肺炎球菌ワクチンには、23価の多糖体ワクチンが1種類と、13価から21価の結合型ワクチンが4種類あります。2026年4月から高齢者の定期接種で使うワクチンが入れ替わり、豊島区の自己負担額もそれに合わせて変わりました。届いた予診票を前に、どれを打つのか・いくらかかるのかで迷う場面が増えています。
種類と費用を軸に、定期接種の対象者・接種できる期間・2回目の考え方・効果の範囲・副反応までを順に見ていきます。
目次
- 1 肺炎球菌ワクチンとは?肺炎球菌がうつる経路と起こりうる重い合併症
- 2 肺炎球菌ワクチンの定期接種は2026年4月にプレベナー20へ変わった
- 3 肺炎球菌ワクチンの種類は多糖体ワクチンと結合型ワクチンの2系統
- 4 肺炎球菌ワクチンの定期接種の対象者と接種できる期間
- 5 肺炎球菌ワクチンは豊島区でいくら?定期接種と任意接種で変わる自己負担
- 6 肺炎球菌ワクチンの2回目は必要?生涯1回とされる制度と学会の見解
- 7 肺炎球菌ワクチンで肺炎はすべて防げる?20種類の血清型に限られる効果の範囲
- 8 肺炎球菌ワクチンの副反応(副作用)が出る頻度と重大な副反応の割合
- 9 肺炎球菌ワクチンを受けられない人と接種前に相談が必要な人
- 10 当院の肺炎球菌ワクチンは取り寄せのため予約が必要
- 11 肺炎球菌ワクチンについてよくある質問
肺炎球菌ワクチンとは?肺炎球菌がうつる経路と起こりうる重い合併症

肺炎球菌は、健康な方の鼻や喉の奥にもいる細菌です。この章では、どこからうつるのか・体の中で何が起こるのか・ワクチンが対象にしている侵襲性肺炎球菌感染症とは何かまでを押さえます。肺炎球菌による感染と、ワクチンで予防する範囲を分けて見ていきます。
肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌による感染症の予防に用いられる
定期接種で使われているプレベナー20の電子添文は、対象を「高齢者又は肺炎球菌による疾患に罹患するリスクが高いと考えられる者」としています。効能又は効果は「肺炎球菌による感染症の予防」です。かかってから治す薬ではなく、かかる前に受けて感染症の予防に用いられるものという位置づけです。
リスクが高いと考えられる者として電子添文が挙げているのは、慢性的な心疾患・肺疾患・肝疾患・腎疾患のある方、糖尿病の方、免疫不全状態(疑いを含む)にある方、先天的または後天的な無脾症の方などです。年齢だけでなく、持病などの状態によっても対象が定められています。
肺炎球菌は咳やくしゃみなどを通じて飛沫感染する
肺炎球菌は主に気道の分泌物に含まれ、主な感染経路は咳やくしゃみなどを通じた飛沫感染です。特別な場所でうつる菌ではなく、日常の会話や咳の場面が経路になります。
もう一つ押さえておきたいのが、菌を持っていることと病気になることは別だという点です。厚生労働省は日本人の約5〜10%の高齢者では鼻や喉の奥に菌が常在しているとしています。常在している状態では症状が出ないため、自分が持っているかどうかを自覚する機会はありません。
肺炎球菌感染症で起こる重い合併症は気管支炎や肺炎から敗血症まで
菌が増えて広がると何が起こるのか。これらの菌が増殖し下気道や血流中へ侵入することで、気管支炎や肺炎や敗血症などの重い合併症を起こすことがあります。菌を持っていれば重い合併症が起こると決まっているわけではありません。
菌が広がる先によって、呼び名が変わります。
| 菌が広がる先 | 起こりうるとされている状態 |
|---|---|
| 気道 | 気管支炎 |
| 下気道 | 肺炎 |
| 血流 | 敗血症などの重い合併症 |
※厚生労働省「高齢者の肺炎球菌ワクチン」の記載にもとづく区分です。
重くなりやすいのは高齢の方と基礎疾患のある方だとされています。ただし、重い合併症に進む割合を示した数字は一次情報に見当たりません。
肺炎球菌ワクチンが対象にする侵襲性肺炎球菌感染症は血液や髄液などから菌が見つかる
このあと何度も出てくる用語が、侵襲性肺炎球菌感染症です。厚生労働省の定義は本来は菌が存在しない血液や髄液や関節液などから菌が検出される感染症というもので、英語の頭文字からIPDとも呼ばれます。
効果の数字を読むときは、肺炎と侵襲性肺炎球菌感染症を区別します。肺炎は肺の中で起こる感染症で、侵襲性肺炎球菌感染症は本来は無菌の場所へ菌が入り込んだ状態を指します。有効性の数字がどちらを指標にしたものかで意味が変わるため、効果を扱う章では指標を分けて書きます。
肺炎球菌ワクチンの定期接種は2026年4月にプレベナー20へ変わった

2026年4月1日、高齢者の定期接種で使うワクチンが入れ替わりました。変わったのはワクチンの種類と接種方法で、対象者と接種回数は変わっていません。この章では、何が入れ替わったのか・何が据え置かれたのか・なぜ変えたのかを順に分けます。
| 項目 | 令和8年3月31日まで | 令和8年4月1日から |
|---|---|---|
| 使うワクチン | ニューモバックスNP | プレベナー20 |
| 一般名と価数 | 23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23) | 沈降20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20) |
| 接種方法 | 筋肉内または皮下に注射 | 筋肉内に注射 |
| 接種回数 | 1回 | 1回 |
肺炎球菌ワクチンの定期接種は2026年3月までニューモバックスNPを使っていた
豊島区は、高齢者肺炎球菌ワクチンの定期接種で使うワクチンについて、令和8年3月31日まではニューモバックスNP(PPSV23)、令和8年4月1日からはプレベナー20(PCV20)としています。
あわせて区が明記しているのが、定期接種ではワクチンの種類を選べないという点です。定期接種の枠で受ける以上、使うワクチンはその時点で区が定めたものになります。
参考:豊島区「高齢者肺炎球菌ワクチン予防接種について(定期接種)」
肺炎球菌ワクチンの定期接種の対象者も接種回数も変わっていない
ワクチンが入れ替わっても、定期接種の対象者に変更はありません。厚生労働省はQ&Aでそのように示しており、65歳の方と、60歳から64歳で一定の障害がある方という区分はそのまま引き継がれています。
回数も同じです。ニューモバックスNPもプレベナー20もいずれも1回接種で、新しいワクチンになったから2回打つ、という変更は入っていません。予診票が1枚だけ届くのも、この回数の定めに沿っています。対象者の詳しい条件は対象と期間の章で扱います。

定期接種の肺炎球菌ワクチンの接種方法は筋肉内注射に変わり皮下注射では行わない
実際の打ち方は変わりました。プレベナー20の電子添文は、高齢者に対する用法を1回0.5mLを筋肉内に注射するとだけ定めています。一方のニューモバックスNPは、筋肉内または皮下のどちらでも接種できる書き方になっていました。選択肢が2つあった状態から、筋肉内の1つに絞られた形です。
厚生労働省もQ&Aで、接種方法が異なっていますのでご注意くださいと添えています。同じ肺炎球菌ワクチンという名前でも打ち方が同じとは限らない、というのが2026年の変更の実体のひとつです。腕のどこにどう打つかは接種の場で医師が判断します。
定期接種の肺炎球菌ワクチンが結合型に変わったのは含まれる血清型において従来より高い有効性が期待できるため
変更の理由は厚生労働省が説明しています。ここでいう血清型は肺炎球菌の型、機序は免疫を得る仕組みのことです。両者はどちらも肺炎球菌ワクチンですが、接種後に免疫を得る機序が異なるため、含まれる血清型において結合型ワクチンの方が多糖体ワクチンより高い有効性が期待できるとされています。効果が高いと言い切っているのではなく、期待できるという水準の書き方です。
カバーの広さについても補足があります。2024年時点で成人の侵襲性肺炎球菌感染症の原因となった血清型のうち、それぞれのワクチンが含む血清型の割合は概ね同等程度だとされています。つまり、広さが大きく広がったから変えたという説明にはなっていません。
安全性については、両者とも特段の安全性の懸念は認められていないとされています。そのうえで審議会の議論を経て定期接種で使うワクチンが切り替わりました。機序の違いを根拠にした変更、という整理になります。
高齢者の定期接種として受けられる肺炎球菌ワクチンは生涯1回です。ただしこれは、追加の接種が一律に不要という意味ではありません。追加接種を受けるかどうかは、過去に受けたワクチンの種類などに応じて検討することになります。2回目の考え方は回数の章で扱います。なお、ここまでの制度の内容は2026年9月29日時点のもので、令和9年度以降の取り扱いは公表されていません。
肺炎球菌ワクチンの種類は多糖体ワクチンと結合型ワクチンの2系統

肺炎球菌ワクチンは、免疫を得る仕組みで多糖体ワクチンと結合型ワクチンの2つの系統に分かれます。国内で名前を見かける製品は5つで、その内訳は多糖体が1つ・結合型が4つです。系統の数と製品の数が食い違って見えるのはこのためで、まず数の整理から始めます。
国内で高齢者に対して使われている肺炎球菌ワクチンは、次の5つです。
- ニューモバックスNP:23価の多糖体ワクチン(PPSV23)
- プレベナー13:13価の結合型ワクチン(PCV13)
- バクニュバンス:15価の結合型ワクチン(PCV15)
- プレベナー20:20価の結合型ワクチン(PCV20)
- キャップバックス:21価の結合型ワクチン(PCV21)
肺炎球菌ワクチンは多糖体が23価の1種類で結合型は13価から21価の4種類
数の並びを見ると、多糖体ワクチンは23価のニューモバックスNPだけです。結合型ワクチンは13価から21価まで4つあり、価数が大きい順に並べると23価の次に来るのは結合型の21価になります。価数の大小と系統は一致しません。
23価や20価という数字は、そのワクチンが対象にしている血清型の数です。血清型とは肺炎球菌の型のことで、肺炎球菌には100種類以上の血清型があるとされています。したがって価数が大きいほど含まれる型は多くなりますが、100種類すべてを含む製品はありません。含まれない型に対して何が起こるのかは、効果の範囲の章で扱います。

肺炎球菌ワクチンのニューモバックスとプレベナーの違いは免疫を得る機序
系統が分かれる理由は、体が免疫を得る仕組みにあります。厚生労働省は、どちらも肺炎球菌ワクチンではあるものの接種後に免疫を得る機序が異なると説明しています。機序とは、体の中で働きが成り立つ仕組みのことです。同じ病気を相手にするワクチンでも、成り立ちが違う2つが並んでいることになります。
製品名で覚えている方が多いので、名前のほうから整理しておきます。ニューモバックスNPが多糖体ワクチン、プレベナーやバクニュバンスやキャップバックスが結合型ワクチンです。ニューモバックスとプレベナーの違いは、価数の差というより系統の差にあたります。
| 項目 | 多糖体ワクチン | 結合型ワクチン |
|---|---|---|
| 該当する製品 | ニューモバックスNP | プレベナー13・バクニュバンス・プレベナー20・キャップバックス |
| 含まれる血清型の数 | 23種類 | 13種類から21種類 |
| 2026年4月以降の定期接種 | 使用しない | プレベナー20のみ使用する |
参考:医薬品医療機器総合機構「プレベナー20水性懸濁注 電子添文」/医薬品医療機器総合機構「ニューモバックスNPシリンジ 電子添文」
肺炎球菌ワクチンのうち定期接種で使えるのはプレベナー20(PCV20)だけ
5つの製品が国内にあっても、定期接種の枠で使えるものは1つに限られます。厚生労働省は、PPSV23とPCV15とPCV21は2026年4月以降の定期接種としては使用できないとしており、定期接種に用いるワクチンはPCV20のみだと示しています。区が種類を選べないとしているのは、この定めがあるためです。
読み替えると、予診票を持って受ける接種はプレベナー20になります。ニューモバックスNPを希望しても定期接種の枠では受けられない、という形です。他の製品を受ける道が閉ざされたわけではなく、その場合は枠が任意接種のほうへ移ります。
肺炎球菌ワクチンの任意接種ではプレベナー20のほか21価のキャップバックス(PCV21)なども選べる
任意接種では、定期接種より選択の幅があります。学会の合同委員会は、定期接種の対象にならない未接種の方について、任意接種としてPCV20またはPCV21を接種するという考え方を示しています。PCV21が21価のキャップバックスです。
キャップバックスは2025年8月に国内で高齢者とハイリスク者に対して薬事承認されました。学会は、このワクチンについて定期接種化に係る検討が行われているとも書いています。2026年9月29日時点では定期接種の対象ではなく、受ける場合は任意接種になります。
| 区分 | 使えるワクチン | 一次情報の記載 |
|---|---|---|
| 定期接種(2026年4月以降) | プレベナー20(PCV20)のみ | 厚生労働省はPPSV23・PCV15・PCV21を定期接種としては使用できないとしている |
| 任意接種 | プレベナー20やキャップバックス(PCV21)など | 学会はPCV20またはPCV21の接種を選択肢として示している |
どの製品で接種するかは、受ける枠と医療機関の取り扱いによって決まります。当院の任意接種で使用するワクチンの製品名は公表していません。
高齢者が任意接種で受けられるワクチンは、肺炎球菌だけではありません。同じく高齢の方に関わるワクチンの話は、次の記事でも扱っています。
・RSウイルスの大人の症状は熱と咳がいつまで続く?
・帯状疱疹の初期症状と前兆が出たら何科を受診する?
池袋かめさん内科の予防接種はお取り寄せになるため、事前のご予約をお願いしています。高齢者肺炎球菌ワクチンの費用は料金表のページに掲載しています。発熱や咳などの症状でお困りの場合は、内科診療のページもご覧ください。
肺炎球菌ワクチンの定期接種の対象者と接種できる期間

定期接種には、対象になる方と接種できる期間の両方に区切りがあります。年齢の条件を満たしていても期間を過ぎると助成の対象から外れるため、この2つは組みで確かめる形になります。どちらの区分も、豊島区に住民登録があり初めて高齢者肺炎球菌ワクチンを接種する方が対象です。豊島区の区分は次のとおりです。
| 区分 | 対象になる方 | 接種できる期間 |
|---|---|---|
| 65歳の方 | 満65歳の方 | 65歳の誕生日から66歳の誕生日の前日まで |
| 60歳から64歳の方 | 心臓・腎臓・呼吸器の機能またはHIVによる免疫の機能に障害を有する方(身体障害者手帳1級程度) | 65歳の誕生日の前日まで |
肺炎球菌ワクチンの定期接種は65歳の人と身体に一定の障害がある60〜64歳の人が対象
対象は2つの区分に分かれます。ひとつが満65歳の方、もうひとつが満60歳以上65歳未満で一定の障害がある方です。この一定の障害について、豊島区は心臓・腎臓・呼吸器の機能またはHIVによる免疫の機能に障害を有する方(身体障害者手帳1級程度)と定めています。障害であれば何でも当てはまるのではなく、部位と程度の両方が示されています。
厚生労働省の示し方もこれと重なります。60歳から64歳については、心臓・腎臓・呼吸器の機能に障害があり身の回りの生活が極度に制限される方、またはHIVによる免疫機能障害で日常生活がほとんど不可能な方が対象です。該当するかどうかの判断は手帳の等級を含めた確認が必要になるため、区分の見極めは窓口と診察の場で行われます。
肺炎球菌ワクチンの定期接種を65歳で受けられるのは66歳の誕生日の前日まで
65歳の方の接種期間は、65歳の誕生日から66歳の誕生日の前日までです。年度ではなく誕生日で区切られるため、同じ年度に65歳になった方でも締め切りの日付は一人ひとり違います。60歳から64歳の該当者は、65歳の誕生日の前日までが期間です。
豊島区は、予診票を65歳の誕生月末に順次発送するとしています。60歳から64歳の該当者についても、その誕生月末の発送です。一方で接種期間は誕生日から始まるため、予診票の到着日が期間の始まりではありません。届かない場合の申請については、この記事のよくある質問で扱います。
肺炎球菌ワクチンの経過措置は2024年3月31日に終わり70歳や75歳などは対象外になった
かつては65歳以外の年齢も定期接種の対象でした。豊島区は、その年度に70歳・75歳・80歳・85歳・90歳・95歳・100歳になる方を対象にした経過措置が令和6年3月31日に終了したとしています。実施されていたのは令和5年度までです。
学会の合同委員会の整理では、この経過措置は2014年10月から2024年3月にかけて5年間の経過措置が2回、合わせて10年間行われました。2024年度からは65歳の方などのみが対象です。したがって、70歳や75歳の節目に届くはずだと待っていても予診票は届きません。この年齢で接種を受ける場合は任意接種になります。
豊島区では高齢者肺炎球菌ワクチンを過去に接種した人は助成の有無にかかわらず定期接種の対象外
もうひとつの条件が、過去の接種歴です。豊島区は、助成の有無にかかわらず、過去に高齢者肺炎球菌ワクチンを接種したことがある場合は定期接種の対象外としています。自費で受けた場合も対象から外れる、という線の引き方です。
注意したいのは、予診票が届いたこと自体は対象であることの確認にならない点です。自費で接種した方や転入以前に接種した方にも予診票が送付される場合があります。学会は、全国の自治体に向けた一般的な案内として、過去に任意接種歴のある65歳の方で個別通知が届いていない場合は定期接種を受けられるか居住する市区町村へ問い合わせすることが望ましいとしています。豊島区では、助成の有無を問わず接種歴がある方は対象外です。
なお、過去に肺炎や肺炎球菌感染症にかかったことがある方は、その経験があっても定期接種の対象になります。かかったことと接種を受けたことは別に扱われる、ということです。
参考:豊島区「高齢者肺炎球菌ワクチン予防接種について(定期接種)」
肺炎球菌ワクチンは豊島区でいくら?定期接種と任意接種で変わる自己負担

費用は一律ではありません。同じ肺炎球菌ワクチンでも、定期接種として受けるか任意接種として受けるかで自己負担の考え方が変わります。定期接種には区の助成があり自己負担額が決められていますが、任意接種は全額が自己負担で、価格は医療機関ごとに決まります。この章では区の制度の側だけを扱い、当院の任意接種の料金は自院の章で書きます。
| 区分 | 自己負担額 |
|---|---|
| 令和8年度の対象者 | 5,500円 |
| 生活保護を受けている方・中国残留邦人等支援給付の受給者 | 無料 |
※令和8年度(2026年度)の定期接種の自己負担額です。
肺炎球菌ワクチンの定期接種は豊島区に住む2026年度の対象者が5,500円
豊島区の定期接種でいくら払うのか。令和8年度の対象者の自己負担額は5,500円です。この金額は、対象になる方が接種の当日に医療機関の窓口で支払う額を指します。残りは区が負担する仕組みで、値段の全額を窓口で払うわけではありません。
前の年度とは金額が違います。令和7年度の対象者、つまり令和8年3月までに予診票が届いた昭和35年4月2日から昭和36年4月1日生まれの方は4,000円でした。1,500円の差は年度の切り替わりによるもので、同じ制度の中で料金が改定された形です。
背景については学会の合同委員会が触れています。高齢者肺炎球菌感染症は予防接種法のB類疾病にあたり、B類疾病のワクチン接種には一定額の個人による費用負担が生じます。そのうえで、高齢者の定期接種ワクチンが結合型ワクチンに切り替わることで個人による定期接種の費用負担が増加すると考えられるとしています。2026年4月の切り替えと金額の動きは、この見立てと重なります。
肺炎球菌ワクチンの定期接種が無料になるのは生活保護を受けている人など
自己負担額が0円になる方もいます。豊島区は、生活保護を受けている方と中国残留邦人等支援給付の受給者は無料としています。対象の区分そのものは変わらず、負担する金額だけが免除される扱いです。
該当する場合の手続きや当日の持ち物は、予診票に同封される案内と区の窓口の案内によります。医療機関の側で判定する仕組みではないため、区分の確認は接種の前に済んでいる形が前提です。

肺炎球菌ワクチンを定期接種の期間外に受けると任意接種で全額自己負担になる
接種できる期間を過ぎると、助成はありません。長期療養特例に該当する場合を除き、66歳の誕生日の前日を過ぎてから受ける接種は任意接種になり、費用は全額自己負担です。60歳から64歳の区分での接種期間は65歳の誕生日の前日までで、未接種のまま65歳になった方は65歳の対象区分で扱われます。区の助成は期間の中で受けた接種にだけ適用されます。
過去に高齢者肺炎球菌ワクチンを接種したことがある方も、豊島区では定期接種の対象外です。この場合も、接種を受けるなら任意接種としての自己負担になります。いくらかかるかは医療機関ごとに定めた料金によるもので、区が金額を決める仕組みにはなっていません。
参考:豊島区「高齢者肺炎球菌ワクチン予防接種について(定期接種)」
上の表は令和8年度(2026年度)の内容です。自己負担額は年度ごとに定められており、令和9年度以降の金額は公表されていません(2026年9月29日時点)。任意接種の料金は医療機関ごとに決まります。
肺炎球菌ワクチンの2回目は必要?生涯1回とされる制度と学会の見解

2回目を打つ必要があるのか。ここは、制度の話と学会の見解を分けて読むと整理がつきます。定期接種として受けられるのは1回ですが、追加の接種が一律に不要という意味ではありません。もう打たなくてよい・2回目は必要ないという受け止めも見かけますが、学会は過去の接種歴に応じた追加接種の考え方を示しています。
制度として言えるのは、定期接種として受けられる回数が1回だということです。学会が示しているのは、過去に受けたワクチンの種類に応じた追加接種の考え方です。
一方で、1回の接種で十分な免疫が保たれるかどうかを示した一次情報は確認できていません。生涯1回という回数は制度上の定めであって、医学的な結論として書けるものではありません。
肺炎球菌ワクチンの定期接種は毎年でも5年ごとでもなく生涯で1回
豊島区は、高齢者肺炎球菌ワクチンの定期接種は生涯で1回のみとしています。インフルエンザ予防接種のように毎年受けるものではなく、5年ごとに定期接種の予診票が届く仕組みでもありません。
5年という数字が出てくるのは、多糖体ワクチンの再接種にまつわる話の中です。定期接種の回数の定めとは別の文脈なので、混ぜて読むと年数の勘違いが起こります。再接種については、この章の最後で扱います。
予診票が1回しか届かないのも、この定めに沿っています。届いた予診票を使えるのは1回だけで、使ったあとに同じ年度内で再発行を受ける仕組みはありません。
肺炎球菌ワクチンは予防接種法のB類疾病の定期接種として回数が1回と定められている
なぜ1回なのか。根拠は制度の側にあります。学会の合同委員会は、高齢者肺炎球菌感染症が予防接種法のB類疾病に位置づけられていることを示しています。B類疾病のワクチン接種には接種勧奨および努力義務はなく、一定額の個人による費用負担が生じます。
つまり生涯1回という回数は、予防接種法にもとづく定期接種としての枠の話です。1回で十分な免疫が得られるという医学的な理由として書ける一次情報は確認できていません。回数の定めを効果の裏づけとして読み替えないほうが、後の判断を誤りません。
努力義務がないということは、受けるかどうかが本人の判断に委ねられているということです。接種を受けないという選択も制度の中に含まれています。予診票が届いたこと自体は接種を求める通知ではありません。
肺炎球菌ワクチンの2回目は1年以上あけて受ける結合型ワクチンなどの任意接種になる
2回目を受ける場合は、定期接種ではなく任意接種の枠になります。学会は、過去に定期接種としてPPSV23を接種した方は原則として定期接種の対象外としており、重ねて定期接種の助成を受ける道はありません。そのうえで、追加接種の考え方を接種歴ごとに示しています。
すでに1本受けている方の主な経路がこちらです。学会は、PPSV23あるいはPCV13・PCV15・PCV20を接種した場合、接種から1年以上の間隔を置いてPCV20あるいはPCV21を接種することができるとしています。2本目に選ぶのは結合型ワクチンで、間隔の下限が1年という形です。
一方、まだ1本も受けていない方には別の選択肢もあります。定期接種の対象にならない未接種の方については、PCV20またはPCV21を受ける道のほかに、PCV15を接種してからPPSV23を接種するという連続接種という経路が示されています。この連続接種では2本目が多糖体ワクチンになり、間隔は1年から4年が適切だとされています。
| これまでの接種歴 | 学会が示している追加接種 | 間隔 |
|---|---|---|
| PPSV23(ニューモバックスNP)を接種した | PCV20またはPCV21 | 前回接種から1年以上 |
| PCV13・PCV15・PCV20のいずれかを接種した | PCV20またはPCV21 | 前回接種から1年以上 |
| 接種を受けたことがなく定期接種の対象にもならない | PCV20またはPCV21。PCV15とPPSV23の連続接種という経路もある | 連続接種の場合は1年から4年 |
学会は、65歳以上で侵襲性肺炎球菌感染症にかかった方の基礎疾患を頻度の順に、糖尿病・慢性肺疾患・アルコール依存症・慢性心疾患・慢性肝疾患と挙げています。そのうえで、免疫不全状態のある患者ではPCV20またはPCV21の接種、あるいはPCV15とPPSV23の連続接種を検討することが推奨されるとしています。当てはまるかどうかの判断には診察が必要ですので、持病がある方は接種を受ける前に医師にご相談ください。
参考:日本呼吸器学会ほか「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第8版)」

肺炎球菌ワクチンのうちニューモバックスNPの再接種は学会が原則として選択肢にしていない
2回目として同じニューモバックスNPをもう1本、という経路は後退しました。学会は第8版で、第7版以降に高齢者における結合型ワクチンの利用が拡充されたことから、PPSV23接種後の同ワクチンの再接種を原則として選択肢としないとしています。5年以上あけて打ち直す、という書き方は添付文書にも学会の考え方にも見当たりません。
再接種そのものについては、ニューモバックスNPの電子添文が注意を書いています。
- 過去5年以内に多価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンを接種したことのある方では、本剤の接種により注射部位の疼痛・紅斑・硬結などの副反応が初回接種よりも頻度が高く程度が強く発現すると報告されている
- 再接種を行う場合には、再接種の必要性を慎重に考慮したうえで前回接種から十分な間隔を確保して行う
過去5年以内に多糖体ワクチンを接種した方では、同じワクチンをもう1本という形は頻度と程度の両面で負担が増える方向として記載されている、ということです。2本目を考える場合に結合型が前に出てくるのは、この記載と学会の整理が重なるためです。どの経路を選ぶかは診察の場で医師と決めることになります。
参考:医薬品医療機器総合機構「ニューモバックスNPシリンジ 電子添文」
肺炎球菌ワクチンで肺炎はすべて防げる?20種類の血清型に限られる効果の範囲

肺炎という病名の全体を引き受けるワクチンではありません。この章の有効性の数字は、定期接種で使うプレベナー20(PCV20)について報告されたもので、価数の違う他のワクチンに当てはめて読むことはできません。他の製品のカバー率と、13価の結合型ワクチン(PCV13)で報告された持続期間は、製品名を明示して分けて載せています。対象にしている型の広さ・原因のうちどれだけを占めるか・全体としてどれだけ予防するとされるかを、順に分けます。
言えるのは、プレベナー20に含まれる血清型の数と、その型が成人の侵襲性肺炎球菌感染症の原因のどれだけを占めるかという研究結果です。有効性の数字も、指標と研究の設計を添えれば書けます。
言えないのは、PCV20の効果が何年続くのかという持続年数です。根拠にしている一次情報にPCV20の持続年数の記載がないため、持続の話は13価の結合型で報告された年数を13価の話として書きます。
定期接種の肺炎球菌ワクチンが対象にするのは100以上ある血清型のうち20種類
肺炎球菌には100種類以上の血清型があるとされています。プレベナー20が対象にしているのはそのうちの20種類で、電子添文には血清型1・3・4・5・6A・6B・7F・8・9V・10A・11A・12F・14・15B・18C・19A・19F・22F・23F・33Fが並んでいます。
含まれない型をどう扱うかは、電子添文が明記しています。本剤に含まれている肺炎球菌血清型以外による感染症又は他の起炎菌による感染症を予防することはできないという一文です。20という数字は、対象にしている範囲の上限でもあります。
肺炎という病名は、原因になる微生物ごとに中身が分かれます。厚生労働省も、過去に肺炎にかかった方が定期接種の対象になる理由として肺炎の原因は様々であることを挙げています。したがって、誤嚥性肺炎のように原因が肺炎球菌に限られない肺炎まで、このワクチンの対象が広がるわけではありません。
定期接種の肺炎球菌ワクチンに含まれる20種類の血清型は成人の侵襲性肺炎球菌感染症の原因の約5〜6割
では20種類でどれだけを拾えるのか。厚生労働省は、プレベナー20に含まれる20種類の血清型が成人の侵襲性肺炎球菌感染症の原因の約5〜6割を占めるという研究結果を示しています。約半分から6割を占める型が入っている、という読み方になります。
カバーの割合は調査の時期によって動きます。学会の合同委員会が示している成人の侵襲性肺炎球菌感染症サーベイランスでは、65歳以上の原因血清型に対する各ワクチンのカバー率が期間ごとに集計されており、直近の期間の値は次のとおりです。
| ワクチン | 2022年から2024年のカバー率 |
|---|---|
| バクニュバンス(PCV15) | 35% |
| プレベナー20(PCV20) | 50% |
| ニューモバックスNP(PPSV23) | 51% |
| キャップバックス(PCV21) | 78% |
※65歳以上の成人の侵襲性肺炎球菌感染症サーベイランスで集計された2022年から2024年の値です。
期間が新しくなるほどカバー率が下がっているのがPCV20とPPSV23の並びです。2013年から2015年の期間はいずれも約7割で、そこから段階的に下がってきました。流行する型が入れ替わるため、同じ製品でもカバー率は固定されていません。

定期接種の肺炎球菌ワクチンは血清型を問わない侵襲性肺炎球菌感染症全体の3〜4割程度を予防するとされる
原因のうち何割を含むかと、実際に何割を防ぐとされるかは別の数字です。厚生労働省は、プレベナー20について血清型に依らない侵襲性肺炎球菌感染症全体の3〜4割程度を予防する効果があるという研究結果を示しています。含まれる型が約5〜6割で、予防の効果は全体の3〜4割程度、という並びになります。
実際に接種が行われた集団を後から追った報告もあります。学会の合同委員会が引いている米国のメディケア1,650万人を対象にした後ろ向きコホート研究は、過去の記録をさかのぼって集団を比較した研究です。この研究では、プレベナー20の接種によるすべての侵襲性肺炎球菌感染症に対する有効性が25.6%、肺炎に対する有効性が15.2%とされています。10万人年あたりでは侵襲性肺炎球菌感染症が12.0エピソード、肺炎が758.0エピソード減ったという集計です。
この研究で減少幅が大きかったのは85歳以上の方と免疫不全状態の方でした。数字の大小は指標と研究の設計によって変わりますので、臨床試験の有効性とリアルワールドの集計を同じ物差しで並べることはできません。
参考:厚生労働省「高齢者の肺炎球菌ワクチン」/医薬品医療機器総合機構「プレベナー20水性懸濁注 電子添文」
肺炎球菌ワクチンの効果はいつまで続く?13価の結合型で市中肺炎に約4年という報告
何年続くのかという問いに数字で答えられるのは、13価の結合型ワクチン(PCV13)についての報告です。学会の合同委員会が挙げているのは次の3点です。
- 免疫不全を除くリスクの有無にかかわらず、65歳以上への接種によりその後約4年間は市中肺炎に対する予防効果が持続したとの報告がある
- CAPiTA試験の事後解析では5年の研究期間内に市中肺炎と侵襲性肺炎球菌感染症に対する予防効果は減衰しなかった
- 接種した年齢によって予防効果が変わる
年齢による差は数字で示されています。
| PCV13を接種した年齢 | ワクチン血清型による市中肺炎と侵襲性感染症への予防効果 |
|---|---|
| 65歳時点 | 65% |
| 75歳時点 | 40% |
※13価の結合型ワクチン(PCV13)についての報告です。
ここまでが13価の話で、定期接種で使うPCV20の持続年数を示した一次情報は確認できていません。何年で切れるから打ち直す、という読み方ができる材料は揃っていないことになります。制度の側では定期接種が生涯1回と定められており、追加の接種は接種歴に応じた任意接種として検討することになります。
参考:日本呼吸器学会ほか「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方(第8版)」
肺炎球菌ワクチンの副反応(副作用)が出る頻度と重大な副反応の割合

副反応の数字も、定期接種で使うプレベナー20(PCV20)の報告です。頻度が示されているものは高齢者等を対象とした臨床試験を合算した集計で、重大な副反応はこれとは別に整理されています。注射した部位に出るものと全身に出るものは頻度が違うため、区分ごとに分けて並べます。報告されている全体像は次のとおりです。
| 報告された頻度 | 注射した部位の症状 | 全身の症状 |
|---|---|---|
| 10%以上 | 疼痛・圧痛 | 筋肉痛・疲労・頭痛・関節痛 |
| 1%以上10%未満 | 紅斑・腫脹 | — |
| 1%未満 | そう痒感・血腫・熱感・蕁麻疹 | 悪寒・腫脹・発熱・異常感・疼痛など |
| 頻度不明 | 皮膚炎・硬結・上腕の可動性の低下 | 筋肉痛増悪・関節痛増悪・呼吸困難など |
※プレベナー20(PCV20)の臨床試験を合算した報告にもとづく区分です。
表の見方をひとつ添えます。ここに並ぶ割合は、臨床試験で接種を受けた方のうちどれだけにその症状が報告されたかという数字で、症状の重さを表したものではありません。頻度不明の区分には、報告はあるものの割合を算出できていないものが入ります。頻度の区分は報告された割合の目安であって、起こるか起こらないかを決めるものではありません。
定期接種の肺炎球菌ワクチンの副反応(副作用)で注射部位が痛む人は59.6%
頻度が高いのは注射した部位の症状です。疼痛(痛み)と圧痛(押したときの痛み)は59.6%と報告されており、およそ5人に3人という割合になります。打った腕が痛むことは、まれな出来事ではありません。
同じ注射部位の症状でも、種類によって報告された頻度は異なります。紅斑と腫脹は1%以上10%未満、そう痒感・血腫・熱感・蕁麻疹は1%未満です。皮膚炎や硬結や上腕の可動性の低下は頻度不明の区分に置かれています。
打ち方との関係もあります。プレベナー20は筋肉内注射で使うため、血小板減少症や凝固障害のある方と抗凝固療法を受けている方は、注射した部位の出血のおそれがある区分に入ります。この点は受けられない人と相談が必要な人の章で扱います。
10%以上の人に出る定期接種の肺炎球菌ワクチンの全身性の副反応(副作用)は筋肉痛や疲労など
全身に出る症状のうち、10%以上で報告されているのは次の4つです。
- 筋肉痛:38.2%
- 疲労:30.3%
- 頭痛:21.7%
- 関節痛:11.6%
筋肉痛は3人に1人を超える頻度で報告されています。疲労もそれに近い割合です。全身に出る症状は注射部位の痛みほどではないものの、一定の割合で報告されているという並びになります。
これらは臨床試験を合算した集計で、どのくらいの日数で落ち着くのかを示した記載はありません。集計されているのは頻度で、続く期間を測ったものではないためです。
定期接種の肺炎球菌ワクチンの副反応(副作用)で発熱が出る割合は1%未満
発熱は、その他の区分の中で1%未満として報告されています。悪寒・腫脹・異常感・疼痛も同じ区分です。全身の症状の中では、筋肉痛や疲労より頻度の低い側に置かれていることになります。
1%未満の区分には、部位ごとに次のような症状も並んでいます。筋と骨格の系統では筋浮腫と筋骨格硬直、精神と神経の系統では不安と味覚不全、皮膚では発疹とそう痒症と多汗症、呼吸器では咳嗽と鼻咽頭炎です。種類の数は多い一方で、報告された割合はいずれも100人に1人に届かない側になります。
接種のあとに熱が出た場合、それが接種によるものかどうかを症状だけで切り分けることはできません。季節によっては他の感染症が重なる時期でもあります。判断が必要な場面では、接種を受けた医療機関での診察が前提になります。
厚生労働省は、接種後に気になる症状を認めた場合の窓口を接種した医療機関としています。プレベナー20の電子添文も、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱や痙攣などの異常な症状を呈した場合には速やかに医師の診察を受けるよう、あらかじめ知らせることを接種する側に求めています。定期接種による健康被害の救済の制度は、記事の最後のよくある質問にまとめました。
定期接種の肺炎球菌ワクチンの重大な副反応(副作用)は痙攣が0.1%でアナフィラキシーは頻度不明
重大な副反応として電子添文が挙げているのは3つです。
| 重大な副反応 | 報告された頻度 |
|---|---|
| ショック・アナフィラキシー | 頻度不明 |
| 痙攣(熱性痙攣を含む) | 0.1% |
| 免疫性血小板減少症 | 頻度不明 |
痙攣は0.1%でショックとアナフィラキシーは頻度不明の扱いです。この0.1%は一部の臨床試験で報告された頻度で、国際共同第Ⅲ相試験と海外第Ⅲ相試験では発現がありませんでした。頻度不明とは、報告はあるものの割合を算出できていないという意味で、起こらないという意味ではありません。厚生労働省は、これらに加えて血小板減少性紫斑病がみられることがあるとしています。
重大な副反応に備え、接種前の確認が必要です。けいれんを起こしたことがある方や、プレベナー20の成分やジフテリアトキソイドにアレルギーを呈するおそれのある方は、接種前に相談が必要な区分です。持病やこれまでのアレルギーは診察のときにお伝えください。
参考:医薬品医療機器総合機構「プレベナー20水性懸濁注 電子添文」/厚生労働省「高齢者の肺炎球菌ワクチン」
肺炎球菌ワクチンを受けられない人と接種前に相談が必要な人

受けられるかどうかの確認は、大きく2つの区分に分かれます。接種そのものを行わない区分と、接種の前に医師が状態を確かめる区分です。当日の体調による制限と過去のアレルギーによる制限は別の話なので、混ぜずに読む形になります。
受けられないのは、その日の体調や過去のアナフィラキシーによって接種を行わない区分です。当日の発熱のように、治ってから受ける形になるものも含まれます。
相談が必要なのは、接種を行えないと決まっているわけではなく、接種の前に医師が状態を確かめる区分です。どちらに当てはまるかの見極めは診察の場で行われます。
肺炎球菌ワクチンを受けられないのは明らかな発熱がある人と重篤な急性疾患にかかっている人
その日の体調による区分から見ていきます。明らかな発熱がある方と重篤な急性疾患にかかっている方は、その日の接種を行いません。いずれも治ってから受けることになる区分で、対象から永久に外れるという意味ではありません。
何度以上を明らかな発熱とするかという線引きや、どの状態を重篤な急性疾患とみるかの判断は、接種の場で医師が行います。いずれもその日の状態を指す区分ですので、日を改めて受ける形になります。
定期接種で使うプレベナー20について、電子添文が接種を行わないとしている区分は次のとおりです。
| 区分 | 該当する状態 |
|---|---|
| 当日の体調 | 明らかな発熱がある方・重篤な急性疾患にかかっている方 |
| 過去のアナフィラキシー | 本剤の成分またはジフテリアトキソイドでアナフィラキシーを呈したことが明らかな方 |
| 医師の判断 | 予防接種を行うことが不適当な状態と医師が判断した方 |
ジフテリアトキソイドでアナフィラキシーを起こした人は定期接種の肺炎球菌ワクチンを受けられない
体調とは別に、過去のアレルギーによる区分があります。プレベナー20の電子添文は、本剤の成分またはジフテリアトキソイドでアナフィラキシーを呈したことが明らかな方を禁忌としています。ジフテリアトキソイドという名前が出てくるのは、多糖体ワクチンとの違いのひとつです。
多糖体ワクチンのニューモバックスNPでは、禁忌として挙げられているのが本剤の成分でアナフィラキシーを呈したことが明らかな方と2歳未満の方で、ジフテリアトキソイドは出てきません。2026年4月以降の定期接種で使うのは結合型のプレベナー20ですので、予診票を持って受ける接種では、ジフテリアトキソイドでアナフィラキシーを呈したことが明らかな方も禁忌に含まれます。
過去にアナフィラキシーを起こしたことがあるかどうかは、本人の記憶だけで判断できるものではありません。どのワクチンや薬で何が起きたのかを、診察のときにお伝えください。
肺炎球菌ワクチンの接種前に相談が必要なのは免疫不全がある人や抗凝固療法を受けている人など
接種を行わない区分に当てはまらなくても、事前に医師へ相談することになる区分があります。電子添文が接種要注意者として挙げているのは次の方々です。
| 区分 | 該当する状態 |
|---|---|
| 免疫の状態 | 免疫不全と診断されている方・近親者に先天性免疫不全症の方がいる方 |
| 持病 | 心臓・腎臓・肝臓・血液の病気がある方・発育障害のある方 |
| これまでの接種 | 予防接種後2日以内に発熱や全身の発疹などのアレルギーが疑われる症状があった方 |
| けいれん | けいれんを起こしたことがある方 |
| アレルギー | プレベナー20の成分やジフテリアトキソイドにアレルギーを呈するおそれのある方 |
| 出血のしやすさ | 血小板減少症や凝固障害のある方・抗凝固療法を受けている方 |
このうち出血のしやすさが挙がっているのは、プレベナー20が筋肉内注射で使われるため注射した部位の出血のおそれがあることによります。2026年4月からの定期接種は筋肉内注射で行われますので、この注意は定期接種を受ける方に当てはまります。
診察のときに伝えていただけると確認が早く進むのは、次の点です。
- 免疫不全と診断されたことや、近親者に先天性免疫不全症の方がいること
- 心臓・腎臓・肝臓・血液の病気で治療を受けていること
- これまでの予防接種のあとに発熱や発疹などが出たこと
- けいれんを起こしたことがあること
- 血が止まりにくいことや、抗凝固薬を飲んでいること

肺炎球菌ワクチンは医師が必要と認めればインフルエンザワクチンなどとの同時接種ができる
他のワクチンと同じ日に受けられるかどうかも、電子添文が定めています。医師が必要と認めた場合には他のワクチンと同時に接種することができるとされており、インフルエンザワクチンとの同時接種もこの範囲に入ります。
同時に接種する場合の決まりも添えられています。接種を受ける方には、それぞれ単独接種することができる旨の説明を行います。また、他のワクチンと混合して接種せず、同時接種のときは異なる部位に注射します。1本の注射器にまとめる形ではなく、別の場所に別々に打つ形になります。
同時接種を希望する場合は、予約の段階でどのワクチンを一緒に受けたいのかをお伝えください。取り扱いと在庫の状況によって、受けられる組み合わせは医療機関ごとに変わります。
参考:医薬品医療機器総合機構「プレベナー20水性懸濁注 電子添文」
同じ時期に検討されることが多いのが、高齢者のインフルエンザ予防接種です。効果の続く期間や受ける時期については、次の記事で扱っています。
・インフルエンザ予防接種の効果はいつからいつまで?
当院の肺炎球菌ワクチンは取り寄せのため予約が必要

池袋かめさん内科では、豊島区の定期接種と任意予防接種の両方で高齢者肺炎球菌ワクチンを取り扱っています。ワクチンはその都度のお取り寄せになるため、事前のご予約をお願いしています。在庫を常備して当日に接種する形ではありません。
当院は豊島区の高齢者肺炎球菌ワクチンの定期接種を取り扱っている
当院は、豊島区の予防接種事業のうち高齢者肺炎球菌ワクチン接種(定期接種)を取り扱っています。区の予防接種事業としては、高齢者インフルエンザ予防接種や帯状疱疹ワクチンなども同じく取り扱っています。令和8年度の豊島区の高齢者肺炎球菌予防接種の実施医療機関名簿にも掲載されています。名簿は年度ごとに更新されるため、掲載の状況は令和8年度のもの(2026年9月29日時点)です。
したがって、豊島区の定期接種の対象条件を満たす方は、予診票を持参して当院で接種を受けられます。窓口でお支払いいただく自己負担額は区が定めた額で、当院が決めているものではありません。
参考:豊島区「令和8年度 高齢者肺炎球菌予防接種 実施医療機関名簿」
当院の高齢者肺炎球菌ワクチンの任意予防接種の費用は13,000円
定期接種の対象から外れる場合は、任意予防接種(自由診療)として受けることになります。当院の高齢者肺炎球菌の費用は13,000円です。区の助成のない枠ですので、全額自己負担になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 接種の枠 | 任意予防接種(自由診療) |
| 費用 | 13,000円 |
| 支払い | 全額自己負担 |
| ワクチン | お取り寄せ |
※当院の任意予防接種の内容です。金額は料金表のページにも掲載しています。
当院の肺炎球菌ワクチンは電話やWebなどから予約できる
ご予約は次の3つの方法で承っています。
- 電話
- WEB予約
- 公式LINE
当院の予防接種はその都度のお取り寄せになりますので、接種を希望する日が決まっている場合は、日程に余裕をもってご予約ください。ご予約の際には、高齢者肺炎球菌ワクチンをご希望とお伝えください。定期接種として受けるのか任意予防接種として受けるのかも、あわせてお知らせください。
WEB予約と公式LINEからのご予約をご利用いただくと、待ち時間の軽減につながる場合がございます。他のワクチンと同じ日に受けることをお考えの場合は、その組み合わせもご予約の段階でお知らせください。同時に接種できるかどうかは、医師が必要と認めるかどうかと、その日の取り扱いの状況によって決まります。
当院で肺炎球菌ワクチンの定期接種を受けるときは豊島区の予診票(問診票)を持参する
定期接種として受ける場合は、豊島区から届いた予診票(問診票)を持参します。予診票がないと助成を受けられず、接種後に交付を受けることもできません。接種を受けたあとに予診票を受け取って助成に切り替える、という形は取れません。
あわせてお持ちいただくのは、マイナ保険証または資格確認書です。予診票が届いていない場合の申請については、よくある質問で扱います。持病で通院中の方は、主治医の先生にも相談したうえでご検討ください。
肺炎球菌ワクチンについてよくある質問

最後に、肺炎球菌ワクチンについてよく調べられている質問をまとめます。
肺炎球菌ワクチンの定期接種はどこで受けられますか?
豊島区の令和8年度の実施医療機関名簿に記載の医療機関、または23区内の実施医療機関で受けられます。区内の医療機関に限られる仕組みではありません。
ただし区ごとに手続きが変わります。23区外で受ける場合は、事前に予防接種実施依頼書の発行を受ける必要があります。豊島区以外の22区で受ける場合は、接種先の医療機関による事前の受け入れ確認が必要です。当院も令和8年度の名簿に掲載されています(2026年9月29日時点)ので、当院で受ける場合の流れは自院の章にまとめました。

肺炎球菌ワクチンは90歳以上でも接種できますか?
90歳以上の方も任意接種として検討できます。接種できるかどうかは診察で医師が判断します。定期接種の対象は65歳の方と、身体に一定の障害がある60歳から64歳の方で、その年度に70歳や75歳などになる方を対象にしていた経過措置は令和6年3月31日に終了していますので、90歳の方は定期接種の対象には入りません。受ける場合は任意接種として全額自己負担になります。
接種する年齢と効果の関係については、13価の結合型ワクチン(PCV13)のワクチン血清型による市中肺炎と侵襲性感染症への予防効果が、65歳時点の接種で65%、75歳時点の接種で40%という報告があります。ただしこれは13価についての報告で、高齢になってからの接種に意味がないという内容ではありません。
肺炎球菌ワクチンを65歳で受けなかったらどうなりますか?
66歳の誕生日の前日を過ぎると助成の対象から外れます。その後に受ける接種は任意接種になり、費用は全額自己負担です。60歳から64歳の区分での接種期間は65歳の誕生日の前日までですが、未接種のまま65歳になった方は65歳の対象区分で扱われます。
例外として、長期療養特例があります。長期に渡り療養を必要とする病気のために対象年齢の間に定期接種を受けられなかったと認められた場合には、接種可能となった日から1年以内に定期接種を受けられる仕組みです。該当するかどうかは医学的な判断が必要で、詳細は市町村に相談することになります。
肺炎球菌ワクチンの予診票が届かないときはどうすればよいですか?
予診票は65歳の誕生月末に順次発送されます。60歳から64歳の該当者についても、その誕生月末の発送です。この時期を過ぎても届かない場合や、転入などで手元にない場合は、事前の申請が必要です。
申請から受け取りまでにかかる期間は方法によって変わります。郵送を希望する場合は電子申請で2週間程度、電話での申請で1か月程度です。豊島区保健所2階の総合窓口と長崎健康相談所での申請は、原則として当日の受け取りになります。予診票がないと助成を受けられず、接種のあとに交付を受けることもできません。

肺炎球菌ワクチンを受けた日に気をつけることはありますか?
プレベナー20の電子添文が挙げているのは3点です。接種当日は過激な運動を避けること、接種部位を清潔に保つこと、接種後の健康監視に留意することです。
そのうえで、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱や痙攣などの異常な症状を呈した場合には、速やかに医師の診察を受けてください。なお、入浴やお酒についての記載は、電子添文にも厚生労働省の資料にも見当たりません。
肺炎球菌ワクチンの副反応が出たらどうすればよいですか?
まず接種を受けた医療機関に相談します。厚生労働省も、接種後に気になる症状を認めた場合の窓口を接種した医療機関としています。
あわせて知っておきたいのが救済の制度です。厚生労働省は、定期接種を受けたことにより健康被害が発生した場合に救済給付を行うための制度があるとしています。該当するかどうかの判断や手続きの詳細は市町村に相談することになります。
肺炎になったことがある人も肺炎球菌ワクチンを受けられますか?
受けられます。厚生労働省は、過去に肺炎や肺炎球菌感染症にかかったことがある方も定期接種の対象になるとしています。かかったことと接種を受けたことは、制度の上で別に扱われます。
理由として挙げられているのは2点です。肺炎の原因は様々で、肺炎球菌以外の微生物によるものも含まれること。そして肺炎球菌には多くの血清型があり、一度かかった型と次に出会う型が同じとは限らないことです。したがって、かかったことがあるから免疫があって不要という読み方はできません。
要点をまとめます。
肺炎球菌ワクチンは、23価の多糖体ワクチンが1種類と、13価から21価の結合型ワクチンが4種類に分かれます。2026年4月1日から高齢者の定期接種で使うワクチンはプレベナー20(PCV20)になり、接種方法も筋肉内注射に絞られました。対象者と接種回数は変わっていません。
豊島区の定期接種の自己負担額は、令和8年度の対象者が5,500円です。生活保護を受けている方などは無料で、接種できる期間は65歳の誕生日から66歳の誕生日の前日までです。長期療養特例に該当する場合を除き、この期間を過ぎてから受ける接種は任意接種になり、費用は全額自己負担になります。
定期接種として受けられる回数は生涯1回です。ただし追加の接種が一律に不要という意味ではなく、学会は過去に受けたワクチンの種類に応じた追加接種の考え方を示しています。1回の接種で十分な免疫が保たれるかどうかを示した一次情報は確認できていません。
効果の範囲は、含まれる20種類の血清型に限られます。含まれない血清型による感染症や他の起炎菌による感染症は対象に入りません。副反応として頻度が高いのは注射した部位の疼痛と圧痛で59.6%、重大な副反応では痙攣が0.1%です。疼痛と圧痛の59.6%は高齢者等を対象とした試験の報告、痙攣の0.1%は一部の臨床試験で報告された頻度です。
当院は豊島区の高齢者肺炎球菌ワクチン定期接種の実施医療機関で、定期接種の対象から外れる場合の任意予防接種も取り扱っています。ワクチンはお取り寄せになりますので、接種をご希望の場合は事前のご予約をお願いしています。
池袋かめさん内科では、豊島区の高齢者肺炎球菌ワクチン接種(定期接種)と、任意予防接種(自由診療)としての高齢者肺炎球菌ワクチンを取り扱っております。ワクチンはお取り寄せになりますので、日程に余裕をもってご予約ください。費用は料金表のページに掲載しています。発熱や咳などの症状でお困りの場合は、内科診療のページもご覧ください。
診療時間は9:00〜12:30と14:00〜18:00です。月曜と日祝は休診で、土曜は午前のみ診療しています。雑司が谷駅2番出口から徒歩2分、目白駅から徒歩10分、池袋駅東口から徒歩13分の場所にあります。ご予約は電話(03-3986-4466)・WEB・LINEで承っております。

