健康診断・検査値

白血球が多い・少ないと言われた 基準値を外れたら異常?

健康診断の結果票で、白血球の欄にだけ印が付いていた。多いと書かれていた方も、少ないと書かれていた方も、その一行だけでは次に何をすればよいのかが分かりません。白血球は体の状態で動きやすい検査項目で、しかもどの資料を基準にしているかで「範囲の中」か「範囲の外」かが変わります。この記事は、多い側と少ない側の両方について、結果票の読み方と受診の目安を一次情報から整理したものです。

先に押さえておきたい結論

基準範囲を外れても、それだけで異常があるという意味ではありません。基準範囲は健康な方の検査値の分布から求めた範囲で、病気かどうかを線引きするために作られた値ではないためです。
受診の目安は数値ひとつでは決まらず、条件で示されています。多い側の第1段は白血球数の著しい増加または明らかな分画異常、第2段は白血球数が数万にも増えていて赤血球と血小板も著しく減っている状態で、この2つは別々の帯です。
少ない側は著しく減っている・分画の異常がある・少しずつ減り続けている・赤血球と血小板も減っているのどれか1つでも当てはまるかどうかで判断されます。
健診の判定区分と、検査の基準範囲は別の物差しです。同じ数値でも、どちらの表を見ているかで呼び方が変わります。

白血球の数値をどう受け止めるかは、まず結果票にどう書かれているかを確かめるところから始まります。

目次

白血球の数値は健康診断でどう示されるか

白血球の数値は健康診断でどう示されるか

健康診断の結果票にある白血球の欄は、数値と単位と基準範囲が並んでいるだけで、その数値が何を意味するかまでは書かれていません。表記の読み方と、健診で付く判定の区分から確かめていきます。

白血球は1μL(マイクロリットル)あたりの個数で結果表に書かれることが多い

検査の結果表では、白血球の数は1μLあたりの個数として示されます。μL(マイクロリットル)は血液のごく小さな体積を表す単位で、1μLは1mLの1000分の1にあたります。結果票に並んでいる数値は、血液1μLの中に白血球が何個あるかを表したものです。

学会の資料では「×10³/μL」という書き方も使われます。これは1,000個を1として数える表記で、たとえば3.3〜8.6×10³/μLは1μLあたり3,300〜8,600個と同じ値です。この記事では読みやすさのために「1μLあたり◯◯個」を主な表記にし、原典が×10³/μLの場合は原典表記も併記します。

白血球は5種類の細胞をまとめた呼び名

白血球は1種類の細胞ではありません。日本臨床検査専門医会の解説では、白血球は好中球・好酸球・好塩基球・リンパ球・単球という5種類の細胞に分けられるとされています。2013年6月に発行された版では、好中球は細菌を丸ごと食べ、リンパ球は免疫グロブリンという抗体をつくったり免疫の司令塔として働く、という説明です。同じ機関の2025年12月発行の版では、次のように整理されています。

白血球の種類 主な働き
好中球 数が多く、最前線の防御部隊として病原体を取り込んで分解・除去する
リンパ球 T細胞・B細胞・NK細胞に分かれて働く
単球 細菌や老廃物を取り込んで分解する
好酸球 アレルギー反応や寄生虫感染など特殊な状況で働く
好塩基球 好酸球とともに、特殊な状況で働く

結果票に載っている白血球の数値は、この5種類を合計した数です。合計だけを見ても、どの種類が増えたり減ったりしているかまでは読み取れません。

参考:日本臨床検査専門医会「白血球の検査 ― 白血球の種類 ―(ラボ NO.563)」

白血球が1μL(マイクロリットル)あたり10,000個以上か3,000個以下だと健診の判定区分はD

健診の結果票には、数値のほかにAからEの判定区分が付くことがあります。日本人間ドック・予防医療学会が示している判定区分(2026年4月1日改定)では、白血球数の区分は次のとおりです。

判定区分 白血球数(1μLあたり) 原典表記(×10³/μL)
A 異常なし 3,100〜8,400個 3.1–8.4
B 軽度異常 8,500〜8,900個 8.5–8.9
C 要再検査・生活改善 9,000〜9,900個 9.0–9.9
D 要精密検査・治療 3,000個以下 または 10,000個以上 3.0以下, 10.0以上
E 治療中 治療中の方の区分

このDは「要精密検査・治療」を意味する区分です。記号だけを見ても内容が分かりにくいところですが、精密検査を受けてくださいという振り分けにあたります。

区分はDだけではありません。1μLあたり8,500〜8,900個はB軽度異常、9,000〜9,900個はC要再検査・生活改善という帯があり、1μLあたり8,500個から9,900個のあいだの数値にも、BまたはCの区分が用意されています。手元の数値がDに届いていないからといって、区分が付いていないとは限りません。

そして、Dは多い側だけの区分ではありません。1μLあたり3,000個以下という下の側も、同じD区分です。白血球が少ないと言われた方に向けては、記事の後半で受診の目安になる条件を整理しています。

なお、この判定区分は初回受診時の拠り所とされているものです。同じ判定区分表の注記には、Dと判定した例でも、精密検査の結果、異常となる原因が明確なものがなかった、生まれつきのものであったといった結果が得られた場合には、その内容によって判定Cなどに変更することが適切と書かれています。変わるのは精密検査を受けた後であり、Dのまま様子を見てよいという意味ではありません。

参考:日本人間ドック・予防医療学会「判定区分(2026年4月1日改定)」

健診の結果票に載る白血球の合計値と載らないことが多い分画

白血球の分画は健診の報告書に載らないことが多い

結果票に載っているのが5種類の合計だけである以上、どの種類が増えているのかは合計値からは読み取れません。この種類ごとの内訳を、白血球の分画(白血球の種類の内訳)といいます。以降はこの記事でも「分画」と書きます。

日本人間ドック・予防医療学会の2026年度 一日ドック基本検査項目表では、血液学の必須項目として次の項目が挙げられています。

  • 赤血球
  • 白血球
  • 血色素
  • ヘマトクリット
  • MCV
  • MCH
  • MCHC
  • 血小板数

白血球の分画は、この必須項目の並びには入っていません。人間ドックであっても、追加の項目として測られていなければ、手元の結果票に分画の数字は載らないことになります。会社の健診であればなおさらです。

一方で、日本臨床検査医学会の「臨床検査のガイドライン JSLM2018」は、病態把握のためには白血球総数の増減だけでなく、各血球分画の実数(白血球総数×分画比率)を確認することが重要としています。分画の実数は、分画の比率を測っていなければ計算できません。合計値だけを見て判断がつかないのは、この計算に必要な数字が手元にないためです。原因を考えるときに出てくる「どの種類が増えているか」という見方も、この分画のことを指しています。

白血球の基準範囲(基準値)が施設ごとに違うのはなぜ?

白血球の基準範囲(基準値)が施設ごとに違うのはなぜ?

結果票に印刷されている基準範囲は、施設によって数字が違います。ここで「基準値」や「正常値」と呼ばれているものは、検査の基準範囲のことです。名前の違いに意味があるのではなく、同じものを別の言い方で呼んでいます。なぜその範囲が施設ごとに違うのかには、制度の側の理由があります。

白血球の共用基準範囲は1μL(マイクロリットル)あたり3,300〜8,600個

日本には、全国で共通して使えるように定められた基準範囲として「共用基準範囲」があります。日本臨床検査標準協議会が2014年3月に策定し、日本臨床検査医学会の「臨床検査のガイドライン JSLM2018」に収載されたものです。白血球数は1μLあたり3,300〜8,600個(原典表記 3.3〜8.6×10³/μL)とされています。3,944人分のデータから求められた値で、中間値は1μLあたり5,400個(原典表記 5.4×10³/μL)です。男女差指数は0.13で、男女別ではなく男女共用の値が使われます。

そのうえで同じガイドラインは、この表の下に「基準範囲は施設間によって若干異なる」と書き添えています。全国共通の値が示されている一方で、実際の施設ごとの基準範囲は完全にはそろっていない、というのが原典の書き方です。

主な資料の値を並べると、次のようになります。

資料 発行・策定 白血球数の基準範囲
日本臨床検査標準協議会 共用基準範囲(JSLM2018収載) 2014年3月策定 1μLあたり3,300〜8,600個(原典表記 3.3〜8.6×10³/μL)
日本人間ドック学会 委員会報告(150万人のデータ) 2016年 1μLあたり3,200〜8,300個(30〜80歳)
日本臨床検査専門医会 ラボ NO.413 2013年6月 1μLあたりおよそ3,500〜9,000個
日本臨床検査専門医会 ラボ NO.531 2023年4月 1μLあたり4,000〜8,000個ほど
日本臨床検査専門医会 ラボ NO.563 2025年12月 1μLあたり約3,300〜8,600個
同じ機関でも年によって示している白血球の値が違う

表の下3行は、すべて日本臨床検査専門医会という同じ機関が一般向けに出している解説です。12年のあいだに3回、示されている値が変わっています。そして最新の2025年12月発行の版だけが、その値を「共用基準範囲:多くの医療機関で使われる基準値」と明記しています。

古い版が誤りだというわけではありません。参照している資料と時期が違えば、示される範囲も違ってくるということです。手元の結果票に書かれている基準範囲が、他で見かけた数字と一致しないのは、多くの場合これが理由になります。

参考:日本臨床検査医学会「臨床検査のガイドライン JSLM2018」

白血球の基準範囲は対象にする人の選び方や統計の計算方法で変わる

では、なぜ施設ごとに違う値が使われているのか。JSLM2018 は、病院ごとに設定されている臨床検査の基準範囲は全国的に全く不統一であると書き、その理由を3点挙げています。基準範囲を求めるときにどんな人を選ぶか(原典の語では「基準個体」)、集まった検査値をどう計算するか、そして何人分を集めるかの3点です。

  • 基準個体の定義が不明確で、潜在的な病態への対応の仕方が異なる
  • 検査値の分布の型が不明確で、中央95%の区間を決める統計処理の方法が異なる
  • 基準個体の数が少ない

よく言われる「測定機器が違うから」という説明とは別の話であることに注意が要ります。範囲そのものの作り方が施設ごとに違う、というのが原典の指摘です。

その不統一をそろえるための共用基準範囲も、まだすべての施設が使っているわけではありません。日本臨床検査標準協議会の令和6年度の委員会報告によると、日本臨床衛生検査技師会の精度管理調査アンケートによる共用基準範囲の平均採用率は、令和5年の43.5%から令和6年は45.9%へと増加傾向にあると報告されています。約半数という水準ですが、同じ報告は普及に努めている旨を述べており、令和5年から令和6年にかけては増えています。

健診の側でも事情は同じです。日本人間ドック学会の委員会報告は、多くの血液検査などの基準範囲は、全国の医療機関あるいは健診機関によりまちまちとなっていると2016年の時点で指摘しています。

同じ1μLあたり8,500個が資料によって違う扱いになる

食い違いが読者にどう届くかは、1つの数値を当てはめてみると分かります。

資料 1μLあたり8,500個の扱い
共用基準範囲(上限は1μLあたり8,600個・原典表記 8.6×10³/μL) 基準範囲の内側
日本人間ドック学会 委員会報告の基準範囲(上限は1μLあたり8,300個) 基準範囲の外側
日本人間ドック・予防医療学会 判定区分(A異常なしは原典表記 3.1–8.4×10³/μL) B 軽度異常
日本臨床検査専門医会 ラボ NO.413(1μLあたりおよそ3,500〜9,000個) 基準範囲の内側

同じ1つの数値が、参照している資料によって「範囲の内側」「範囲の外側」「軽度異常」に分かれます。数値が間違っているのではなく、範囲の作り方と目的が資料ごとに違うために起きることです。

参考:日本臨床検査標準協議会「令和6年度 基準範囲共用化委員会報告」

白血球の基準範囲が施設ごとに違う3つの理由

白血球が基準範囲を外れても異常があるという意味ではない

ここまでが施設差の仕組みですが、そこから導かれる結論ははっきりしています。基準範囲を外れても、それだけで異常があるという意味ではありません

日本人間ドック学会の委員会報告は、基準範囲は健康な人の検査値の分布から求められるもので、病気のリスクを示す予防医学的閾値とは定義が全く異なり、同一視して医学的に比較することはできないと述べています。基準範囲は「健康な人の値がどのあたりに集まるか」を示した範囲であり、「ここを超えたら病気」という線として作られたものではありません。2014年に起きたいわゆる基準範囲騒動についても、同じ報告はこの違いの認識不足が原因だったと説明しています。報道の受け取られ方と、基準範囲という言葉の意味の理解が食い違ったことによる、という説明です。

それでも基準範囲が現場で使われているのは、多くの検査項目にそれ以外の物差しがないためです。同じ報告は、専門学会のガイドラインで示される予防医学的閾値が用いられている項目はコレステロールや血糖などごく一部で、臨床検査の90%以上は基準範囲を用いて医師が判別しているとしています。母数は医師国家試験に必要とされる検査の項目です。

日本臨床検査専門医会の最新の解説も、基準値より多少高めや低めというだけでは体質による個人差の可能性もあり、それだけで病気と決まるわけではないとしています。ただし同じ解説は続けて、白血球の増減が過度の場合や、どの種類が多いか少ないかという偏りが持続する時には、骨髄検査などの特殊な検査が必要になることもあるとも書いています。「外れても異常とは限らない」と「外れ方によっては調べる」は、同じ資料の中に並んでいる2つの記述です。

押さえておきたい点

基準範囲を外れても、それだけで異常があるという意味ではありません。基準範囲は健康な方の検査値の分布から求めた範囲で、病気かどうかを線引きするための値ではないためです。
ただし、それは基準範囲を見なくてよいという意味でもありません。外れ方の程度と、分画の偏りと、前年までの値からの変化を合わせて見ることになります。

参考:日本人間ドック学会 委員会報告「日本人間ドック学会の健診基本項目の基準範囲」

健診の判定区分は白血球の基準範囲とは別に決められている

結果票に付くAからDの判定区分は、検査の基準範囲とは別の手続きで決められています。日本人間ドック・予防医療学会の委員会文書によれば、判定区分は、特定健康診査の判定基準と、それ以外の基本検査項目については各学会が発表しているガイドラインを基に、各分野の専門医師で構成された委員会で作成されているものです。案は日本血液学会や日本臨床検査医学会を含む20の関連学会・団体に文書で意見を伺ったうえで決定されました。ただし共同で策定したものではなく、意見を伺ったという関係にあたります。

同じ文書は、人間ドックでは、基準範囲以上に、精密検査や治療のために紹介すべきレベルが重要となるとも書いています。判定区分は「異常値の線」ではなく、次にどこへ送るべきかを決めるための区切りとして作られている、ということです。作成の目的についても、施設間判定の格差をなくし、国民から判定への不信を解消するために重要と述べられています。

結果票に並んでいる「基準範囲」と「判定区分」は、出どころも目的も別のものです。基準範囲の中に入っているのにBが付く、あるいは基準範囲を少し外れているのにAのまま、といったことが起こりうるのは、2つが別の物差しだからです。どちらか一方だけを見て自分の状態を決めることはできません。

参考:日本人間ドック・予防医療学会 健診判定・指導マニュアル作成委員会「判定区分の作成過程と意義」

白血球が多いと言われた人の受診の目安

白血球が多いと言われた人の受診の目安

数値の読み方が分かったところで、次に決めたいのは受診するかどうかです。多い側について先に断っておくと、どこからが受診なのかを1つの数値で示した一次情報はありません。示されているのは、いくつかの条件が重なったときの目安です。

白血球数の著しい増加や明らかな分画異常があれば受診が指示される

日本臨床検査専門医会が2013年6月に発行した解説では、健康診断で白血球が多いと言われたときの目安が、性質の違う2つの段として示されています。

示されている状態 対応
白血球数の著しい増加、または明らかな分画異常がある 白血病などの可能性もありえるため、血液内科の受診が指示される
白血球数が数万にも増え、かつ赤血球と血小板が著しく減っている 直ちに受診する必要がある

この2つは似ているようで、見ている対象が違います。上の段で問われているのは白血球そのものの増え方と分画の異常です。下の段で問われているのは、白血球以外の血球、つまり赤血球と血小板が減っているかどうかになります。下の段は「分画の異常がとくにひどい状態」ではなく、他の血球も一緒に減っている状態を指しています。手元の結果票を見るときも、白血球の欄だけでなく赤血球と血小板の欄を合わせて確かめることになります。

ここで示されている「著しい増加」「数万にも増え」という書き方は、原典が数値で線を引いていないことの表れでもあります。1μLあたり何個から受診、という単一の線は、この資料にも他の一次情報にも示されていません。

参考:日本臨床検査専門医会「『白血球』の検査について(ラボ NO.413)」

白血球が多いときに受診するのは何科か

一次情報でどう書かれているかは、資料の年によって変わります。2013年6月発行の解説は、上に挙げた条件に当てはまる場合に血液内科の受診が指示されるとしています。一方、2023年4月発行の同じ機関の解説は書き方が違います。血液を薄く塗って染色し顕微鏡で観察する検査で、形に異常がある、幼弱な細胞がみられる、血小板や赤血球にも異常がみられるといった場合を挙げ、より詳しい検査が必要なときは血液疾患の診療を行う医療機関でみてもらうことが必要、としています。「血液内科」と言い切っている資料と、「血液疾患の診療を行う医療機関」と書いている資料がある、というのが実際のところです。

ただし、どちらもすでに詳しい検査が必要だと分かっている段階の話です。健診で白血球の欄に印が付いた段階では、その判断自体がまだついていません。先に行うのは、内科での再検査で数値と分画を確かめることになります。池袋かめさん内科でも「以下のような検査値異常を指摘された方の受診に対応しております」として、血液検査や健康診断の再検査・二次検査を行っています。診察と検査の結果、さらに詳しい検査が要ると判断された場合には、必要に応じて適切な検査を実施し、近隣の大学病院・基幹病院へ速やかにご紹介いたしますという形で対応しています。

参考:日本臨床検査専門医会「白血球(ラボ NO.531)」

結果票を持って相談

白血球の再検査は保険診療で受けられる場合が多い

健診で白血球を指摘されたあと、再検査の費用がどう扱われるかは気になるところです。池袋かめさん内科でも、血液検査や健康診断の再検査・二次検査について「再検査は、保険診療で受けられることがほとんどです」と案内しています。

再検査で確かめるのは、合計値がもう一度同じように出るかどうかだけではありません。日本臨床検査専門医会は、白血球には数が変動しやすい性質があり、反応性の変化は病気ではないとしています。そのうえで、それでは説明できないほどの大きな数の異常がないか、白血球分画の異常がないかをみて、本当の血液の病気が隠れていないかを探ると説明しています。JSLM2018 にも、白血球増加がある場合は反応性の増加か腫瘍性疾患であるかを鑑別点として、迅速かつ注意深い検査と結果判定が必須という記述があります。これは医療者が検査の組み立てを判断するための考え方で、読者が自分で見分けるためのものではありません。

言い換えると、合計値だけでは足りず、分画を含めて見る必要があるという点が、再検査を受ける意味です。1回の数値では反応性の変化と区別がつかないため、もう一度測るという手順が置かれています。

健診の結果表を持って白血球の再検査を受ける

受診のときに持って行くものは、健診の結果票です。池袋かめさん内科も「健診結果をお持ちいただければ、追加で必要な検査と今後の治療方針をご説明いたします」と案内しています。手元にあるとよいものは次のとおりです。

  • 今回の健診の結果票
  • 前年までの健診の結果票
  • 今飲んでいる薬やお薬手帳

結果票は白血球の欄だけを切り取らず、赤血球と血小板の欄も一緒に見られる形で持って行くほうが、判断の材料が増えます。上に挙げた2つの段のうち、下の段は赤血球と血小板の値がなければ確かめられないためです。前年までの結果票が残っていれば、そちらも合わせて持参してください。

健診の結果票に白血球の印が付いていて、条件に当てはまるかどうかが自分では判断しにくいときは、その結果票を持ってそのまま内科で相談できます。池袋かめさん内科の内科診療予約なしで当日受診でき、結果票を持参すれば、追加で必要な検査について相談できます。再検査は、保険診療で受けられることがほとんどです。雑司が谷駅2番出口から徒歩2分、目白駅から徒歩10分の場所にあります。

白血球が多い原因は感染症や炎症のほかにもある

白血球が多い原因は感染症や炎症のほかにもある

白血球が増える原因というと感染症が思い浮かびますが、一次情報が挙げている原因はそれだけではありません。ここでは代表的な感染症と炎症をまず確認し、そのうえでそれ以外の原因まで含めて見ていきます。

日本臨床検査医学会の「臨床検査のガイドライン JSLM2018」は、白血球増加を来たす疾患・病態を、増加している分画ごとに整理しています。

増加している分画 白血球増加を来たす疾患・病態
好中球増加症 細菌感染症・急性心筋梗塞や急性虫垂炎などの炎症性疾患・悪性腫瘍・慢性骨髄性白血病などの血液疾患・副腎皮質ステロイド投与時・薬物中毒・ストレス
リンパ球増加症 ウイルス感染症・百日咳・慢性リンパ性白血病
単球増加症 結核などの亜急性感染症
好酸球増加症 気管支喘息・アトピー性皮膚炎・花粉症などのアレルギー疾患・寄生虫感染
好塩基球増加症 慢性骨髄性白血病・真性赤血球増加症・アレルギー疾患

この表は「白血球増加を来たす疾患・病態」として整理されたもので、原典も他の文献から改変して引用したと注記しています。ここに並ぶ病名は、結果票の数値から自分の状態に当てはめるためのものではありません。副腎皮質ステロイド投与時の好中球増加のように、治療の内容そのものが関係する項目も含まれています。

白血球はどの種類が増えているかで考えられる原因が違う

JSLM2018 は、白血球増加がある場合、白血球のどの分画が増加しているかによって病因・病態が異なるとしています。合計値が同じでも、増えているのが好中球なのかリンパ球なのかで、考える方向が変わるということです。上の表が分画ごとに分かれているのは、そのためです。

感染の種類によって増える白血球の種類が違う

同じ「感染」でも、白血球の動き方は同じではありません。

感染の種類 白血球の動き
細菌感染症 好中球が増える。好中球増加症の原因として典型的とされる
ウイルス感染症 白血球数は通常は基準範囲内かやや減る。ウイルスによってはリンパ球が増えることもある

この表のウイルス感染症の行は、日本臨床検査専門医会の解説によるものです。ここで注意したいのは、この「リンパ球が増える」は分画の話であり、白血球の合計値が増えるという意味ではないという点です。原典が合計値について書いているのは、むしろ通常は基準範囲内かやや減るという向きになります。

分画の側にも、およその基準として示されている線があります。JSLM2018 は、成人においてはリンパ球数が1μLあたり4,000個以上をリンパ球増加症、好中球数が1μLあたり7,000個以上を好中球増加症とみなすとし、いずれも「およその基準として」という限定を付けています。これは分画の実数の線であって、白血球の合計値の線ではありません。記事の前半で触れたとおり、分画の実数は分画を測っていなければ出せない値です。小児についてはもともとリンパ球増加傾向にあり、明確な基準値は定かでないとされています。

白血球の5つの分画(好中球・リンパ球・単球・好酸球・好塩基球)

タバコを吸う人は白血球が慢性的に多めになる

一時的な変動と分けて考えたいのが喫煙です。日本臨床検査専門医会は、健康な人でもヘビースモーカーは白血球数が慢性的に多めであるとしています。日本人間ドック・予防医療学会も、血液検査の解説の中で喫煙習慣は白血球を増加させますと書いています。

押さえておきたいのは、喫煙による増加が「一時的」ではなく「慢性的」と書かれている点です。採血の直前の状態で動いた値ではなく、習慣が続いているあいだ高めに出ている、という性質になります。

そのため、喫煙習慣がある方の場合、同じ数値でも読み方が変わってきます。毎年の健診で白血球がやや高めに出ていて、しかも喫煙習慣があるという情報は、診察のときに医師へ伝える価値があります。結果票の数値だけでは、その背景までは伝わりません。

白血球はストレスや歯ぐきの腫れでも増える

体の中に大きな異常がなくても、白血球が一時的に多くなる場面はあります。日本臨床検査専門医会は、のどで細菌が炎症を起こしたり、虫歯で歯肉が腫れていたりすると好中球が増えるとし、精神的ストレス、運動直後、月経などでも一時的に多くなることがあるとしています。喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患がある方では好酸球が増加するとも書かれています。

歯ぐきの腫れが白血球の数字に出るという点は、見落とされやすいところです。歯の治療中だった、のどが痛かった、前日に体を動かしていた、といった事情は、そのときの数値に影響しうる情報になります。

こうした事情は、結果票のどこにも書かれていません。数値だけが残り、そのときの状況は残らないという形です。健診の前後に思い当たることがあれば、受診のときに口頭で伝えることになります。

原因はひとつではない

白血球が多いだけでは体のどの部位に原因があるかはわからない

原因の候補を並べても、合計値から原因のある場所を特定することはできません。日本人間ドック・予防医療学会は、白血球の数値が高い場合について、細菌感染症にかかっているか、炎症や腫瘍の存在が疑われますが、どこの部位で発生しているかはわかりませんと説明しています。たばこを吸っている人は高値となるという記述も、同じ解説にあります。

これは、白血球の数値が役に立たないという意味ではありません。「どこかで何かが起きているかもしれない」という合図までは出るけれども、場所までは示さないというのが、この検査項目の性質です。合図として受け取ったうえで、分画を含めた再検査、症状の有無、他の血球の値を合わせて確かめる手順が続きます。

合計値ひとつで結論を出さないのは、多い側も少ない側も同じです。

健康診断で白血球が少ないと言われたらどうする?

健康診断で白血球が少ないと言われたらどうする?

ここからは、白血球が少ないと言われた方に向けた内容です。少ない側は、多い側と違って数値で線を引いた一次情報がほとんどありません。そのかわり、受診するかどうかを判断するための条件が、多い側よりもはっきりした形で示されています。数値がない分、結果票を見ながら医師に相談するときの確かめどころがはっきりしている、とも言えます。

白血球が1μLあたり3,000個未満でも3つの条件がそろえば問題ないとされる

先に確かめること
この見出しの3つの条件を読む前に、受診が必要とされる4つの条件のどれかに当てはまっていないかを先に確かめてください。とくに赤血球と血小板も一緒に減っている場合は、3つの条件がそろっていても同時に当てはまってしまうことがあります。
4つの条件のどれかに当てはまる場合は、3つの条件がそろっているかどうかに関係なく受診の側です。

日本臨床検査専門医会が2013年6月に発行した解説には、白血球数が1μLあたり3,000個に達していなくても、分画に異常がなく、毎年同じような数値であり、特に症状がなければ、通常は問題はないという記述があります。この3つは、どれか1つを満たせばよいという書き方ではありません。

条件 内容
条件1 分画に異常がない
条件2 毎年同じような数値である
条件3 特に症状がない

3つがすべてそろったときの話であり、しかも原典は「通常は問題はありません」と、「通常は」という限定を付けています。1つでも欠けていれば、この記述は当てはまりません。

ここで出てくる「3,000」という数値についても、健診の判定区分とは別の資料の別の文脈である点に注意が要ります。健診の判定区分でDとされるのは1μLあたり3,000個以下日本臨床検査専門医会が様子見の条件を示しているのは1μLあたり3,000個に達していない場合です。同じ「3,000」という数字でも、出どころも、境界の含み方も違います。どちらか一方に合わせて読み替えることはできません。

そして、条件1の「分画に異常がない」は、分画を測っていなければ確かめられません。健診の報告書に分画が載っていない場合、この条件は手元の紙だけでは判定できないことになります。3つそろっているかどうかを自分で確かめきれないときは、そろっていない側として扱うほうが安全です。分画が載っていない結果票では手元の紙だけで判断しきれないため、受診したときに確かめてください。

白血球が少ない場合は4つの条件のどれかに当てはまれば受診が必要とされる

同じ解説は、受診が指示される条件も示しています。こちらは4つのうちどれか1つでも当てはまればという書き方です。3つの条件が「すべてそろったとき」であるのに対し、こちらは「どれか1つ」で、論理が逆になっています。

受診が指示される条件 確かめる場所
白血球数が著しく減っている 今回の結果票の白血球の欄
明らかな分画異常がある 分画を測っている場合の内訳
少しずつ減り続けている 前年までの結果票との比較
赤血球と血小板も減っている 今回の結果票の赤血球と血小板の欄

これらのいずれかに当てはまる場合は、再生不良性貧血や骨髄異形成症候群などの血液疾患の可能性がありえるため、血液内科の受診が指示されるとされています。原典は「可能性がありえます」という書き方で、当てはまったら病気だと断定しているわけではありません。また、血液疾患以外でも、肝硬変、膠原病、ビタミンB12欠乏を含む栄養不良などによって白血球・赤血球・血小板の3血球が減ることがあるとも書かれています。

3つ目の「少しずつ減り続けている」は、今年の1枚の結果票だけでは確かめられない条件です。前年までの結果票が手元にあるかどうかで、判断できる範囲が変わります。捨ててしまっていた場合は、その旨も含めて診察のときに伝えることになります。

白血球が少ないときに先に確かめる4つの条件と様子見の3つの条件

白血球が少ない原因にはウイルス感染症や薬の影響もある

日本人間ドック・予防医療学会は、白血球が少ない場合に疑われることとして、ウイルス感染症、薬物アレルギー、再生不良性貧血などを挙げています。

このうちウイルス感染症は多い側の説明にも出てきましたが、指している数値が違います。多い側で出てくるのは分画のリンパ球が増えるという話で、ここで扱っているのは白血球の合計値が減るという話です。日本臨床検査専門医会も、風邪などのウイルス感染では白血球数は通常は基準範囲内かやや減るとしています。健診の前後に体調を崩していた場合、その影響がその日の数値に出ていることは考えられます。

薬については、一般化しないことが大事です。一次情報で示されているのは、特定の薬を使っている場合に、白血球数と白血球分類を定期的に確認する運用があるという形です。JSLM2018 には、バセドウ病の治療に用いられる抗甲状腺薬について、服用開始後の一定期間は2週間ごとに白血球数・白血球分類などを検査するという記述があります。これは該当する薬を服用している方に限った話で、薬を飲んでいれば白血球が減るという一般的な話ではありません。

ここから言えるのは、健診で白血球が少ないと指摘されたら、今飲んでいる薬を医師に伝えるという行動までです。自分で薬の影響を判定したり、服用を中断したりする判断につなげる話ではありません。

少ない原因もさまざま

体質として白血球が少ない人もいる

日本臨床検査専門医会は、もともと、他の人よりも白血球の数が多めの人や少なめの人がいると書いています。多少高めや低めというだけでは体質による個人差の可能性もある、という同じ機関の記述は、記事の前半でも引いたとおりです。

ただし、その解説はそこで終わっていません。白血球の増減が過度の場合や、どの種類が多いか少ないかという偏りが持続する時には、骨髄検査などの特殊な検査が必要になることもあるとも書かれています。体質という説明を採れるのは、この但し書きに当たらない範囲までです。片方だけを取り出すと、原典の書き方から離れてしまいます。

体質かどうかは、1回の数値では決まりません。分画と、前年までの値と、症状の有無を合わせて、医師が判断することになります。

少ない側の受診判断は、4つの条件のどれかに当てはまるかどうかで決まります。当てはまるものがあるとき、あるいは分画や前年までの値が手元になくて自分では判定できないときは、健診の結果票を持って内科で相談するところから始められます。再検査は保険診療で受けられることがほとんどで、受診の目安については記事の前半でも整理しています。

白血球が多いと心配な病気はどのくらい起きている?

白血球が多いと心配な病気はどのくらい起きている?

ここまで白血球が少ない場合を見てきましたが、ここからは多い側の話に戻ります。白血球が多いと言われたときに名前が挙がりやすいのが白血病です。頻度としてどのくらい起きていることなのかを、公的な統計から確かめます。

白血病の罹患率は人口10万人あたり1年に12.2例と報告されている

国立がん研究センターのがん統計によると、白血病と診断された人は次のように報告されています。

項目 年次
罹患数 15,165例 2023年
罹患率 人口10万対12.2例(男性14.9例・女性9.7例) 2023年
死亡数 9,972人 2024年
5年相対生存率 50.5% 2018年診断例

この12.2例という数字は、1年間に日本の人口10万人あたり何人が白血病と診断されたかを表したものです。白血球が多いと言われた人のうち何人が白血病か、という数字ではありません。母数は日本の人口全体であり、健診で指摘された人の集団ではないためです。この読み替えは起こりやすいので、数値を見るときに分けて考える必要があります。表に並べた死亡数と5年相対生存率も同じで、白血病と診断された方についての統計であり、白血球が多いと言われた方の見通しを示す数字ではありません。

頻度としては高くありませんが、だから調べなくてよいという結論にはなりません。JSLM2018 は、慢性白血病ではしばしば自覚症状を欠き、健康診断や他の疾患の診療時に血液検査等で異常を指摘されて診断に至ることも多いとしています。症状がないうちに血液検査で見つかる経路が実際にあるからこそ、指摘された数値を確かめる意味があります。頻度の低さと、確かめる意味は、両立します。

参考:国立がん研究センター がん情報サービス「白血病」

白血球の数値だけで白血病かどうかは決められない

数値が大きく動いていても、それだけで結論は出ません。JSLM2018 は、末梢血中の成熟白血球が1μLあたり5万個を超えて著増する場合や、末梢血中に幼若芽球が出現する場合を類白血病反応とし、原因はあくまで反応性で、白血病との鑑別が重要としています。基礎疾患として挙げられているのは次のとおりです。

  • 重症感染症
  • 中毒
  • G-CSF産生腫瘍に併発する場合
  • G-CSF製剤の過剰投与

類白血病反応では原則として赤血球や血小板の異常はないとされており、鑑別のために白血球以外の血球も見ることになります。大きな数値が出たら白血病だと決まるわけではない一方で、反応性だから心配ないと自分で判断できるわけでもない、というのが原典の書き方です。

逆の向きの記述もあります。JSLM2018 は、急性白血病症例の約20%では、白血球増多ではなく汎血球減少のかたちで発症すると報告しています。この20%の母数は急性白血病と診断された症例であり、白血球が少ない人の20%という意味ではありません。確定には血液の専門医による骨髄検査が必要とされています。

もう1つ、数値に関して混同されやすいのがパニック値(緊急報告値)です。JSLM2018 の付録には、白血球数のパニック値として低値で1μLあたり1,500個、高値で1μLあたり2万個、または芽球の出現が挙げられています。これは検査室から医師へ緊急に連絡すべき値であり、健診の判定区分でも、受診するかどうかを自分で決めるための線でもありません。原典自身もパニック値は施設、医師により異なるため、目安と考えていただきたいと注記しています。

白血球の合計値だけでは決められないため分画やほかの血球も合わせて見る

白血球が基準範囲におさまっていても血液の病気が見つかることがある

ここまでの記述を合わせると、白血球の合計値が基準範囲の中にあることは、血液の病気がないことの証明にはならないことが分かります。JSLM2018 は、病態を把握するためには白血球総数の増減だけでなく、各血球分画の実数(白血球総数×分画比率)を確認することが重要としています。合計値が基準範囲の中にあっても、どの分画が何個あるかまでは合計値からは読み取れません。なお、急性白血病の約20%が汎血球減少のかたちで発症するという記述が示しているのは、白血球が多い形だけで発症するわけではないという点であり、基準範囲の中で見つかることを直接示した数字ではありません。

日本臨床検査専門医会が、再検査では合計値だけでなく分画の異常まで確かめるとしている点も、記事の前半で触れたとおりです。見ているのは合計値だけではありません。

これは基準範囲を疑ってかかるべきだという話ではなく、1つの数値でできることには限りがあるという話です。基準範囲に収まっているかどうかは、判断材料の1つです。分画、他の血球、前年までの値、症状の有無まで合わせて見るのは、そのためです。基準範囲の中にあることも、外れていることも、それ単独では結論になりません。

白血球の数値が採血のたびに動く理由と前回の結果の見方

白血球の数値が採血のたびに動く理由と前回の結果の見方

同じ人でも、白血球の数値は採血のたびに動きます。動く理由が分かっていれば、前回の結果と見比べたときの受け止め方も変わります。

午後や運動の直後の採血では白血球が高めに出る傾向がある

JSLM2018 は、白血球数には生理的変動があるとし、日内変動として午前中は低値で午後に高値傾向を示し、運動後も高値を示すとしています。

採血の場面 原典での書かれ方
午前中 低値
午後 高値傾向
運動後 高値

ここで大切なのは、原典が「傾向」と書いていることです。午前に採血すれば低く出る、というような操作の話ではありません。同じ人でも採血の時間帯や直前の運動によって値が動きうるという前提で結果票を読む、というのが原典の趣旨です。

数値は動くもの
白血球は測定のうえでずれることもある

体の状態とは別に、測定の側の要因もあります。JSLM2018 は、白血球数の機器測定における誤差要因として、高値を示すものにM蛋白血症、血小板凝集、有核赤血球、クリオグロブリンの存在、低値を示すものに白血球凝集、破砕細胞増加などを挙げています。また、血小板数と白血球数はデータの変動が認められることから、当日測定を原則とするとされています。

これらは検査室の側で管理されている事柄です。「機械のせいだから気にしなくてよい」と自分で判断するための材料ではありません。値が動きうる幅があるという前提を知っておく程度のものと考えてください。

白血球は個体の基準範囲が集団の基準範囲よりはるかに狭い

日本人間ドック・予防医療学会の委員会文書には、白血球を名指しした記述があります。白血球や血色素、ALPなどは、集団の基準範囲よりも個体の基準範囲(=その人ひとりの範囲)がはるかに狭いため、経年変化も吟味して評価する必要があるというものです。

集団の基準範囲は、多くの人の値を集めて作った幅です。それに対して、1人の人が繰り返し測ったときに動く幅は、それよりずっと狭いということになります。つまり、集団の幅の中に収まっていても、その人自身の普段の値からは大きく離れているという状態がありえます。

これは基準範囲を否定する話ではなく、判断の精度を上げる話です。集団の幅だけを見ていては拾えない変化を、その人の過去の値と並べることで拾えるようにする、という考え方になります。原典が「経年変化も吟味して評価する必要がある」と書いているのは、評価するには過去の値が要るという意味です。毎年同じ数値だから問題ない、という短絡とは向きが違います。

白血球は基準範囲内でも前回からの変化をふまえて評価される

同じ文書は、判定区分についても初回受診者の判定にはきわめて有用ですが、2回目以降は前回受診以降の精査結果や変化などで個々に判定を変えていく必要があるとしています。判定Dとされた例でも精密検査の結果によって判定が変わりうることは記事の前半で触れましたが、これも同じ考え方に立つ扱いです。

ここで、2つの主体を分けておく必要があります。この見出しにある「評価される」は、医師が診療の中で行う評価のことです。一方、結果票を手にした側にできるのは、前年までの値と並べて、変化があるかどうかを確かめ、その情報ごと持って行くところまでになります。

前回と比べて変わっていないから受診しなくてよい、という判断には使えません。前年までの値は、医師が評価するための材料として置かれているものだからです。変化があってもなくても、並べた結果をそのまま診察に持ち込むのが、過去の結果票の使い方になります。

白血球は健康診断の種類によっては測られない

白血球は健康診断の種類によっては測られない

「去年の健診では何も言われなかったのに、今年の人間ドックで初めて指摘された」ということが起こります。理由の1つは、健診の種類によって白血球を測っているかどうかが違うことです。

白血球は事業者健診や特定健診の法定の項目には含まれていない

会社で受ける定期健康診断の項目は、労働安全衛生規則第44条で11項目と定められています。このうち血液に関するものは次の4つです。

  • 貧血検査
  • 肝機能検査
  • 血中脂質検査
  • 血糖検査

白血球数は、この11項目には含まれていません。「貧血検査」に入っているのではないかとも思われますが、同じ規則は貧血検査を血色素量及び赤血球数の検査と定義しています。白血球はここにも入っていません。

特定健康診査についても同じです。「特定健康診査及び特定保健指導の実施に関する基準」第1条に列挙された項目のうち血液検査は肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査で、白血球数はこの列挙の中にありません。

ただし、これは「事業者健診では白血球を測らない」という意味ではありません。ここで言えるのは、労働安全衛生規則第44条の法定の項目には入っていないということだけです。法定項目に上乗せして血液の検査を行っている健診は実際にあります。また、同じ第44条には、医師が必要でないと認めるときは省略できる項目についての規定も置かれています。手元の結果票に白血球の欄があるかどうかは、受けた健診の中身によって変わります。

参考:厚生労働省「労働安全衛生規則」

人間ドックでは白血球が必須項目に含まれている

人間ドックの側では扱いが変わります。日本人間ドック・予防医療学会が示す2026年度 一日ドック基本検査項目表(健保連人間ドック健診項目表)では、血液学の必須項目として赤血球、白血球、血色素、ヘマトクリット、MCV、MCH、MCHC、血小板数が挙げられています。この基本検査項目は健診団体連絡協議会にて決定されたと注記されています。

書き方としては、「人間ドックであれば例外なく白血球を測る」と言い切れるわけではなく、基本検査項目表で必須項目とされているというところまでが正確です。実際にどの項目を実施するかは、受けるコースの内容にもよります。

会社の健診では白血球の欄がなかった方が、人間ドックを受けて初めて指摘される、という流れが起こるのはこの違いによります。去年まで指摘されなかったことが、去年まで基準の中だったことを意味するとは限りません。測っていなかったのか、測ったうえで基準の中だったのかは、過去の結果票を見比べないと分かりません。

参考:日本人間ドック・予防医療学会「2026年度 一日ドック基本検査項目表」

健診の種類による白血球の欄の有無(事業者健診・特定健診・人間ドック)

白血球で所見ありと判定される基準は事業者健診では公表されていない

測られていた場合には、その結果に判定が付きます。では、その判定の線はどこにあるのか。ここにも制度上の事情があります。

日本人間ドック・予防医療学会の委員会文書によると、産業医学の分野では定期健康診断の有所見率を所管の労働基準監督署に提出することになっています。一方で、有所見判定基準は公表されておらず、それゆえ各健診機関の判定基準で行われることになる、と述べられています。これは同学会の委員会文書が述べていることで、厚生労働省の見解として示されているものではありません。同じ文書は、日本人間ドックの判定区分が実際の産業医の現場でも使用されている間接的な根拠が明らかにされているとも述べていますが、これも「間接的な根拠」という限定の付いた記述です。

なお、ここでいう「所見あり」は、制度上の判定を表す言葉です。原典の語では有所見といい、検査値そのものが異常かどうかという意味の「異常」とは別の語として使われています。会社の健診で所見ありとされたことと、その値が医学的に異常であることは、同じではありません。基準範囲を外れても、それだけで異常があるという意味ではないという点は、制度上の判定語とも切り離して考える必要があります。

白血球の再検査までにしておきたい準備

白血球の再検査までにしておきたい準備

白血球は健診の種類によっては測られないことがありますが、この章は測られたうえで指摘された方に向けた内容です。多い側と少ない側で共通する準備が中心になりますが、生活改善として禁煙が挙げられているのは多い側についての記述で、少ない側では体調と服用中の薬を伝えることが中心になります。

白血球が多い人の生活改善として学会が禁煙を挙げている

日本人間ドック・予防医療学会は、血液検査の解説の中で白血球について生活改善の欄を設け、喫煙習慣は白血球を増加させます。禁煙しましょうと示しています。喫煙で白血球が慢性的に多めになるという日本臨床検査専門医会の記述とも向きがそろっており、2つの機関が同じ方向を示している項目です。

ここで書けるのは、「喫煙習慣は白血球を増加させる」「生活改善として禁煙が挙げられている」というところまでです。原典が書いているのはその向きまでで、禁煙によって白血球の数値がどう変わるかについては踏み込んでいません。禁煙には健康上の意味が別にありますが、白血球の数値を動かす手段として位置づけられているわけではない、という読み方になります。

白血球を測った日の体調や今飲んでいる薬を医師に伝える

結果票に書かれていない情報のうち、診察で役に立つものがあります。日本臨床検査専門医会の解説は、白血球が多いと言われた方に向けて「採血した日に熱はありませんでしたか?」と問いかける形で、そのときの体調を確かめることを促しています。伝えておきたいのは次のような内容です。

  • 採血した日やその前後の発熱・のどの痛み・歯ぐきの腫れ
  • 採血の直前に運動をしていたかどうか
  • 採血のタイミングと月経周期の関係
  • 喫煙の習慣があるかどうか
  • 今飲んでいる薬とサプリメント

薬については、特定の薬を使っている場合に白血球数と白血球分類を定期的に確認する運用があることに触れました。とくに少ない側で指摘された場合は、服用中の薬が手がかりになります。

持ち物として結果票を用意することと、ここで挙げた口頭で伝える情報は、別のものです。紙に残っていない情報は、聞かれてから思い出すより、あらかじめ書き出して持って行くほうが漏れにくくなります。

白血球を下げる食べ物や運動はどこまで確かめられているか

再検査までのあいだに数値を下げておきたい、と考える方もいます。この点について、学会や行政の資料で白血球の生活改善として示されているのは禁煙です。食べ物や運動で白血球の数値が下がるかどうかについては、今回確認した学会・行政の資料に記述がありません。確かめられていないことを「効果がない」と読み替えることはできませんが、「下げる方法」として紹介できる段階にもない、というのが現時点の状況にあたります。

そもそも、白血球の数値はどこの部位で何が起きているかまでは示さない検査項目でした。喫煙習慣がある方については禁煙が示されていますが、それも数値を下げる手段としてではなく、生活改善として挙げられているものです。

再検査までにできることは、数値を動かすことではなく、判断の材料をそろえることだと考えたほうが実際的です。結果票をそろえ、体調と薬を書き出しておけば、診察のときに確かめられる範囲が広がります。

白血球についてよくある質問

白血球についてよくある質問

最後に、白血球について寄せられやすい質問を7つまとめました。

白血球が1μLあたり10,000個以上だとどうなりますか?

健診の判定区分ではD 要精密検査・治療が付きます。日本人間ドック・予防医療学会の判定区分(2026年4月1日改定)で、白血球数が1μLあたり10,000個以上(原典表記 10.0×10³/μL以上)はD区分にあたるためです。ただしこれは健診でどの区分に振り分けるかという線であり、1μLあたり10,000個以上が医学的な異常だと決まっているわけではありません。区分ごとの帯と、判定が変わる場合の扱いは記事の前半の表とその説明にまとめています。

風邪をひくと白血球は1μLあたり10,000個以上になりますか?

風邪と1μLあたり10,000個という数値を結びつけた一次情報は見当たりません。日本臨床検査専門医会が書いているのは、風邪などのウイルス感染では白血球数は通常は基準範囲内かやや減るということと、ウイルスによってはリンパ球が増えることもあるということです。一方、細菌感染症では好中球が増えるとされており、感染の種類によって動く白血球の種類が違います。数値だけでは体のどこで何が起きているかは分からないため、原因は分画を含めた検査で確かめることになります。

健康診断の白血球が毎年同じ数値で少ないのは異常ですか?

毎年同じような数値であることは、日本臨床検査専門医会が示す「通常は問題はない」とされる3つの条件のうちの1つです。ただし残る2つ、分画に異常がないことと特に症状がないことがそろって初めて当てはまります。また、日本人間ドック・予防医療学会の委員会文書は、白血球は集団の基準範囲より個体の基準範囲がはるかに狭いため経年変化も吟味して評価する必要があるとしており、毎年同じであること自体が結論になるわけではありません。基準範囲を外れていても、それだけで異常があるという意味ではないという前提も同じです。

気になる疑問に回答

白血球が多いと症状は出ますか?

白血球が多いこと自体でどのような症状が出るかを示した一次情報は見当たりません。むしろ逆向きの記述があり、日本臨床検査医学会のガイドラインは慢性白血病ではしばしば自覚症状を欠き、健康診断や他の疾患の診療時に血液検査等で異常を指摘されて診断に至ることも多いとしています。症状がないことは、確かめなくてよい理由にはなりません。また、白血球の数値が高い場合に何かが疑われるとしても、どこの部位で発生しているかは数値からは分からないとされています。

ストレスで白血球は上がりますか?

日本臨床検査専門医会は、精神的ストレス、運動直後、月経などでも白血球が一時的に多くなることがあるとしています。ここで書かれているのは「一時的に」であり、習慣が続いているあいだ高めに出るとされている喫煙とは性質が違います。ストレス以外の要因も含めて、白血球が増える原因は記事の中ほどで分画ごとに整理しました。健診の前後にそうした事情があった場合は、診察のときにそのまま伝えてください。

女性の白血球の正常値はいくつですか?

共用基準範囲に性別の区分は設けられていません。日本臨床検査医学会のガイドラインに収載されている共用基準範囲では、白血球数は男女共用で1μLあたり3,300〜8,600個(原典表記 3.3〜8.6×10³/μL)とされています。男女差指数も0.13で、男女別の値は設定されていません。なお「正常値」と呼ばれているものが何を指すかと、手元の結果票の基準範囲と一致しないことがある理由は、記事の前半の基準範囲の章で整理しています。

白血球が少ない状態はもとに戻りますか?

原因によります。ウイルス感染や服用中の薬など一時的な要因で下がっている場合と、もともとその方の値が低めである場合とでは、意味が違ってきます。日本臨床検査専門医会はもともと他の人よりも白血球の数が少なめの人がいるとしており、体質としての低めの値は「戻る」「戻らない」という問題ではなく、その方のもとの値ということになります。どちらにあたるかは、分画と前年までの値を合わせて医師が判断します。回復までの期間や数値の段階を一律に示した一次情報はありません。

健康診断で白血球の欄に印が付いたとき、迷いどころは3つに整理できます。数値はいくつか、症状はあるか、そして受けたのが健診か病院の検査かです。

数値については、健診の判定区分と検査の基準範囲が別の物差しである点が出発点になります。判定区分は精密検査や治療のために紹介すべきレベルを示すもので、基準範囲は健康な方の検査値の分布から求めた範囲です。基準範囲を外れても、それだけで異常があるという意味ではありません。共用基準範囲は1μLあたり3,300〜8,600個(原典表記 3.3〜8.6×10³/μL)ですが、精度管理調査アンケートによる平均採用率は45.9%で、資料によって上限も下限も違います。同じ1μLあたり8,500個が、資料によって範囲の内側にも外側にも軽度異常にもなります。

症状については、多い側はよくある質問の「白血球が多いと症状は出ますか?」で触れたとおり、症状がないまま血液検査で見つかる経路が示されています。少ない側では、症状がないことは3つの条件のうちの1つにすぎず、分画と経年の値までそろって初めて「通常は問題はない」に当てはまります。症状の有無だけで決めないという点は、多い側でも少ない側でも共通しています。

受けたのが健診か病院の検査かについては、会社の定期健康診断と特定健康診査の法定の項目に白血球数は含まれておらず、人間ドックの基本検査項目表では必須項目とされています。去年言われなかったことが、去年は基準の中だったことを意味するとは限りません。

白血球が多い・少ないと言われたときの受診の目安〜まとめ〜

「基準値を外れたら異常か」という問いへの答えは、外れただけでは異常があるという意味ではない。ただし、健診の判定区分と、条件による受診の目安はある、というものになります。

多い側は、白血球数の著しい増加または明らかな分画異常があるかどうかが第1段、白血球数が数万にも増え、かつ赤血球と血小板も著しく減っているかどうかが第2段という、別々の2段。少ない側は4つの条件のどれかに当てはまるかどうか。確かめるのは数値ひとつではなく、この条件のほうです。

次の一歩として、手元の結果票と前年までの結果票を持って、一度内科で見てもらうところから始められます。池袋かめさん内科の内科診療では、健診で検査値異常を指摘された方の受診に対応しており、健診結果をお持ちいただければ、追加で必要な検査と今後の治療方針をご説明いたします。

診療時間は9:00-12:30と14:00-18:00で、月曜と日祝は休診、土曜は午前のみです。これから健診を受ける方に向けては、血液検査を含む健康診断も実施しており、採血項目の追加などご相談に応じて対応しております。こちらは予約制です。

03-3986-4466

受付時間:9:00-12:30/14:00-18:00

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