛みのかわりに診察で見られているのは、痛みがどう続いているかと、何を伴っているかです。MSDマニュアル家庭版は、腹膜炎の徴候の例として持続的な痛みのために体を前かがみにしているという状態や、軽く触れたり体を動かしたりすると痛みが悪化することを挙げています。押したときの一点ではなく、姿勢や動きを含めた全体の様子が見られている、ということです。

伴う症状のほうも同じです。体重が減っていないか、出血をうかがわせる便の変化がないか、発熱があるかといった項目が診察では確かめられます。ただしこれらは、あれば病気・なければ安心と分けるための項目ではありません。資料の側にもそのように使わないという限定が付いており、その中身は見逃したくない症状を扱う章で改めて書きます。

自分でできるのは、判定することではなく記録することです。いつから続いているか、押したときにどうだったか、何を伴っているかを覚えている範囲で伝えられれば、診察の材料になります

みぞおちの痛みと一緒に起こる症状

みぞおちの痛みと一緒に起こる症状

みぞおちの痛みが単独で起こるとは限りません。この章では、痛みに何かが重なったときにその組み合わせをどう受け取ればよいのかを扱います。受診の時期の判断は前のほうの章に集めてあるので、ここでは繰り返しません。

みぞおちの痛みに吐き気・気持ち悪さが重なるとき

みぞおちが痛むときに気持ち悪さが重なる、という訴えはよくあります。MSDマニュアル家庭版は消化不良の項で、注意が必要な症状や特徴のひとつとして吐き気や嘔吐を挙げています。食欲不振や体重減少、便に血が混じることも同じ並びにあります。

ここで主語をずらさないようにします。この記事が扱っているのはみぞおちの痛みであって、吐き気そのものではありません。気持ち悪さが単独で続いている場合の考え方はまた別の話になるので、ここでは痛みに重なったときだけを見ます。

痛みと嘔吐の組み合わせは、急性膵炎でも挙げられている症状です。ただし膵炎かどうかは痛み方や伴う症状では決まらず、検査を含めて判断されます。吐き気が重なったという情報は、受診を早める理由にはなっても、病名を絞る材料にはなりません。いつから何回くらい吐いたか、食事が取れているかまで添えると診察が早く進みます。

みぞおちの圧迫感や息苦しさがあるとき

痛みというより押される感じ、締め付けられる感じという表現をされる方もいます。この感覚に息苦しさが加わる場合は、資料の書き方が変わります。

MSDマニュアル家庭版は、突然のディスペプシアが1回でも起こり、そこに息切れ・発汗・心拍数の増加が伴う場合について、急性冠動脈虚血の可能性があるとしています。日本循環器学会のガイドラインにも、胸部症状を伴わずに心窩部にだけ症状が限局することがあるという記述があります。みぞおちの圧迫感と息苦しさが同時に出ているとき、資料が想定しているのは消化器だけではない、ということです。

このときにどう動くかは、受診の時期を扱った章の表にまとめてあります。押さえておきたいのは、痛みが軽くても組み合わせによっては軽症とは限らないという点です。痛みの強さだけでなく、何が一緒に出ているかも見ます。

みぞおちの症状は消化器の病気と心臓の病気の両方で起こりうることを重なりで示した図

みぞおちの張りやげっぷ・ガスがたまる感じなど

張った感じ、げっぷが増える、ガスがたまっている感じといった訴えも、みぞおちの周りではよく聞かれます。日本消化器病学会は、こうした訴えを含む一群を心窩部を中心とする腹部症状という言い方で扱っています。食後の膨満感や、少し食べただけで満腹になる感じも同じ枠に入ります。

伝えるときに役立つのは、次のような分け方です。

  • 食事のあとに強くなるのか、時間帯に関係なく続いているのか
  • 張りとげっぷのどちらが先に出たのか
  • 便の回数や形が変わっていないか(下痢や便秘を伴っていないか)
  • 痛みと張りのどちらがつらいのか

こうした訴えが続き、検査で異常が見つからない場合の受け止め方については、検査の章で改めて扱います。張りやげっぷがあること自体から病気の名前を決めることはできませんが、どんな組み合わせで出ているかは診察で使われる情報です。

みぞおちの痛みで見逃したくない症状や経過

みぞおちの痛みで見逃したくない症状や経過

この章が扱うのは、受診したあとの段階まで視野に入れた見落としたくない症状と、そこからの経過です。今すぐかその日のうちかという時期の判断は前のほうの章にまとめてあるので、ここでは繰り返しません。かわりに、検査や治療が始まってからも見ておく項目を並べます。

みぞおちの痛みとともに黒い便や体重減少が出るとき

日本消化器病学会の診療ガイドラインは、他の病気の存在を考えるべき徴候を警告徴候と呼び、8つを挙げています。原文の並びのまま書きます。

  • 高齢での新規症状発現
  • 体重減少
  • 再発性の嘔吐
  • 出血
  • 嚥下障害、嚥下痛
  • 腹部腫瘤
  • 発熱
  • 食道癌や胃癌の家族歴

4番目の出血は、日常の言葉では黒い便や吐血として現れます。国立がん研究センターも、胃がんでは出血によって貧血や黒い便が起こることがあると書いています。ただし同じ資料は、これらが胃がんだけではなく胃炎や胃潰瘍でも起こる症状だとも述べています

池袋かめさん内科が胃カメラを検討する症状として公式に挙げているものと並べると、次のようになります。

出所 挙げられている項目
日本消化器病学会の警告徴候(8項目) 高齢での新規症状発現・体重減少・再発性の嘔吐・出血・嚥下障害と嚥下痛・腹部腫瘤・発熱・食道癌や胃癌の家族歴
池袋かめさん内科「胃カメラを検討するべき症状」 胃が痛い・みぞおちが痛む/胸やけやげっぷが続く/のどに違和感がある/黒い便が出た/お腹の張りを感じる/食欲がない・体重が減っている/貧血がある/喫煙歴がある方

2つは出所も目的も違うリストで、片方に当てはまらないからもう片方も当てはまらない、という関係にはありません。黒い便や血便そのものの受け止め方は、心配いらない血便はあるのか?便潜血1回陽性でも精密検査で便の側から扱っています。

黒い便や体重減少がなくてもみぞおちの痛みは油断できません

前の項の8項目には、ガイドライン自身が付けている限定があります。この限定を落とすと、リストの意味が反対向きに変わってしまいます

警告徴候に付いている限定
ガイドラインによると、機能性ディスペプシアの患者と、検査で異常が見つかる器質的疾患の患者とで、それぞれの警告徴候の存在率に差がないという報告もあります。そのため、あくまでも器質的疾患を考慮する場合の目安と考えるべきである、とされています。
さらに同じ解説は、警告徴候を認めない場合でも器質的疾患の存在を念頭に置くと続けています。
つまり、当てはまるからその病気だという読み方も、当てはまらないから心配が要らないという読み方も、どちらもできません。

この限定があるため、8項目は判別のふるいとしては使えません。使えるのは、診察でこれを伝えると検査の判断が変わる可能性がある項目のリストとしてです。体重が減っていること、便が黒かったこと、家族に食道がんや胃がんの方がいることは、聞かれなくても伝えておく価値があります。裏返せば、どれにも当てはまらないという理由で受診を先延ばしにする根拠は、資料の側にはありません。

参考:日本消化器病学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン2021—機能性ディスペプシア(FD)」改訂第2版(2021)

警告徴候が当てはまる場合も当てはまらない場合も同じみぞおちの痛みがあることを示した図

治療を始めてもみぞおちの痛みが軽くならない場合

見落とされやすいのが、ここです。受診して薬が出て、そのまま様子を見ているうちに時間が過ぎるという経過は珍しくありません。

日本消化器病学会の患者向けガイドは、治療を開始しても症状が軽快しない場合を、胃の内視鏡検査やピロリ菌感染の検査、血液検査や超音波検査、腹部CT検査などを行う場面のひとつとして挙げています。嘔吐を繰り返す場合や発熱を伴う場合、体重減少を認める場合と同じ並びです。

診療ガイドラインの側にも同じ趣旨の記述があります。治療開始後も改善がない場合は器質的疾患を考慮し、必要な検査を行うとされています。つまり、治療に反応しないという経過そのものが、次の検査を考える理由として扱われています

薬を飲んでも変わらないとき、量や種類の問題だと考えて我慢を続ける方がいます。ただ資料が示しているのは、そこが確かめ直す場面だという方向です。前回の受診から変わったことを持って、もう一度相談するところから始まります。

胃薬でおさまってもみぞおちの痛みは安心できるとは限りません

胃薬でおさまってもみぞおちの痛みは安心できるとは限りません

みぞおちが痛むときに手元の胃薬を飲んでみて、楽になったからひとまず心配は要らないだろうと考える。この流れは自然なものですが、資料はまさにここへ注意を向けています。

MSDマニュアル プロフェッショナル版の胸痛の項には、制酸薬の経口液剤の診断的投与では、心筋虚血を胃食道逆流症や胃炎と十分に鑑別することはできないと書かれています。制酸薬と、狭心症に使うニトログリセリンのどちらも、両方の病気の症状を軽減する可能性があるためです。同じ項は、ニトログリセリンの効力の有無も診断の参考とするべきではないとしています。

言葉の強さは、資料のとおりに受け取ってください。書かれているのは十分に鑑別することはできないであって、何もわからないという意味ではありません。薬の効き方は情報のひとつではあるものの、それだけで心臓か胃かを分けるには足りない、という程度の限定が付いています。

なぜこれが問題になるのかは、日本循環器学会のガイドラインを重ねると見えてきます。急性冠症候群では、胸部症状を伴わず心窩部にだけ症状が限局することもあるとされています。みぞおちだけが痛むという入口と、胃薬で楽になったという経過が重なると、胃の問題として片づく方向にだけ話が進みやすくなります。

MSDマニュアル家庭版の急性腹痛の問診の表にも、制酸薬で痛みが楽になる場合に考えるものとして消化性潰瘍疾患と胃炎が挙げられています。ここでも書かれているのは考えるものまでです。

誤解のないように書き添えますが、これは胃薬を飲んではいけないという話ではありません。資料が止めているのは、効いたという事実を、原因を確かめた証拠のかわりに使うことのほうです。

胃薬で楽になった場合も変わらない場合も、確かめる作業は別に必要になることを対比した図

効かなかった場合はもっと単純です。薬を飲んでも痛みが変わらない、あるいはいったん治まってまた戻ってくるという経過は、それ自体が診察で伝える情報になります。効いても効かなくても、確かめる作業は別に必要になるというのが、この章で言えることです。

参考:MSDマニュアル プロフェッショナル版「胸痛」

みぞおちが痛いときは何科を受診する?

みぞおちが痛いときは何科を受診する?

受診すると決めたあとに次に迷うのが、どの科へ行くかです。この章では、資料が診療科についてどこまで書いているかを確かめ、そのうえで受診の場で何を伝えるかまでをつなげます。

みぞおちの痛みで何科か迷うときは内科や消化器内科へ

先に、資料の状況を正直に書きます。みぞおちの痛み全般について何科を受診すべきかを正面から示した学会や公的機関の記述は、今回参照した範囲では見つかりませんでした。診療科の名前が出てくるのは、国立がん研究センターのがん情報サービスの一文だけです。

その一文は胃がんのページにあり、食事がつかえる、体重が減るといった症状がある場合は進行胃がんの可能性もあるとしたうえで、検診を待たずに内科や消化器内科などの身近な医療機関を受診するようにと書かれています。つまり、これは特定の症状がある場合について書かれた文であって、みぞおちの痛み全般の受診先を指定したものではありません。この限定は外さずに読む必要があります。

そのうえで実務的なことを書くと、内科や消化器内科は症状の入口としてそのまま使える選択肢です。みぞおちの痛みの候補は科をまたぐので、最初に絞り込むより、まとめて相談できる場所から入るほうが回り道になりません

池袋かめさん内科の内科診療は、どの診療科を受診すればよいかわからない、複数の症状をまとめて相談したいという場合の窓口になっています。必要に応じて検査を実施し、専門医の紹介まで行います。

参考:国立がん研究センター がん情報サービス「胃がん について」(2026年1月13日更新)

受診のときに伝えるみぞおちの痛みの経過や場所

どこへ行くかが決まったら、次は何を伝えるかです。医師が問診で確かめる項目は資料に書かれているので、そこから逆算すると準備しやすくなります。

MSDマニュアル家庭版の急性腹痛の項が挙げている問診の項目は、次のようなものです。

  • どのような痛みか(鋭い・鈍い・さしこむ・波のように繰り返す など)
  • 痛みは突然起こったか、それとも徐々に強くなったか
  • 痛みの強さはどれくらいか
  • どうすると痛みが楽になるか
  • 痛みはどこか他の部位に移動するか

これは医師が使う項目であって、答えを組み合わせて自分で病名を出すための表ではありません。痛む場所についても同じで、伝える価値はあるものの、診断材料のひとつであって決め手ではないという位置づけになります。

それでも準備しておく意味はあります。診察の時間は限られていて、思い出しながら話すと抜けが出ます。受診の目安の章で挙げた「この間に何が変わったか」の4項目と、上の問診項目を短くメモにしておくだけで、診察で確かめられることの密度が変わります

みぞおちの痛みは、消化管から心臓まで候補が科をまたぐ症状です。どこへ相談すればよいか決めかねている段階でも、症状だけを持ってきていただいてかまいません。池袋かめさん内科の内科診療は予約なしでも受診でき、当日そのままご来院いただけます。お薬手帳や、これまでに受けた検査の結果をお持ちの方は、あわせてご提示ください。

みぞおちの痛みは検査でどこまでわかるか

みぞおちの痛みは検査でどこまでわかるか

ここまで、痛み方でも場所でも薬の効き方でも原因は決められないと書いてきました。では検査なら決まるのかというと、そこにも範囲があります。この章では、検査でわかるところと、検査でも決まらないところを順に見ていきます。

胃カメラ(胃内視鏡)でわかるみぞおちの痛みの原因

日本消化器病学会の診療ガイドラインは、内視鏡検査について2段構えの書き方をしています。まず上部消化管内視鏡検査は必須ではないとし、症状・年齢・病歴・ピロリ菌感染の有無・検査歴などを総合して判断するとしています。一方、警告徴候が陽性の場合を含め、器質的疾患が疑われたときは内視鏡検査などの精査を積極的に行う、と続きます。

必須ではないという前半だけを取り出すと意味が変わってしまいます。必要かどうかを決めるのは症状と背景の組み合わせで、必要と判断されたときは積極的に行う、というのが全体の形です。

実際に胃カメラで確かめられるものとして、池袋かめさん内科が胃カメラ検査のページに挙げているのは次の病気です。

胃カメラで確かめられる病気として挙げられているもの
胃がん/胃潰瘍・十二指腸潰瘍/胃ポリープ/慢性胃炎(萎縮性胃炎)/逆流性食道炎/食道がん/ピロリ菌感染

同院が胃カメラを検討する症状の筆頭に置いているのが「胃が痛い・みぞおちが痛む」で、みぞおちの痛みはこの検査の入口として想定されている症状です。口からの検査に不安がある方には経鼻内視鏡の枠もあり、鎮静剤の使用と組み合わせることもできます。

みぞおちの痛みを腹部エコーやCTでも調べる理由

胃カメラで見えるのは食道から胃、十二指腸までの範囲です。ここまでの章で候補に挙がった胆のうや膵臓は、その外側にあります。

日本消化器内視鏡学会は、次のような場合について内視鏡だけでなく、超音波やCTなどによる他臓器の検査を組み合わせて行った方がよい場合もあると書き、担当の医師に相談するよう勧めています。

  • 症状が強い
  • 症状が長く続く
  • 体重が減る
  • 発熱がある

書かれているのはここまでです。どの検査で何がわかるかを一対一で対応させた記述はありません。エコーだからこれ、CTだからこれという選び方をするのではなく、他の臓器も確かめる必要があるかどうかを診察のなかで判断する、という順序になります。判断の主語は医師の側にあり、患者が検査を指定するものではありません。

胃カメラで見える範囲が食道から十二指腸までで、胆のうや膵臓はその外側にあることを示した図

検査で異常が見つからないみぞおちの痛みもあります

検査を受けて異常なしと言われたのに痛みが続く、という状況は珍しいものではありません。日本消化器内視鏡学会は、症状の有無と内視鏡所見は一致するとは限らないとしたうえで、割合からするとむしろ、内視鏡で何の異常所見もないことの方が多いくらいだと書いています。

数字の側からも同じことが言えます。日本消化器病学会の患者向けガイドによると、上腹部の症状で病院にかかった人のうち45〜53%に機能性ディスペプシアが見つかるとされています。健診の受診者では11〜17%です。母集団が違うので並べて比べる数字ではありませんが、症状があって受診した人のなかで、検査に異常が出ない状態はまれではないということは読み取れます。

ここで気をつけたいのは、この話を検査が要らない理由に読み替えないことです。異常が見つからないことを確かめられるのは、検査を受けたあとだけです。同じ資料も、一度は内視鏡を受けることを勧めています。前の項の「必須ではない」は診療上の判断についての書き方で、こちらは患者向けの勧めです。

検査で異常が見つからないみぞおちの痛みがその後どう扱われるのかについては、機能性ディスペプシアで胃もたれが続く原因と受診の目安でまとめています。

みぞおちが痛いときのよくある質問

みぞおちが痛いときのよくある質問

最後に、みぞおちの痛みを調べる過程でよく出てくる問いを6つ取り上げます。資料に書かれている範囲で、それぞれに答えます。

みぞおちが痛いときの対処法は?

自分でできるのは、確かめることと記録することまでです。MSDマニュアル家庭版は、重度の痛み・ショックの徴候・腹膜炎の徴候・腹部の膨れのいずれかがある場合は直ちに、それらがない場合も翌日には医師の診察を受けるべきだとしています。痛みを止める方法をこの記事から示すことはできません。薬を使った場合も、何をどれだけ使ってどうだったかを覚えておいて診察で伝えるところまでが、自分でできる範囲になります。痛みが強くて動けないときは、前のほうの章の表で段階を確かめてください。

みぞおちの痛みはがんが原因ですか?

痛みの有無からは決められません。国立がん研究センターは、胃がんは早期の段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行しても症状がない場合もあるとしています。代表的な症状として挙げられているのは胃の痛みや不快感、違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振ですが、これらは胃がんだけではなく胃炎や胃潰瘍でも起こる症状だとも書かれています。痛みの有無だけでは、がんかどうかを判断できないということです。確かめる手段は検査の側にあり、食事がつかえる、体重が減るといった症状がある場合は検診を待たずに受診するよう勧められています。

胃の痛み・胸やけ・食欲不振という症状が、胃がんでも胃炎や胃潰瘍でも起こることを示した図

みぞおちの上が痛いのはストレスが原因ですか?

原因をストレスだけに決めることはできません。みぞおちの上の焼けるような感じについては、胃酸が食道へ逆流したときの胸やけとして説明されている記述があり、食後2〜3時間までに起こることが多いとされています。一方で、ストレスとみぞおちの痛みを結びつけて病名として扱えるだけの記述は、今回参照した資料のなかにはありませんでした。この記事がストレスによる胃の病気を名前で呼ばないのは、そのためです。心当たりがあること自体は診察で伝えてよい情報ですが、原因を自分で決める前に確かめる順序になります。

みぞおちに違和感があるのはなぜですか?

はっきりした痛みではない違和感も、みぞおちの症状として同じように扱えます。日本消化器内視鏡学会は、みぞおちには胃の他にも多くの臓器があり、胃の症状だと思っていても他の臓器に由来することが少なくないと書いています。同学会はまた、症状の有無と内視鏡の所見は一致するとは限らないとも述べています。違和感という表現からは、原因の側は決まりません。いつから、どんなときに出るのか、食事や姿勢との関係があるのかを覚えておくところから始まります。

みぞおちの痛みの原因を自分で決めずに確かめることを示した帯

子どもがみぞおちを痛がるときの受診の目安は?

今回参照した資料のなかに、子どもに特有のみぞおちの痛みについて書かれたものはありませんでした。ですからこの記事から、年齢に応じた見分け方を示すことはできません。MSDマニュアル家庭版が急性腹痛について挙げている警戒すべき徴候にも年齢の限定はありませんが、記載がないことは、そのまま子どもに当てはめてよい根拠にはなりません。この記事から言えるのは、年齢だけで判断しないというところまでです。痛がり方が普段と違う、食べられない、ぐったりしているといった様子があるときは、年齢で線を引かず小児科やかかりつけの医療機関へ相談してください。

みぞおちが痛くて眠れないときも受診したほうがよいですか?

痛みで目が覚めるという経過は、伝える価値のある情報です。MSDマニュアル プロフェッショナル版は、中途覚醒に至る夜間の疼痛は十二指腸潰瘍を強く示唆するとしています。膵炎についても、しばしば臥位で増悪し前傾姿勢で軽減するという記述があります。ただしどちらも、姿勢を変えて楽になるかどうかを自分で試して確かめる材料ではありません。眠れないほどの痛みが続いているという事実そのものが、受診を先延ばしにしない理由になります。

みぞおちが痛いとき、その原因を決めているのは痛み方でも痛む場所でもありませんでした。奥には胃だけでなく胆道も膵臓もあり、心臓の病気が心窩部にだけ症状を出すこともあります。痛みの出方は候補を狭める材料にはなっても、消化性潰瘍では特徴的な症状パターンを示す患者は約半数に過ぎないとされています。押したときの痛みも、胃薬が効いたことも、それだけでは判断の材料になりませんでした。

この記事が繰り返し書いてきた「決められない」は、手の打ちようがないという意味ではありません。決められないからこそ、次に何を確かめるかがはっきりしてきます。

みぞおちが痛いときの考え方〜まとめ〜

受診の時期を分けているのは、痛みが続いた日数ではなく、痛みに何が伴っているかです。MSDマニュアル家庭版の急性腹痛の項では、警戒すべき徴候があれば直ちに、なければ翌日には医師の診察を受けるべきとされています。
黒い便や体重減少といった警告徴候は、当てはまればその病気、当てはまらなければ安心という使い方ができません。診察で伝えると検査の判断が変わる項目として使います。
検査で異常が見つからないことも珍しくありませんが、それを確かめられるのは検査を受けたあとだけです。

みぞおちの痛みは、消化管から胆道・膵臓・心臓まで候補が広がる症状です。池袋かめさん内科は、症状の相談から胃カメラ検査、その後の経過の確認までを同じ院内で受けられます。胃カメラは医師の診察の結果で検査が必要と判断された場合に保険適用となるため、まず内科で症状を相談し、必要と判断されてから検査日を決めるという順序です。

検査が要る状態なのかという点も含めて、診察のなかで一緒に決めていきます。いつから痛むか、何を伴っているか、薬を使ったならその経過まで持ってきていただけると、確かめられることが増えます。ただし、受診の時期の章で挙げた警戒すべき徴候があるときは、通常の受診より救急要請を優先してください。

03-3986-4466

受付時間:9:00-12:30/14:00-18:00

参考:日本消化器内視鏡学会「胃痛(胃もたれ)の原因は、内視鏡でわかりますか?」(2024年12月5日更新)日本消化器病学会「患者さんとご家族のための機能性ディスペプシアガイド2023」(2023)

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